96)再び南の門
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無事、管理事務所に到着し、事の顛末を連絡した。
「今日は大変だったな。しっかりと休んで、また明日からも宜しくな。お疲れさん」
本当に疲れた一日だった。魔刻の腕輪を見ると既に五時を過ぎていた。
「今日のお務めも終了だな」
「蓮斗さん、お疲れ様です!」
「レティシアもお疲れ様! 皆もお疲れ様!」
今日の任務は完了、明日に備える為に少し打ち合わせだな。
「今日の出来事を踏まえて、少し皆と話したいんだけど?」
「私は宜しいですわ」
「ウチも問題無いよ」
「あたいも大丈夫ー!」
この後、近くのカフェっぽい所で打ち合わせをする事にした。今回の様に事件に巻き込まれた場合の対処法がメインだ。
何も考えずに強敵とバッタリってのは、やっぱりキツいからなぁ。
色々なパターンを想定して行動パターンを決め、決めたパターンを軸にして柔軟に対応する……なんて事が出来れば苦労はしないけど、全く考えないよりマシって事で、五、六パターンを決めて終了となった。
「さ、晩御飯を食べて宿に帰ろうか」
「ウチお腹空いたー!」
「あたいもー!」
おっ、食欲魔人達が復活だな。そう言う俺も腹が減ってきたわ。
「今日は何食べようか?」
「ウチ……でも……」
「どしたの?」
吃るリアーナ。何か問題か?
「ウチ、お金無いし……」
そっちかよ……。
「いいよ、俺が出すよ」
「本当! ありがと!」
「金で釣ったのう……」
「お金で釣られましたわね」
「なになにー? リーちゃん釣られたのー?」
「な、何言ってるの! ウチはそんな事で釣られないよ!」
本当、何言ってるだろ?
「蓮斗殿……鈍いな?」
「そうなのじゃよ……」
え、何この連携? 剣と杖に小言を言われるとは。
「えっと……話を戻すけど、何食べようか?」
と言っても、肉か魚か粉物か? 麺は無いしなぁ。
多数決の結果、肉と言う事で落ち着いたのだけど、この前から肉が多い気がする。皆は意外と肉食系なんだな……本当の意味で。
この後、いつも通り酔っ払いの宴が開催され、ボロボロになった人達をレティシアと二人で宿まで運ぶ事になる。
翌朝、リアーナに不潔呼ばわりされながらも準備を終え、管理事務所へと向かう。
「リアーナ、今日のアイテムどうだった?」
「ウチはヒーリングポーション、最近ハズレばっかりなんだよね。蓮斗くんは?」
「俺は錯綜する小箱だって」
「何その怪しい名前は?」
「そうなんだよ。他にも怪しい名前のアイテムが有ってさぁ……鑑定も出来ないし」
「そう言うのって使えないわよね」
「本当、怖くて使えないよな」
これは転移者あるあるって奴だな。
で、管理事務所に到着。
「巡回でーす!」
「おー! お疲れさん!」
朝の申し送り……と言うか連絡事項の確認を行い、夕方まで巡回警備って事になるらしい。
「先ず、昨日の件に関して。特に問われる事は無いので安心してくれ」
まぁ、悪い事はしてないし、当然っちゃあ当然だな。
「次に、消えたローブの女性の件。これに関しては調査中の為、もし出会した場合は戦闘になるかも知れんが……何とかこちらに連絡を」
すっごく無茶振りでは?
「とは言え……あくまでも自身の命を優先して欲しい。連絡は優先では無いからな」
「分かりました」
「じゃ、今日も一日気を付けてな」
「行ってきます」
さて出発、今日はどちらから行こうか?
「どうしよっか?」
「昨日と逆にしては如何でしょうか?」
「そうだね」
レティシアの意見を採用。同じルートを繰り返すと飽きるからね。
「あ……雨だ」
「ですわね……」
突然、影の中からヴァージュが出てきた。何か有ったのかな?
「どしたの?」
「涼しーから!」
「そ、そうか。はい、傘」
ヴァージュに傘を渡すと、クルクルと回って楽しんでいた。
「何か無邪気で良いね……」
「そうじゃのう……」
平和だ……昨日の事件が嘘の様だ。
「ヴァージュ、人に気を付けて」
「分かってるよー!」
ドン! やっぱりかぁ……見事に二人組で歩いている男にぶつかってしまった。
「すみません……」
「あぁ? 喧嘩売ってんのか?」
うわっ……面倒臭いなぁ。
「あ、兄貴! コイツ昨日の……」
「あぁ? あ……す、すんませんでした!」
男達は猛ダッシュで去ってしまった。
「何だったんだ?」
「ウチ、昨日あの人達見たよ」
「え? 何処で?」
「南の門の守衛小屋の近く……恐らくヴァージュさんの残虐行為を見たんじ──」
「リーちゃん?」
「え? あ! な、何でも無いわ」
ヴァージュよ、本当に何をしたんだ? リアーナが完全に怯えてるぞ?
「東の門ですわ」
東の門は異常無し、軽く挨拶をして南の門へと向かう。
「このまま何も無ければ良いな」
「勿論、そうじゃの」
「我輩も同意だ」
「南の門が終わったら昼食にしようか?」
「そうですわね!」
何気無く南の門の方を見ると、またしても煙が上っていた。
何か有ったのか?
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