74)奇襲攻撃
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さて、どうするか。
「儂は不意打ちが良いと思うのう」
「あたいもー!」
「私もそう思いますわ」
「じゃあ、奇襲攻撃って事で考えよう」
あの女戦士、ナーフって言ったか……これはヴァージュたな。
残りの魔術師らしき人は五人、これをレティシアと二人で相手をしつつ、ヴァージュに攻撃させない様に牽制しないとな。
「蓮斗、看破術は駄目じゃぞ?」
「なんで?」
「銃の転移者の様に、術自体に気付かれたらどうするのじゃ? ましてや魔術師が相手じゃぞ?」
「そ、そうだね……」
危ない……使う寸前だったよ。
「クリス、魔法は……使っていただける……くださる? ください? ……お願い!」
「何を言っておるのじゃ? この状況なら使うじゃろ?」
「あ、ありがと!」
マジで!? また断るのかと思ったよ……俺は剣を抱き締めつつ、半泣きで頬擦りした。
「は、恥ずかしいから止めるのじゃ!」
「したたかですわね……」
「なんじゃと小娘!」
さて、具体的にどうするか……。
「ここから魔法を使えるのかな?」
「使えるのじゃが、何を使うかじゃな」
「と言うと?」
「耐える……効かない場合の事を想定するのじゃ」
確かに……相手が魔術師の場合、大いにあり得る展開か。
「恐らく真空魔法は効かぬじゃろうな。あれは力量差が無いと駄目じゃ」
「じゃ、火炎、重圧、遅延かな?」
「そうなるの」
「新しい魔法とか……?」
「銃の転移者に勝っておれば、思い出したかも知れんの」
「何か、ごめん……」
「何故、謝るのじゃ?」
「クリスが威圧的だからですわ」
「この小娘……」
「まぁまぁまぁ……」
スキル、なだめるってのが有れば、相当レベルが上がってるな。
「どの魔法を使ったとしても、使った事はバレるよね?」
「そうじゃろな……」
「一番、効く可能性が高い魔法は……」
「業火の輪じゃな」
そうか……状態異常より、攻撃魔法の方が良いって事か。
「一日三回だったよね?」
「そうじゃな」
「一気に三つ出せる?」
「それは無理じゃが……限りなく同時に近い、二つなら行けるのじゃ」
そっか……それとレティシアの魔法で三体目、俺の縮地術からの攻撃で四体目……。
「レティシア、クリスの火炎魔法が敵に当たるタイミングで、多重の魔矢を当てるのは可能かな?」
「出来なくは……無いですわ」
「じゃ、その瞬間に俺が縮地術を連発させて行けば、全員にダメージを与えられるね」
「理屈はそうじゃが……」
「よし! それで行こう!」
我ながら良い考えだ!
「まったく……術者二人の息を合わせるのが難しいじゃろうが」
「え? そうなの?」
「しかも儂と小娘じゃぞ?」
げっ……不安になってきたわ……。
「まぁよい。行くぞ小娘!」
「貴女に言われなくても!」
俺は隠れながら、ローブの一団に近付く。
「我と契約せし炎の精よ。今再び我の元にて、その姿を現し我の力となれ……」
配置に就き、レティシアと目を合わせる。
「我が剣に宿りて、その業火で敵を討ち滅ぼせ!」
「レティシアの名に於いて命ず、光の精霊達よ、我が無数の矢となり敵を滅ぼせ!」
俺は縮地術を使い、行動を開始する。
同時にヴァージュがナーフに襲い掛かる。
「業火の輪!」
「多重の魔矢!」
クリスの火炎魔法は見事に二人を捕らえ、レティシアの魔法の矢も命中。
ヴァージュはナーフと直ぐに戦闘開始。
「また影人か!」
「たっだいまー!」
俺は縮地術を連発し、二人にダメージを与える事に成功していた。
ここまでは予想以上に上手く行った。
クリスの魔法の餌食になった二人は沈黙、俺が攻撃した二人とレティシアの受け持った一人は、立っているのがやっとの状態っぽい。
「うう……」
「蓮斗さん、魔術師達は瀕死ですわ!」
「おう!」
更に追い討ち、俺とレティシアで一人ずつ倒すが、もう一人が何かを唱えている。
「蓮斗、急ぐのじゃ!」
俺は最後の一人を斬り付けて倒した……が、倒れ際に手から赤く光る球体を放出した。
「なんだ……これ?」
赤く光る球体は、ゆっくりと浮き上がって輝きを増していく。
「蓮斗、破壊じゃ!」
クリスに言われて剣を振り抜くと、空振り……そこには無かった。
「蓮斗さん!」
レティシアの指差す方を見ると、赤い球体はヴァージュの方へと移動していた。
「ヴァージュ! 気を付けろ!」
声に気付いたヴァージュが、赤い球体を見てびっくりしている。
「なにこれー!」
「今だ!」
ナーフの叫びが響く。
ヴァージュはその声に驚き、咄嗟にその場から離れてしまった。
ナーフは赤い球体を片手で掴み、口の中に入れる動作を……つまり、食べてる?
「失敗したのう……」
「ん、どう言う事?」
「強化魔術ですわ……」
「そうじゃな……」
「あーあ……」
ヴァージュ……あーあって、俺が悪いみたいに聞こえるんですけど?
「ぐおおおおおぉぉ……」
ナーフの大きな唸りの様な叫びは、地面を揺るがした。
「お前ら殺す!」
俺達は気を引き締めて身構えた。
ボス戦だな。
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