48「魔人出現」
『光球を上げるである』
「分かったっ!」
僕はシャンタルの意図をすぐに理解した。これはノロシだ。王政と住民への警告。それとユルクマへのメッセージだ。
ならっ!
むむっ。んーっ……。手のひらに気合いを入れる。
ただの照明弾じゃ面白くない。ちょっとした工夫が生活には必要なんだよね。
それっ。特大の花火だっ!
そいつを夜空に向かって思いっきり投げる。
早くこの戦場に駆けつけろっ!
ドーン、ババーンと夜空に光の花が咲く。
玄関の開口と窓ガラスを割って、触手がウニウニと出てきた。生理的に耐えられないね。ひときわ太い触手が何やら吐き出す。
人の形をして、ボロボロの服を着ている。元は人間だったようだけど、それはもう人じゃない何か。
これが魔人!? まるでホームレスのゾンビに、ちょっと魔獣が入ってる感じ?
『半魔身である。魔人化の失敗体、または成長過程……』
完成前に引っ張り出してきたってことだね。
盗賊か強盗か、単なる荒くれ者か分からないような姿。顔と体の一部は獣で、指と爪も長い。服は一応着ているがボロ布のようになっていた。
こんなのたいしたことないよ。僕は強いんだ。
剣を抜き、腰を低くして構えた。活躍の時きたる。
一撃で倒してやんよっ!
とっておきの気合いを入れて斬りかかる、が――。
あれ? 防がれた?
黒色の剣が寸前で止まる。オーロラのような帯に火花が散った。
『魔人は障壁のスキルを使うのである』
なら一撃、また一撃と打ち掛け、障壁をかわそうとする。しかし半魔身ふぜいは、次々に障壁を展開してこちらの攻撃を防ぐ。更に剣の具現を出現させた。
こんなこともできるんだ! うわっ。
後から他の魔人に攻撃されてしまった。まずい。数がどんどん増えてきた。何体吐き出すんだ? これはヤバいよ。
『コツがある。剣を突き刺し魔力を注入するである』
よっしゃ!
オリジナル必殺技は考えないで、ここは素直に従うとしよう。魔人の剣攻撃を弾きながら、隙を見て刺す!
よしっ。障壁を貫いた。そして魔力を込める。
あれ? 何も起こらないけど。
『続けるである!』
弾く、刺す、込める。弾く、刺す、込める!
時間差で魔人の各場所が破裂を始めた。
よーし。いけるぞ! 注入を意識して剣に魔力を溜める!
剣を大上段から振り下ろし、胴体内で止め魔力を注入。魔人大爆発。
やったあ。魔人を倒したぞ!
『半魔身である』
僕はすかさず他の魔人に切り掛かる。
コツさえつかめば楽勝じゃん。
と思ったら障壁だらけに守られた魔人に当たってしまった。二重の守りに突きも不発となる。
相手の剣の攻撃に、こっちは防戦一方になってしまった。数が多すぎだよー。
ア、アドバイスは?
『魔法スキルがなければ厳しいである』
魔法って何? 魔力じゃなくて?
ぐわっ!
後ろから魔人に切り付けられた。マジで痛い。
『敵の数が増えてきたである』
やっべ! このままじゃ、フクロだ。なんとか活躍を。活躍、活躍、活躍ーっ!
突然火矢が魔人に突き刺さり爆発する。
ああっ!
更に二の矢、三の矢が突き刺さり爆発した。
援軍だ。どこだ?
暗い夜空。そびえる建物の上に、正義の炎が揺らめく。
誰だ? 騎士か、謎の勇者か?
再び火矢が発射され、また一体の魔人が屠られた。まるで魔人スレイヤー!
『半魔身である』
まあ、今盛り上がっているところだからさ。
あいつは――。




