表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/183

十九話 ミッション㊃

 「何で俺が注意しに行かなきゃならないんだ? 太郎が自分で言え!」


 「だって、あのマッチョ野郎、見張りに一回も出てないんだぜ?」


 「新入りなんだから、人一倍、働くくれーじゃねーと!」


 「プロヴィデンスから来たからって、オレ達を下に見てやがるんだ!」


 艦内の居住区で、ベンが三人の白兎(びゃくと)隊士と揉めていた。

 隊士の太郎達は、新入隊士の巨漢ノームが任務をサボるので、それを咎めようと、彼に割り当てられている部屋に乗り込もうとしていた。しかし彼らは、強面のノームを相手にするのに尻込みしている。


 「だからって、何で俺が代わりに行くんだよ……! お前らが注意しに行けばいいだろ? あ? 太郎、幸彦、又三郎!」

 

 「オレらじゃドスが効かねぇんだ。だからベン、お前がガツンと言ってやれ!」


 ベンは、そんな感じで丸め込まれ、使いにされてしまった。


 ――こいつらと来たら……ビビりやがって……!


 ベンは呆れていた。

 太郎達を始め隊士の大半は、プロヴィデンス軍からの連中が気に入らず、悪口ばかり言っていた。しかし、女性であるシルフィーとイフリータへの悪口は言わず「どっち派」などという話をしている。


 「やっぱシルフィーちゃんかな。金髪美人……イイぜ」


 「オレは巨乳派だからな。勝志に確認させたが、Gは間違いなくあるってよ!」


 「赤いの良いよなー。でも、迷彩柄も堪らねぇ……!」


 ベンは、文句を言おう立ち止まったが「早く行けよベン!」と急かされ、止むを得ずノームの部屋のドアをノックをした。

 正直ベンも、到底、言う事を聞きそうにない相手の説教など嫌だったが、サボりは事実なのでやむを得ない。


 「あっ、ノーム……さん。悪いが見張りの時間だぜ。ちゃんと―」


 ベンはノックをしても反応がなかったので、悪い癖だったがドアを開けた。

 しかし、室内の光景を見たベンは、その場で固まった。


 「んっ……うん……っ」


 部屋には、別室が割り当てられている筈のイフリータもおり、ノームと唇を重ねている。二人とも上半身裸で抱き合い、舌を舐め合うかなり激しいキスだ。


 「し、失礼しましたー……」


 ベンは小声でそう言うと、そっとドアを閉めた。

 

 「―どうだった?」


 戻ってきたベンに、三人が訪ねた。

 

 「あ、ああ。ちゃ、ちゃんと見張りに出るってよ。話せば案外……分かる奴だ。お前らとも趣味は合うかもしれねぇ……」


 「おお! やるなー、流石、ベン!」


 「まぁな。これくらい……訳ねぇよ」


 ベンは被汗を拭いながら答えた。

 その後の時間、彼は何が悲しいのか、ノームに代わって見張り台に立った。


 「……俺には彼女もいねぇのに……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ