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54)船上でのひととき

 俺、随分強くなった!

 ……スキルのお陰だけど。

 一日一回じゃなくて、もう数回使えればなぁ。


「のう蓮斗、何か変じゃと思わぬか?」

「え、何が?」

「今回の魔物、孤島の方角から来よったの……」


 確かに、孤島は転移者が占拠した筈?

 魔物が復活でもしたのだろうか?


「逃げて来たのじゃろうか?」

「どうだろうね……」


 もう向かっている訳だから、考えても仕方が無いよな。


「うう……」


 レティシアは……また船酔いか。さっきの元気は何処へ行ったのか?

 ヴァージュは……?


「ヴァージュ?」

「なぁにぃ……蓮斗様? ふぁぁ……」

「ごめん、寝てたんだ」

「うん、おやすみなさい……」


 えっと、これは、もしかして、恐らく、多分、クリスとほぼ二人っきり?


「ねぇ、クリス?」

「何じゃ? 急に猫なで声を出しおって、気持ちが悪いのう」

 

 き、気持ちが悪い……。

 俺の硝子のハートにヒビが入っちゃうよ?


「で、何じゃ?」

「昔の事、少しは思い出したかな……って思ってさ」

「ふむ……ちと微妙じゃ」

「そっか……」

「じゃが……」


 お、新事実か!?


「昔も酒は大好きじゃった!」

「あ、さいですか……」

「つれないのう……」


 しまった、クリス流の冗談だったのか?


「ごめんごめん。クリスってさ……前世で美少女だったのに、何でそんな話し方するの?」

「わ、儂が、美……少女? な、何も出んぞ?」


 お、思わず言ってしまった!

 でも、気を良くしてる?


「話し方のう……至って普通ですわ!」

「何故、レティシアのものまねを……」

「くっくっくっ……」


 遊んでるな……。


「クリス、人化してもう一度ものま──」

「断るのじゃ」

「えー……」

「私が、どうかされましたか……?」

「何でも無いよ、レティシアは休まないと」

「ありがと……ござ…………うっ!」


 レティシアはまた走り出す……これは酔い止めを買わないと駄目だな。


「そろそろ食事にしようか?」

「わーい! お腹空いたー!」

「クリスは?」

「何を食べるのじゃ?」

「肉でも焼こうかと」

「船上で肉とは乙じゃの!」

「レティシアは……?」

「私は結構ですわ……」


 二日酔いからの船酔いで食欲も無いのかな。


「でも、どうやって焼くのかなー?」

「こいつだ!」


 俺はバーベキューコンロを出す。

 いやぁ、この世界にも有って良かった!


「便利じゃな」

「凄いねー!」


 お肉に塩コショウを振りかけて焼き出す。

 俺は、お肉をパタパタとひっくり返す。


「ねー蓮斗様、何で何回もひっくり返すの?」

「この方が柔らかく焼き上がるんだよ」

「へー」


 俺は鼻歌交じりで肉を焼く……出来た!


「お肉が焼け──」


 もう二人とも食べてた……早いなぁ。

 俺も負けじと食べ出す。

 

「あーお腹一杯!」

「儂もじゃ!」

「俺も少し食い過ぎた……」


 さて、レティシアに渡さないと。

 俺は魔袋から、生姜と紅茶の葉を出した。

 生姜を摺り下ろし紅茶と混ぜる。


「レティシア、これ飲めるかな?」

「有り難う御座います……」


 レティシアが目を見開く。


「これは……?」

「生姜入りの紅茶だよ」

「生姜?」

「あ、確か……ハルスだったかな?」

「あぁ……なるほど……」

「実家でよく作る、乗り物酔いに効く飲み物なんだ」

「実家!? 蓮斗さんの実家の秘伝!? ご挨拶に行かなくては……」


 いや、無理だし、何故挨拶?


「あぁ……何だかホッとしますわ……」


 小学生の頃だったろうか。

 車酔いになる度に、母親が生姜入りの紅茶を飲ませてくれたのを思い出して作ってみたんだけど……少しは効いたって事か、良かった。


「孤島まで、もう少しだねー!」

「そうだな……」

「あたいは、もう少し寝るね! おやすみ!」

「お、おやすみ……」


 また寝るのか……。

 更に五時間ほど……遂に孤島が見えてきた。


「あれか……」


 もうじき日が暮れる。

 さっきの魔物みたいに襲われる可能性を考えなきゃ。


「船上で一泊するか、上陸して一泊するか……」

「一長一短じゃな」

「で、出来れば、上陸したいですわ……」

「そ、そうだね、そうしよう」


 このまま朝まで船の上に居たら、レティシアが本当の意味で壊れてしまう。


「あの辺、どうだろう?」


 俺は崖下に有る小さなスペースに指を差す。


「あそこなら安全そうですわ」


 と、言う訳で崖下で一泊して、翌日、砂浜側に移動して探索を開始する事になった。

 そして、到着。一応、その辺の草木で船をカモフラージュする。


「やはり、地面は良いですわね」

「そ、そうだね……」

「レーちゃん、船は駄目なんだねー」

「情けないのう」

「貴方達……夕食減らします……」


 今日の夕食当番はレティシアだ。


「レ、レーちゃんごめん、冗談だってば!」

「小娘、人間には得手不得手が有るからの、気にしなくて良いのじゃ」


 珍しくレティシア優勢だな。

 さぁ、明日は探索だ。




 この後、二人の夕食は量を減らされて修羅場となった……はぁ……。

 この物語を読んで頂き、ありがとございます。

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(既に頂いている方は、有り難う御座います! 感謝です!)

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