17)ギルドの検査
ふぁー……良く寝たな。
カーテンの隙間から強い日差しを受ける。
「おはよう、クリス」
「おはようじゃ」
……ん? ……んん? 初めて挨拶を返した! いつも、うむ……とかだったのに。
感動してる場合じゃないな。先ずはログインボーナスの確認からだ。
〔日課特典:追憶の灰〕
〔追憶の灰を獲得しました〕
何だこれ? ま、今はいいや。
あ、昨日のドロップアイテムを鑑定っと!
〔手袋(?)〕
〔鑑定に失敗しました〕
〔黒い石(?)〕
〔鑑定に失敗しました〕
〔マント(?)〕
〔鑑定に失敗しました〕
…………。
次はステータスの確認だ。
〔レベル:11〕
〔ギルドレベル:1〕
〔能力値:一部閲覧権限がありません〕
〔H P:386〕
〔M P: 11〕
〔攻撃力:89〕
〔防御力:76(+10)〕
〔魔 法:なし〕
〔法 力:なし〕
〔スキル:知識剣との絆〕
〔スキル:罪悪感緩和〕
〔スキル:パリイ=LV5〕
〔スキル:看破術=LV2〕
〔スキル:鑑定術=LV1〕
〔スキル:縮地術=LV1〕
〔熟練度:剣技=LV5〕
うそ……もうレベルが……。
やった! あいつを越えたぞ!
それにしても……何だ? 法力? でも覚えて無い。意味も無くMPが少しある。
後は看破が上がってるな。パリイと剣技も上がってる! こっちの方が嬉しいな。
縮地術……間合い詰めかな? いつ覚えたんだろう? 機会が有ったら使ってみよう。
さて、ギルド会館に向かうか。
ギルド会館に入ると、あいつが居た……。
レベルは変わって無いよな? 看破!
〔看破に成功しました〕
〔名前:ゾルク 種族:人〕
〔レベル:8〕
〔ギルドレベル:3〕
〔H P:258〕
〔その他:閲覧権限がありません〕
よし、変わってない! HPまで見れるのは、大分使えるな。
「おぅ坊主! お前、仕事してない駆け出しだってな!」
「昨日、一つ仕事しましたよ」
「は? たった一つだろ? やってないと変わらんわ! わっはっは!」
五月蝿いな……もうお前よりレベルが高いんだよ! って言えないか。
「じゃあ、お前は今から検査か! 結果を教えろよ? 笑ってやるからな!」
「は、はぁ……」
本当に面倒臭い奴。
軽く会釈をして、その場を去る……俺って大人だなあ。
そして、ギルドカウンターに行き、身分証を渡した。
「お待ちしておりました。此方へどうぞ」
カウンターの中に入ると奥に部屋が有った。
そこに通されると、受付嬢が検査についての説明を始めた。
ギルド検査は、ギルドレベルの確認、見直しをする為に行うそうだ。
検査を行う基準は、通常は年明けに一回、希望者のみとの事だ。但し、初めて仕事をした後、ギルドの緊急対策の仕事をした後、これは必ず受けなければならない。
ギルド員を死なせない為の配慮だろう。
検査内容は、レベルを始めとする能力の分析と確認。同時に特殊能力も確認する。
そして、総合的な能力に基づいてギルドレベルが確定する。
基本的には降格は無いらしいが、身体の欠損等が有った場合は有り得るとの事。
「では、此方の魔法陣にお上がりください」
俺は恐る恐る魔法陣の上に立った。
「あ、申し訳御座いません。クリス様は私がお預かり致します」
「あ、はい……」
さて、どうなるのか?
魔法陣が光りだし俺を包む。事務員がステータスボードの様な物を確認している。
「え……流石は転移者様ですね……」
ん? レベルが高いって事かな?
「有難う御座いました、もう結構で御座います」
礼を言って魔法陣から降りると、そのまま待機してくれって事だ。
結果が出る迄、会館内で暇潰しとなった。
取り敢えず、朝食かな……でもあいつが居るんだよなぁ……。
「おぅ坊主! どうよ?」
ほら、やっぱり来た……。
「結果待ちです」
「まぁ期待しないで待つんだな! わっはっは!」
本当にムカつくなぁ……。
パンを購入し、食べようかと思ったら呼ばれた。結構、早いじゃん……。
「蓮斗様、此方がお二方様の新しい身分証になります」
「有難う御座います」
「蓮斗様のギルドレベルは5になります」
会館内が一気にざわついた。何だろ?
「あの、ギルドレベルって幾つまで有るんですかね?」
「ギルドレベルは20が最高になります」
ん? じゃあ、このざわつきは?
「ですが、このシウオでは5が最高になりますので、町の最高レベルギルド員になります」
え? マジで!
「馬鹿な!」
ゾルクが叫んだ。まぁ納得してないんだろう。そりゃ駆け出しに負けたんだから、しょうがないよね。
「ゾルク様、本当の事で御座います。蓮斗様のレベルは11の上、特殊能力に秀でております」
「くっ……」
わーい、ざまぁ見ろ! お前にクリスを渡すもんか! って声には出さないけどね。
「坊主! 俺と勝負しろ!」
俺は一気に間合いを詰め、手刀をゾルクの首に当てた……縮地術、思ったより凄い。
「いつでも良いですよ?」
「くっ……もういい……」
ゾルクは肩を落とし去って行った。
その日から、他のギルド員達も俺の見る目が変わった。
今日クリスと全然話してない!
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