49)港町シシーにて
二週間……長い旅だった。
三人の争いに耐える毎日、頑張ったな俺……。
何度、誘惑に…………。
「蓮斗さん!」
「は、はい!?」
「ん? どうしたのですか?」
「い、いや何でも……」
「あそこ! 海が見えましたわ!」
「おー!」
この海沿いを歩き、翌日には港町シシーに到着だ。
ん? 向こうから人が……見た事が有る様な?
「あっれー? 蓮斗君ー!」
薙刀なんて珍しい武器を持つ人は彼女だけだろう。
「凛!?」
「おひさー! 元気にしてたー?」
そういやドロップアイテム疑惑が有ったな。
油断しない方が良いか。
「へー、レベル60くらいかー。ちょっと遅いね!」
看破された! ならこっちも!
〔名前:凛 種族:人〕
〔称号:転移せし者〕
〔レベル:102〕
〔ギルドレベル:15〕
〔能力値:一部閲覧権限がありません〕
〔H P:3076〕
え……レベル102!? 高過ぎ!
そもそも100までかと思ってた……。
「もうちょっと頑張らないと、殺されちゃうよ!」
「精進するよ……」
「女の子と遊んでばっかりじゃ駄目だからねー!」
「あ、遊んでなんか無いよ!」
「ふーん。ま、頑張ってね! じゃーねー!」
「じゃあな!」
食えないやつだ。
「蓮斗様ー! だーれー?」
「今のは薙刀の転移者だよ」
そういやヴァージュとノリが似てるな。
「ふーん。可愛いね!」
「それは否定しないよ」
「性格悪いのー?」
「ノーコメントで」
「のー? こめ?」
「ごめん、何でも無いよ」
「あんまり好きじゃ無いのは分かったよー」
鋭いな……いや、態度で分かるか。
それにしても……潮風が気持ちが良いなー!
元の世界では、海の無い地域だったから新鮮だ。
「風が気持ち良いですわね」
「レティシアは海とか……」
「生まれも育ちもシウオの町ですので、海には縁が有りませんでしたわ」
「そっか。俺と一緒だね」
「え……蓮斗さんと一緒……一緒に……」
おーい、帰っておいでー!
レティシア、こうなるとトランス状態だな。
「ヴァージュは?」
「あたいは覚えてないけど、海は初めてじゃない気がするー」
「そっか。クリスは覚えてる?」
「儂は海の有る村で生まれたの」
え、思い出した?
「蓮斗のお陰で、多少は思い出したのじゃ」
「そっか、転移者の?」
「左様じゃ。か、か、感謝なのじゃ……」
照れてる! 出来れば人化の時に聞きたかった!
「何言ってんの! 相棒だろ?」
「まったく……お前と言う奴は……」
お、少し喜んだ?
さて、今日は砂浜で野営かな? 海キャンプみたい!
「蓮斗さん、あれを見て下さい!」
太陽が海に隠れ始めた。
綺麗な夕陽……レティシアが目を潤ませて見るのも分かるな。
「野営の場所を決めないと」
「あちらの草むらで宜しいのでは?」
「砂浜で良いかなと……」
「砂浜は危険過ぎますわ」
「見通しが良すぎて狙われるのう」
そ、そうだよね……海キャンプが……。
結局、草むらに決定。当然だよね。
「今日の夕食当番は誰だっけ?」
「あたいー!」
ん? ヴァージュ作った事有ったかな?
「宜しくお願いしますわ」
「任せて!」
串刺しの魚を焚き火の近くに準備する。
流石に間違いは無いな、良かった良かった。
「「「いただきまーす!」」」
「ぶほっ……?」
「なんですの!?」
「何じゃこれは!?」
「甘いねー」
ぐっ……まさかの砂糖と塩を間違えた?
全員、海で魚を洗い、炙って食べる事になった。
翌朝、早々に準備して出発し、お昼頃にはシシーに到着した。
「活気が有るなぁ。先ずは物資を補給しようか?」
「そうですわね。その後に食事にしましょう」
「オーケー!」
食料、調味料でしょ、薪と……あ、お酒も。
「蓮斗、あの酒……旨そうじゃ」
あれって、どれだよ? 剣のままだと分からない。
「一番上段の右から二番目じゃ」
「ん……こ、これは……」
そこには禍々しいオーラを放った、骸骨を型どった瓶が置かれている。
「何か……毒物に見えるけど?」
「そうかの……旨そうなオーラに見えるのじゃが?」
クリスさん、それは気のせいだと思いますよ。
「結構、賭けじゃない?」
「蓮斗がそう言うのなら諦めるかの……」
何か……後ろ髪を引かれる感じがビシバシ伝わってくるんですけど?
「あ、ちょっと待って!」
看破!
〔看破に成功しました〕
〔髑髏瓶の酒:シシー二級酒〕
「二級酒って何?」
「この世界の酒の規格じゃ。特級、一級、二級と始まり五級まで有るのじゃ」
「特級の方が高級って事?」
「そうじゃの」
んじゃ、価値的に真ん中くらいのお酒か。
クリスには助けて貰ってるし……。
「よし、買おう!」
「まことか! 早速、今晩呑むのじゃ!」
「いや、これ野営用だからね」
「お…………た、楽しみにするのじゃ……」
あからさまにテンション下がったな。
その後、武器屋、防具屋、道具屋などに寄ったが特に買う物も無く、魔具屋なる店を発見。
怪しさ満載だったが、入店する事にした。
水平線の夕陽って綺麗だな……。
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