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5.運命の分岐点

 結論から言えば、私は王のお眼鏡にかなわなかった。

 何故だ――こんなに美しいのに。



 父と兄、姉、そして私の4人で国王主催のパーティーに出席した。

 紹介された私を見た王は、何故か私には興味がない様子だった。

 父はこれに非常に安堵していた。しかし万が一ということもあるからと、王の目に触れないような場所でパーティーが終わるのを待つようにと指示された。


 王の顔は見た。とりあえず今宵はこんなものでいいだろう。


 それにしても、王は普通の男だった。

 極悪な顔つきでもなく、好色にありがちなでっぷりした体系でもない。父上の兄らしく、それに似た面差し。

 様々な悪行の主――本当なのだろうか? と疑問に思うほど、普通の男だった。


 毒気を抜かれてしまった気がした。

 それでもあの首が欲しいことには変わりないけれど……。


「父上、兄上、私は先に馬車に戻っています」


 料理は食べたし、やることがない。むしろ男たちが群がってきて不愉快だった。


「そうだな、それが良い」

「父上、私がアデルを馬車まで送ります」


 父上は私の申し出を快諾し、兄は念のために私を馬車まで送るという。

 しかし私は兄の申し出を断った。馬車に戻りたいというのは方便で、本当は王城内を探索しておきたかったからだ。

 兄は渋々引き下がったが、真っ直ぐ馬車へ向かうように釘を刺してきた。本当に過保護だけれど、それが嬉しい。


 一応姉にも伝えておこうと思い会場を見るが、姿が見えない。


「姉上はどこにいらっしゃるのですか?」


 そう切り出せば、姉は靴が合わず擦れてしまったようで、別室で休んでいるということだった。

 ふーんと思った。ただそれだけだった。


 もしこの時、私が姉にも直接声をかけていたのなら、運命とやらは少しは変わっていたのかもしれない。そんなことを思う時が来るのだが、この時の私にとって姉のことは特段気にするようなことではなかった。

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