57)いざ、遺跡の中へ!
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「魔物……いるね……」
「そうじゃな」
おかしい、転移者が占拠した筈なのに。
「魔物が出現する事よりも、あの武具を装備してた事の方が不思議じゃな」
何で? 魔物が居る方が不思議だけど?
「あのスケルトンが、封魔の武具を装備していた理由を考えてみるのじゃ」
「理由か……」
「元々、装備した状態で死んでスケルトン化したか、既にスケルトンの状態で装備したか、ですわね」
おぉ、なるほど。
「小娘にしては、よう分かったの」
「一言余計ですわね……」
「で、どちらかと言う事じゃが……」
どちらだろう?
レティシアも難しい顔をしている。
「スケルトンが誕生する方法は、大きく分けて二種類じゃ。一つは、死体から自然にスケルトンになる場合じゃ……自らの意思かも知れぬが」
「もう一つは死霊使いなどの強制ですわね?」
「そうじゃ」
なるほど……自分でなるか、他人の力でなるかって事か。
「偶然、封魔の武具を装備したまま死亡し、そのままスケルトンになるのは考えにくいのじゃ」
「何で?」
「この日射しじゃ。自然にスケルトン化する場合はの、基本的に日射しの無い夜や曇りの場合が多いのじゃ。尚且つ、森のような木陰が無いと発生しにくいのじゃ」
今日は快晴だし、木陰どころか木が無い……道は砂利で周りは岩だらけだ。
「とは言えの、封魔の武具を装備している死体に死霊魔術は効かぬ。武具が打ち消してしまうからの」
「と、言う事は……スケルトンを作る、もしくはスケルトン化した者に封魔の武具を与えた?」
「それが妥当ですわね」
「そうじゃ、スケルトンの発生自体はどうでも良いのじゃが、誰かが与えたと言うのが確率的に高いと思うのじゃ」
て事は……どう言う事?
「この孤島を守る首謀者が、別に居るって事ですわね」
「そう言う事か」
「儂はの……あの様な者に守らせている事自体、人の敵と思うのじゃが?」
そうだよね、襲って来たし……普通の人間だったら殺されて終わりだよね。
これは気を引き締めて行かないと!
辺りを警戒しながら、暫く歩き続ける。
「遺跡の入口ですわ!」
遺跡の入口には誰も居ない。
遺跡自体は結構大きく、奥行きも有りそうだ。
入った瞬間、不意打ちされない様に用心だ。
ゆっくりと中を覗く……ん?
人の気配は無いが、上に行く階段、下に行く階段、奥に行く通路と分かれていた。
「これは……どうしよ?」
「別行動は危険ですわね」
どっちが正解かな……下? いや上かな?
「下は駄目じゃ」
「何で?」
「他の階層の敵に詰められると逃げられないのじゃ」
なるほど、じゃあ奥か上か……。
迷った挙げ句、上を目指す事にした……理由は特に無い。
階段を登って行くが、魔物に遭遇する事も無く順調であった。
「何か、気持ち悪いね」
「そうですわね、ここまで何も無いのも……」
「油断は禁物じゃ」
今日のクリス、やけに喋るし慎重な気がする。
「蓮斗さん」
「あぁ」
階段を登りきった所に扉が見える。
「開けるしかないな」
「蓮斗さん、気を付けて」
ゆっくりと扉を開ける……中を覗くと、白骨化した死体が散乱していた。
「蓮斗さん、あれは……」
そこには目を疑う様な光景があった。
レティシアの指差す方を見ると、巨大な十字架に青年が杭で磔にされていた……まるでキリストじゃないか!?
生きているかは分からない、しかし放って置くのも忍びない。
俺達は十字架の下まで駆け寄った。
カタカタカタ……
「ん? 何の音だ?」
「スケルトンですわ!」
部屋に無数のスケルトンが現れる……罠か!?
「落ち着くのじゃ、魔法の武器を持っている儂らには、大した事では無いのじゃ」
そうだ、スケルトン達の行動は比較的遅い。
「ヴァージュ、手伝ってくれ!」
「うーん……」
え、どうしたんだ……調子悪いのか?
「今度こそ、チューしてくれる?」
「えぇ!?」
「な、な、な、な、なんですって!?」
この状況で何て事を言い出すんだよ!
レティシアまで止まってしまった。
「ちょっと、二人とも!」
俺は一人でスケルトンを倒し続ける。
「蓮斗様、チューは?」
「蓮斗さん、わ、わ、わ、私も!」
何これ……最悪な状況、スケルトンは何十体も残っている。
くっ……何か良い方法は……。
「お主ら……手伝っても接吻は無いかも知れんがの……手伝わぬなら、今後は接吻自体無くなると思うのじゃが?」
な……なんて事を言い出すの!?
「私、戦いますわ!」
「あ、あたいも!」
三人でバタバタとスケルトンを倒し、比較的短時間で殲滅に成功した。
それにしても、クリスのお陰で助かったわ。
「クリス、ありがと……」
「うむ……」
俺は小声でお礼を言った。
「蓮斗様、気が向いたらチューしてね……」
ヴァージュは悲しげに影の中へ戻った。
気が向いたらって……。
「この人、息が有りますわ!」
「何だって!?」
何とか杭を外し、十字架から引き下ろす。
〔看破に成功しました〕
〔名前:サラキス 種族:人〕
〔レベル:5〕
〔H P:3〕
〔その他:閲覧権限がありません〕
人間だな。先ずは回復を使ってみるか。
両手をかざし集中……。
「蓮斗さん、ちょっとお待ちください!」
「え……うぇぇ!? どしたの!?」
「この方、アンデッドじゃないですよね?」
あ、アンデッドだったら……回復でダメージ?
「種族は人だけど……HPも有るし……」
「アンデッドも一応人族で、HPが有るのじゃが?」
「……」
どうしよう……途方に暮れてしまった。
さて、どうしたものか。
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