51)一晩の出来事
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時計……魔刻の腕輪は、八時を指そうとしていた。
流石に心配になってきた。
何処かで襲われた!? それとも連れ去られたとか? ま、まさか……。
「たっだいまー!」
いつもの元気な声が響き渡る。
「ヴァージュ!」
「本当にもう……心配でしたわ……」
「ん? 何かごめんねー!」
兎に角、戻ってきて良かった。もしもの事が有ったらどうしようかと……。
「あれー? 蓮斗様、泣いてるの?」
「な、泣いてないよ……」
少し目頭が熱くなる。
「ほら、泣かないで、蓮斗様!」
ヴァージュは俺の顔を胸に押し当てる……柔らかい……こ、これは……ぶっ……。
「ヴァージュ! 何をしてますの!」
「蓮斗……鼻血じゃ……」
鼻血を拭きながら事情を確認……。
「んで、こんな時間まで何処に行ってたの?」
「何かねー、お前は高く売れるからって襲われてー」
はぁ!? さらっと何を!
「ボコボコにしたら、お金くれてー」
相手が悪かったね、誘拐犯。
「その人のカシラ? って人に会ってー」
の、乗り込んだのか!?
「魔袋をあげるから、助けてって言われてー」
何か……相手が可哀想になってきた。
「船も貰っちゃった!」
「何だって!?」
「なんて子なの……」
「末恐ろしい娘じゃの……」
「そいつらは?」
「もう一艘の船で、もう近付かないって言いながら何処か行ったよ?」
ヴァージュ……恐ろしい子……。
「ま、まぁ……宿屋を確保して情報確認かな」
「では、宿屋を探しましょうか」
宿は比較的近くで見つかった。
一階が酒場になっていて、夕食も摂れるし一石二鳥だな。
夕食をしながらの情報確認。
「「「かんぱーい!」」」
「中々の酒じゃ!」
「美味しいねー!」
「貴女達、もう少し静かにされた方が……」
「発情小娘は黙るのじゃ」
「何ですって!」
「レーちゃん、声大きいよ?」
「くっ……」
スタートから飛ばすなぁ……。
「先に食べながら情報を確認しよう」
「そ、そうですわね」
落ち着いたっぽいな。
持ち寄った情報を確認しよう。
レティシアが聞いた話に依ると、海上から魔物達がニカの街に襲撃を掛けている……これは俺の情報と一緒だ。
その為、街自体を閉鎖しているらしい。
これは知らなかった、これじゃ行っても入れないな。
それと、ニカの街には誘惑のポーションが売っているらしい……うん、要らない情報だ。
ヴァージュは人攫いの一味から、近々大規模な戦闘、つまり戦争が起こるとの情報を得たのだが……国の名前は聞いてないそうだ。
うん、全然分からん。
闇雲に情報を集めた結果だな……。
「これを踏まえて──」
「蓮斗も呑むのじゃ!」
え、あー、はいはい。
……んぐ……ぐぉっ! アルコール度数高くない!? 喉が焼ける様だ……水、水……。
「えっと、これを踏まえて──」
「レーちゃんも飲みなよ!」
「私は、もう少し後で飲みますわ」
「えー」
話が進まんわ!
「全うに話し合いが出来るのは、レティシアだけか……」
「え……私だけ……私だけを……」
……はい、スイッチオーン!
「これからの行動は明日決めよ……」
「そうじゃ、そうじゃ!」
「お酒飲みながらじゃ、無理だもんねー!」
いやいや、話す前から飲み出すからでしょ。
「蓮斗さんは私だけを……」
都合の良い脳内変換力が高いですね、レティシアさん。
ヴァージュが船を強奪してくれたし、孤島の転移者にでも会いに行くか?
魔物は全部倒したのかな? だとすると居ないかも知れない……でも占拠したって事は居るのか?
「レーちゃん飲もうよ!」
「えっ……えと……」
「発情小娘には無理じゃ」
「何ですって!」
レティシアはクリスの酒瓶を奪い、ゴクゴクと一気に飲み干した。
「やるのう……」
「ほれふらい、れんれん、らくひょうでふわ!」
「儂も負けてられぬわ!」
お、終わった……介抱役が一人減りました。
「ヴァージュ頼む! 今日はあんまり飲まないでくれ!」
「分かったよ! 体力を温存して夜に備えるんだね! 任せといて!」
あれ? 何か違うけど……。
案の定、クリスとレティシアはダウンした。
「俺はクリスを運ぶから、レティシアを頼むよ」
「りょーかーい!」
何とか部屋まで辿り着く。
今回は一部屋四人用の比較的広い部屋だ。
あぁクリスちゃん、なんて良い香りなんだ!
「蓮斗様、顔がやらしいよ!」
おっと、いかんいかん。
ちょっと苦労したが、何とか二人を寝かせる事に成功した。
「よし、うちらも寝るか」
「ふふふ……蓮斗様、夜はこれからだよー!」
ヤ、ヤバい……そう言う危険が有ったか!
「さぁ蓮斗様、今日は寝かせないよー」
「光と風の精霊たちよ、その癒しの光と香りを漂わせ、彼の者に安らかな一時を与えよ」
「これ……は……蓮斗……様…………ぐぅ……」
ね、寝た? 助かった?
「影の小娘め、出し抜こうとするからじゃ!」
「あれ? クリス、起きてたの?」
「今、起きたのじゃ。まさかスキーリエックスが役に立つとはのう」
お、恐るべし、スキーリエックス!
「さ、寝るかの」
「そうだね……」
「放って置いた方が良かったかの?」
「そんな事無いよ! クリス、ありがとね」
「そ、そうかの……おやすみじゃ」
「うん、おやすみ」
今日は川の字で寝る事に……一本多いけど。
スキーリエックス、買い増しだ。
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