実力
・剣(さて一撃は与えられたが、ここからどうしたものか)
(時間は残り三十分、今の所は想定通りにいってるが、ここからはほぼ掛けだ)
(うまくいけばいいが)
同時刻ジーンと桐須は…
・桐須「…すごいわねあの子」
・ジーン「ああ、正直驚いた」
・桐須「前代未聞よ、あの牙爪に一撃を与えられた一般人はいなかったもの」
・ジーン「一般人でなくても与えられる者は少ないというのに、すごいではないか」
・桐須「でも状況的にはまずいわね」
・ジーン「確かに牙爪に一撃入れてしまったのだから、おそらくだが…」
・桐須「ええ、五割くらい解放してくるわよ、あいつは」
・牙爪「驚いたよ、まさかほんとうに一撃入れられるなんて」
・全員「!?」
・剣 (はやいな、回復するのが)
吹き飛ばされた牙爪がものの数秒で戻ってきた。
・剣 「結構、力を込めてぶっ飛ばしたんだがあまり効いてなかったかな」
・牙爪「いいや十分効いたよ」
「君が相手なら少し本気を出してもいいと思うぐらいにね!!!」
次の瞬間、牙爪がさきほどよりも数十倍ものの速さで剣の後ろをとる
・剣 (はやいっ!)
剣はすかさず防御しようとするが間に合わず左肩に重い一撃を入れられる。
・剣 「がはっ」
そのまま追い打ちをかけるかのように牙爪はもう一撃を入れようとする。
・剣 「くっ!」
しかし間一髪のところで牙爪の一撃をを受け流し、すぐ距離をとる。
・牙爪「なかなか粘るようだけど、もうその左肩は使い物にならないじゃないかな」
牙爪の言う通り剣の左肩はさきほどの一撃で動かすことすら難しい状態になっていた。
・剣 「はぁ、はぁ、はぁ…」
(落ち着け俺、左肩がやられただけで、身体はまだ動く)
「ふぅーーー」
「よし!!」
気合いをいれ剣は牙爪に向かって走り出す
・桐須「あら、あの子今度は自ら攻めるのね、正面からぶつかったら間違いなく牙爪が勝つのに」
・ジーン「ふむ、なにか考えがあるのだろう」
・牙爪「いいね!!君ならそう来ると思ってたよ」
・剣 (俺が正面からぶつかってあいつに勝てる可能性は1割もないかもしれない)
(でも一つだけ方法がある)
(掛けでも構わない、やるだけやってみるしかない)
・牙爪「さあ来い!!正々堂々真正面から勝負しよう」
・剣 (予想通り勝負に乗ってきた)
(後はこのままギリギリまで距離をつめる)
剣は牙爪との距離を縮めていく。
・剣 (もう少し、あと数メートル)
あと一歩ほどの距離になった瞬間
・剣 「!!はあっ」」
持っていた木剣を牙爪に向けて投げる。
突然投げられ、驚いたが瞬時に投げられた木剣を拳で振り払う。
それを見透かすかのようにがら空きになった牙爪にむけて剣は拳を向ける。
・剣 (狙うのはやつの急所、集中だ、集中)
(急所をつけばいくら強くても、簡単には立ち上がれない)
(必ず急所はあるあの人が言ってたように、こいつにも急所はある。)
(………みえた!!!)
・剣 「ここだぁぁぁぁ!」
牙爪の胸部にむけて剣は拳を振るう、しかし!
・牙爪「よっと」
ギリギリのところで剣が振るった拳を自身に手で受け止めた。
・剣 「なっ!」
・牙爪「似たような手は二度も食らわねえさ」
そして剣に向けて牙爪が拳を振るう。
・牙爪「見事だったぜ!」
そう言いながら
・???「スピアブーメラン!」
突如そんな声が聞こえるとともに、木槍が牙爪に向けて飛んできた。
・牙爪「おっと」
牙爪はその木槍を避け、後ろに下がる。
そして木槍を持った男が剣の前に立ちこう言った。
・???「手を貸すぜ相棒」
~次回 <相棒>~