70)洞窟での出来事
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一人の男が不機嫌そうに寄って来る。
「お前ら何者だ!」
「あんたこそ誰だ?」
「俺はここの住人だ!」
え? ここ家? まさか。
そもそも、洞窟が家って事は無いでしょ。
洞窟なんだから、誰の物でも無いと思うけど。
「お父ちゃん……」
男の後ろに小さな女の子が。
女の子は震えながらコチラを見ていた。
「家だとは思わなくって……申し訳ないですわ」
レティシアが謝る。大人だなぁ……一つ年下だった筈だけど。
「いや、すまんな。家だとは思わないよな」
おっ、結構、話せる人か?
「それに……正確には俺の家では無いからな」
やっぱりね……。
「お前らは何故ここに来たんだ?」
「野営をしようとしたら、丁度良い岩陰を見付けたからだ」
「良く見付けたな」
「そうかな? 逆に今まで入って来た人は居なかったのか?」
女の子は震えたまま。
レティシアは女の子を安心させる為か、ニッコリと笑いながら手を振る。
看破してみるか。
〔名前:テッド 種族:人〕
〔レベル:5〕
〔H P:204〕
〔その他:閲覧権限がありません〕
〔名前:メル 種族:人〕
〔レベル:1〕
〔H P:14〕
〔その他:閲覧権限がありません〕
ん、まぁ普通の人か。HPが高めか?
「何でこんな所に?」
「それは……町を追い出されたからだ」
「え……犯罪者?」
「ば、馬鹿にするな!」
「すまない、冗談だから……」
「近頃のガキは……」
怒らせても良い事は無いな、気を付けよう。
「何故、追い出されたんだ?」
「冤罪だ。俺が魔物を呼び寄せたって事になっていてな」
んー……信じて良いのかな?
ヴァージュがそれを察したのか、小声で俺に伝えてくる。
(この人は嘘をついて無いよー)
分かるのか? 後で理由を聞いてみよう。
「ここで暮らして長いの?」
「一ヶ月くらいだ」
「そうか……」
ここを立ち去った方が良いかな?
「邪魔したね。行こうか、二人とも」
「悪いな……」
「待って!」
さっきまで震えていた女の子が叫ぶ。
「お父ちゃん、危ないから泊まって貰おうよ」
「メル……だが……」
女の子、メルの我が儘が炸裂し、渋っていた父親だが絆されてしまった。
「何か悪いね」
「一人娘の我が儘だ、仕方が無い。お前らも巻き込んで悪いな」
「いや、こっちとしては助かるよ。お礼に夕飯くらいはご馳走するよ」
「な……本当か! それは助かる!」
え、どんなに貧乏なの?
「因みに、普段は何を食べてるんだ?」
「毎日、娘と山菜を採りに……七日に一遍は肉に有り付ける」
結構、厳しい生活を送っているんだな。
俺はランタンを設置、クリスは魔法を解除した。こんな所に住むと、明かりとか不便だよな……。
「シシーに移り住めば?」
「俺は自慢じゃ無いが、手に職が無い……」
「手に職……?」
「仕事の技術とか、そう言う意味じゃ」
「へぇー……」
「け、剣が喋った!」
はい、お約束発動。
「そうか、インテリジェンスソードか。って事は転移者なのか?」
「そうなるね」
「生きてるうちに見れるとはな……」
物珍しそうに俺を見てるな。
「職が無いと厳しいのか?」
「どうやって生活するかだ。雇って貰えるかどうか」
「その前に、門で止められる事は無いじゃろうか?」
いちいちクリスに驚く男……結構面白いかも。
「町を出されたが、町ぐるみで出された訳では無い。一部の町民に追い出されたんだ」
「犯罪者扱いでは無いって事じゃの」
「そうなるな」
少し空気が重いな。
「蓮斗さん、麺を頂けますか?」
「あ、あぁ」
俺は魔袋から作ってあった麺を取り出し、レティシアに渡した。
「めん……? 何だそれは?」
男は不思議そうに麺を目で追う。
「蓮斗様の麺は、おいしーよー!」
「そうなのか?」
「メルちゃん、もう少しで出来ますわ。待っててくださいね」
「はーい!」
さて、そろそろ出来そうだ。
俺は魔袋から、簡易テーブルを出す。
「便利な物を持っているな」
「まぁね」
「出来ましたわ!」
レティシアはテーブルの上に料理を並べる。
「小僧、良い嫁さんを持ったな」
「え……結婚してないよ」
「そうなのか?」
ヤバい、レティシア……聞こえて無い様だな、良かった。
「本日は、バドラン串、パン、うどんですわ」
「ほぅ……バドランを食べやすいサイズに切って串に刺したのか。んぐんぐ……旨い!」
「お父ちゃん、美味しいね!」
「この白い……紐?」
「これは、うどん……さっきの麺ですわ」
「さっきの……初めて見るな……」
恐る恐る口に入れて味わっている。
「お父ちゃん、これも美味しいよ!」
「おう! これも旨いな!」
「では、私達も食べましょう」
「だね! いただきます!」
「いっただっきまーす!」
「儂も食べるのじゃ」
親子は人になったクリスを見て、食べ物を吹き出しそうになっていた。
「こりゃ……たまげたな……」
「お姉ちゃん、可愛いー!」
「そ、そうかの? 酒が旨くなるの!」
「酒も飲むのか……それよりも小僧、女を三人も連れてるのか? ロクな死に方しないぞ?」
「ご忠告、ありがとよ」
結構、楽しい夕飯となった。
人が増えると楽しいね。
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