表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/63

56「パーティー再び」

 貴族街が宵闇に包まれ始めた。決戦間近だ。お母さんは僕の部屋で何やら物思いにふけっている。テーブルの上に置いた剣を見つめていた。

 ヤベー。何を考えているの?

 剣を抜いて鈍色の肌を眺めた。そして再び収める。

 ヤベー……。


 お父さんが帰って来た。お母さんは窓際に寄り外を見る。僕はよいしょと立ち上がり、トコトコと歩いて足元に寄り添う。

「アル君。手伝ってもらうわ」

「バブー?」何かな?

 お母さんは、僕を抱きかかえて床に寝かせた。

「こんな感じだったわね……」

 そしてお尻をグイと持ち上げた。僕の持ち芸の一つ、究極土下座だ。その横にお母さんは正座した。これを、またやるのかのか~。

「うわっ! 一体どうしたんだ。ニ人共――」

 扉を開けたらいきなりこれじゃあ、驚くよなあ。二回目だけど。

 お母様は頭を深々と下げる。

「ランメルト様に、お願いがございます」

「分かった。一緒に行こう」

「えっ?」

 お父さんは跪いた。お母さんに右手を差し出す。

「戦う時はいつも一緒だよ。フランカ」

「あなた……」

「お前……」

 二人はしばし見つめ合う。

 まったく。この夫婦は、いちいち芝居みたいなことやらないで、普通に話して決められないの? やっぱバカップルだね。


 二人は戦闘衣装に着替えた。王宮騎士の装いではなく冒険者ふう。お母さんはビキニアーマーだけどインナーがあるので肌成分の露出はない。残念っ!

 久しぶりに結成した、たったニ人の冒険者パーティーだ。

「いつ仕掛けるの?」

「準備が整うのは明日の早朝だ。しかし相手の魔力が高まっている。今夜もありえるな……」

 地図を広げ、お父さんはお母さんに作戦の概要、地理的条件などを説明した。戦力の配置と、防御体制などである。

 問題はあの化け物キメラ(融合体)をどうやって仕留めるなんだけど、そこまでの策はなかった。お母さんも簡単にできることじゃないとは理解している。特にそこには突っ込まない。

 この国の体制とは、そんなものなのかもしれない。誰も知らない何かが突然現れるのかもしれないし、何から何まで全員に知らせたりはしないだろう。

「よし。行ってくるよ」

「ちょっとだけお留守番をお願いね」

 二人は立ち上がった。

「アル。この屋敷を頼むぞ!」

「おとー、おかー。ぶぶー」お父様、お母様。ご武運を。

 留守は僕に任せてよ。お忍びで外出するけど。


  ◆


「さて。来るかな?」

「来るさ。俺たちだって働いてやる!」

 貧民街自警団の二人は、街壁の上から森の奥に目をこらしていた。

 昼間は救済に来ていた貴族の子供たち、騎士、冒険者たちを見送った。そして戦況が終わりに近づいたことを感じ取っていた。魔獣の脅威が今、貴族街にあると理解していた。

「来たみたいだな」

「ああ、こちらも始まる……」

 森の闇に魔力の明かりが点滅を始める。警戒線での戦いが始まったようだ。

「外を確認して門を閉めろ。壁で迎え撃つぞ」

 地上で警戒している仲間たちに大声で怒鳴る。互いに声を掛け合い、全員がやるべき事をこなす。

「弓矢と魔導弾を撃てる者をすぐに上げてくれ。敵が来る――ん?」

 壁の内側にも光が見えた。今や馴染みになった地を這うような光の筋だ。

「森のクマさんが行くぜ」

「ああ。戦いに行く」

「いよいよ決戦だもんなあ……」

 行き先は貴族街の方向だった。クマもまた、やるべき事に向かっていた。

「……さて俺たちも戦うか」

「俺たちの居場所を守るためにな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ