61)男と双子
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ラスト、地下だ……何とも言えない不安感。
階段を少し降りる。
「流石に暗いな」
「明かりを灯すかの?」
「お願い出来るかな?」
「うむ……天を司る光の精霊達よ、我が身に灯火を与えん。灯火の種」
クリス……と言うか剣が淡く光り出す。
「この位かの?」
「ありがと」
あまり明る過ぎると目立つからね。
階段を降りる、降りる、降りる……ながっ!
「蓮斗、そろそろ儂を鞘に納めるのじゃ」
「ん? 何で?」
「光で気付かれても嫌じゃろう?」
「そうだね」
少しだけ剣を抜いた状態でも足元は見えるな。
更に降りて行くと、下の方から明かりが見える。
「クリス……」
「うむ」
クリスの灯火の種を解除、更に進むと地階に辿り着いた。
壁には一定の間隔で、松明が備え付けてある……何で燃え尽きないんだ?
それにこの遺跡、何でこんなに地下深く造ったんだろう?
「蓮斗さん、何か居ますわ……」
階段の脇から様子を伺う。
あれは……またスケルトンかよ。
「一体だけ?」
「その様ですわ……」
階段の踊り場からは一本道になっており、奥に扉が見える。その前にスケルトンが一体。
「一気に叩くか……」
「一応、看破してみては?」
「そうだね」
〔看破を阻害されました〕
「駄目だ……二階以外は阻害されるんだ」
「不思議ですわ……」
一体で守っているって事は、それなりに強いのだろうか?
「よし、一緒に行こう」
「え!? 蓮斗さんと……一緒に……い……く?」
「レティシア!」
「は、はい!」
危な……トランス寸前だった。
「俺が先に攻撃する」
「分かりましたわ!」
縮地術で速攻だ!
魔物との間を詰め、数回斬り付けた。
バキバキッ!
「あれれ?」
あっさりと倒れてしまった……さっきと強さが変わらない?
「ま、倒したから良いか……」
「ですわね」
「さて……中に入るけど、サラキスさんはここで待ってた方が良いかも」
「分かりました」
「魔袋に入れては如何です?」
「俺達が行動不能になったら出れないよ?」
悩んでいると、サラキスさんが話し出す。
「一人になるくらいなら、袋に入れて貰えませんか? どうせ一度死んだ身ですし」
確かに、俺達が生きてる限りは安全だ。
レティシアの時は石像だったからな……生きてる人を入れるのは、少し抵抗が有るな。
「お願いします!」
ここまで言われると……。
「分かった」
俺は魔袋にサラキスさんを収納した。
後でどんな感じだったか聞いてみよう。
「じゃ、扉を開けるぞ」
ゆっくりと扉を開ける。
明るい!?
「ようこそ!」
誰だ? そいつは部屋の中心に有る椅子に座り、拍手をしながら俺に挨拶をしてきた。
「久々の侵入者で、ここまで来るか楽しみに待ってたよ」
何なんだ、こいつは。
「君達、喋れないの? つまらないなぁ」
「俺は口下手なんでね」
男の後ろから二人の女の子が、ひょっこりと顔を出してコチラを覗いてる。
「ねぇジェイル様、早く殺さないの? ライ姉もそう思うでしょ?」
「ルイルイ、ジェイル様はちゃんと考えてるの。黙って待ちなさい」
「はーい」
この子達は? 似ているから双子か?
「侵入者が来るって言うから、わざわざ地下で待ってたのに……」
この男、明らかにイライラしてるな。
「喋らないし、つまらない人達だな」
俺とレティシアは剣を構える。
「お、やる気になったかな?」
「元々、俺達を殺す気だろ?」
「そんな事は無いよ。怖い怖い」
と、言いながらも笑ってやがる。
こちらから質問をぶつけてみるか。
「ここに転移者が来なかったか?」
ん? 男の顔色が変わった?
「何故、転移者の事を知ってるのかな?」
「まさか……殺したのか?」
男は溜め息をつく。
「何を言ってるんだ? 転移者なんて殺してないが?」
「ジェイル様、面倒臭いから殺しちゃおうよ?」
「ルイルイ待ちなさい。ジェイル様はお話し中よ」
恐ろしい女の子達だな。
「君達……何者? まぁ良いか。何か言っておきたい事ある?」
「ここの主は貴方ですの?」
うぉ、レティシアの奇襲攻撃……口撃か?
「その通りだよ、綺麗な姉ちゃん」
「何でこんなにスケルトンが多いんだ?」
「それは、この子の力だよ。な、ルイ?」
「はい!」
「あ、自己紹介がまだだったね。僕はジェイル、この子がライで、この子がルイ。ライが姉でルイが妹で双子だ。君達は?」
「俺は蓮斗、この子はレティシアだ」
俺達は何で自己紹介をしてるんだ?
「じゃあ、そろそろ始めようか?」
戦うって事だよな……。
「さ、おいで、ライ、ルイ」
「紅蓮銃ライ、参ります」
「無間銃ルイ、参ります」
双子の女の子は瞬く間に銃に変身し、ジェイルの左右の手に収まった……銃?
「さっきの問いに答えるよ。転移者は来てもいないし、殺してもいない。何故なら僕が転移者だからさ!」
「銃の転移者か!?」
この世界に銃が……反則じゃないか!?
「一般ピーポーである君達が、転移者である僕に勝てるわけないんだから、せいぜい楽しませてくれよ!」
これはヤバい……武器がヤバ過ぎる!
「取り敢えず、スキル早撃ち!」
ジェイルは素早く構え、二丁の拳銃を発砲する。
パンパンと音を立てると、銃口から青い弾と赤い弾が発射されて俺の体に命中した。
一発はラッキーな事に剣で弾き、一発は右腕に当たる。
「くっ……痛くない?」
「あー、君……封魔を奪ったのか。しかも、部分的に装備すると分かりにくいね」
え、どう言う事? 弾は魔法?
「僕の銃弾は実弾じゃなくて魔法だからね、封魔で消された訳だ」
「ご丁寧にどうも!」
「でも……その剣、魔法の武器かい? 普通なら砕け散る筈なんだけどね」
何も答えない方が良いか。
「それにしても速すぎる……あんなの避けれないぞ……」
「ですわね……」
「クリスの名に於いて命ず、我を取り巻く風の精霊よ、我に対峙するものの瞬く時を我に与えん! 遅延の風!」
ジェイルは遅延の風に捕まり、速度を落とす事に成功したが……それでも、それなりに動いている。
「剣が魔法を? 君……剣の転移者か?」
「だったら何だ!?」
「僕と一緒に世界を支配しないか?」
こいつ、何も言ってるんだ……?
銃は反則でしょ……。
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