90)巡回開始
PV15000感謝致します!
なんやかんやで90話まで来ました。
これからも宜しくお願いします!
うぅ……朝か?
「おはよ……」
「おはようじゃ」
辺りには、リアーナが転がっているだけ……。
「あれ? 皆は?」
「小娘達は走りに行ったのじゃ」
凄いなぁ……俺も体力付けないと駄目かな?
「杖の小娘は撃沈じゃの」
「飲み過ぎなんだよ……」
「め、面目無い……」
「ラーズが謝る必要は無いでしょ」
俺は魔袋からスキーリエックスを取り出し、ラーズの前に置いた。
「ラーズ、リアーナが起きても調子が悪そうだったら、こいつを飲ませてやってくれ。二日酔いに効く薬だ」
「蓮斗殿、申し訳ないな」
「いやいや。俺は顔を洗ってくるよ」
宿屋の共同洗面所で顔を洗う。タオル……ではなく、布切れが畳まれて置かれている。
この世界にはタオルが無いから、もし作る事が出来たら売れるかも知れない。作り方知らんけど。
「堅い……」
やっぱタオル欲しい……。
「ただいま」
「おはよう……」
「あ、起きたんだ。おはよ」
リアーナがボケッとして座っていた。
「そういや、クリスとラーズって顔を洗ったりするの?」
「儂は人化するだけで綺麗になるのじゃ」
「我輩も同じだな」
「便利だな……」
リアーナが重い腰を上げ、面倒そうな顔をしながら立ち上がる。
「ウチ、顔を洗ってくるね」
「いってらー」
「いってら?」
「何でもない、行ってらっしゃい」
「あぁ、そう言う事か……」
今のうちにログインボーナスだな。
〔日課特典:幻術のスクロール〕
〔幻術のスクロールを獲得しました〕
これ……まさか魔法か? 魔法なのか? 遂に魔法を覚える時がやって来た!
勿論、使用だ!
〔法力:個体変身術を獲得しました〕
法力かよ……。
〔個体変身術:一つの個体に対し姿を変えて見せる事が出来る:一日一回〕
一人に対して姿を変えれるって事か? 使い所が全然思い付かん。
「戻りましたわ。お早う御座います、蓮斗さん」
「おっはよー! 蓮斗様ー!」
「二人とも、おはよ。リアーナが戻ったら朝食にしようか」
「あーい! 蓮斗様、背中拭いてー!」
ヴァージュは突然上着を脱ぎ……え……えぇ!?
「ヴァージュ! 何をしてるんですの!?」
レティシアは俺とヴァージュの間に割って入り、布切れを当てて体を隠す。
「蓮斗、鼻血……それに影の小娘! 蓮斗に頼まずとも、お主ら同士で拭けば良かろう!」
「あーい……」
珍しくクリスが庇った?
「ふ、不潔だわ!」
リアーナが戻ってくると、上半身裸のヴァージュを見るなり一喝。
何でこのタイミングで帰ってくるかなー。
「蓮斗、儂と部屋を出るのじゃ」
「わ、分かった。レティシアとヴァージュ、終わったら教えてね」
「すみません蓮斗さん。直ぐ終わらせますので」
俺が部屋から出て扉を閉める瞬間、部屋の中から杖が回転しながら飛んできた。
「あっぶねー」
「蓮斗殿、すまないな」
「ラーズも一応、男の子だもんね」
「一応と言うのは引っ掛かるが……そうなるな」
それにしても杖を投げてくるとは。
「難儀な主じゃの。着替えの時はどうしとるのじゃ?」
「布切れを被せられて……」
何か可哀想だな。
「蓮斗さん、終わりましたわ」
「あぁ、分かったよ」
部屋に戻り準備を済ませる。
「リアーナ、日課特典は貰った?」
「貰ったよ。ウチのはハズレだったわ」
「そうか。それは残念だったね……」
「蓮斗くんはアタリ?」
「いや、何とも言えない物だったよ」
「そっか……明日に期待だね」
朝食を済ませて管理者の元へと向かう。
「すみませーん!」
「はーい! あ、先日の……少々お待ちくださいね」
また正面から来るのか?
「待たせたな」
今日は二階から管理者が降りてきた。
「国王様から伝達が来ているぞ」
「はい、巡回ですよね?」
「その通りだ。ルートの説明をするので毎日巡回して欲しい。基本的な時間は朝九時から夕刻の五時までだ」
「えっと……お昼の休憩は?」
「無論、問題無い……と言うより多少サボっても……こほんっ、何でもない」
あーそんな感じか。
「不審者を見付けた場合だが……状況で任せる事になる。緊急時は攻撃も辞さないとの事だ」
「攻撃……」
「相手が好戦的な場合は、転移者殿に任せよとの国王様の指示だ」
「了解しました」
王都の地図を貰い、ルートの打ち合わせを済ませて巡回開始だ。
「あと、これを渡しておく」
お馴染みのコインか、それと紙……?
「コインは分かるな? それと巡回警備証明書だ」
証明書とそれを証明するコインね。これで準備完了って事か。
「では、行ってきます」
「あぁ、気を付けて。終わったら必ず管理事務所に顔を出してくれ」
「分かりました。では!」
さぁ、警備開始だ。
「蓮斗くん、これって相当暇だよね?」
「ま、そうだけど仕方がないでしょ?」
「ヴァージュさんは良いなぁ……」
「あたい?」
「歩かなくて……」
あー……そう言う事ね。
「さて、先ずは東西南北の門に挨拶と……」
俺達は北の門へと向かう事にした。
王都の中って、結構距離が有るよな。
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