15)死闘
騙された?
今、この世から消えてるって言ったよね?
「やるしか無いようじゃ!」
「くっ……」
クリスは魔法が使えない.……つまり、俺の地力次第って事か。
ヤバい……詰んだ。
「蓮斗! お主が弱気じゃと儂まで死んでしまうわ!」
そうだ、俺が死んだらクリスまで死んでしまう! それだけは絶対嫌だっ!
深呼吸、一旦落ち着こう。
先ずは看破を試してみよう!
〔看破に成功しました〕
おぉ! 魔法は駄目だけどスキルは使える! しかもナイス成功!
〔名前:ルームル 種族:魔〕
〔称号:谷の主〕
〔レベル:28〕
〔H P:2870〕
〔その他:閲覧権限がありません〕
ルームルって言うんだ……。
あれ? 称号とHPまで見えてる……しかも高っ!
「クリス……今まで……どうもありがとう……うっ、うっ……」
「な、何を泣いておるのじゃ! 戦う前から諦めるでない!」
だって、ステータスが高過ぎる……。
「それじゃあ、遊ぼうかー!」
「蓮斗、来るぞ!」
ルームルの振りかざした左腕は、鋭い爪の付いた獣のような腕に変化し、俺に向かって叩きつける様に攻撃してきた。
俺は何とか剣で凌ごうとしたが、圧倒的な力で吹き飛ばされてしまった。
「痛っ……」
直撃でも無いのに、あっという間にHP一割を持って行かれた。
「蓮斗、次!」
右腕もか!
吹き飛ばされたイメージが強すぎて、剣で受け流せないと思い回避した。
「正解じゃ!」
クリスが叫ぶ。
なり振り構わず斬り込もうと、間合いを詰めようとしたが……スッと後ろに退かれてしまった為、剣先が少し当たった程度だった。
「落ち着くのじゃ蓮斗」
「はぁ、はぁ……」
ルームルはニヤニヤと嘲笑っている。
「人は遅くて弱くて楽しいなぁ!」
くそ……完全に遊ばれてる。
「蓮斗、回避に専念して迎撃するのじゃ」
また腕で攻撃が来る! 右腕、左腕を何とか回避……そして、斬り込む…………!!
次の瞬間、俺は壁に激突し、HPが全体の三割ほど減少していた。
口から血が吐き出る。
「どうだい? 僕、キックも強いだろ? はははっ!」
足を見ると腕と同じく、鋭い爪を持った大きな足になっていた。
「あの獣みたいな手足が……」
「あれは悪魔の手足じゃ」
厳しい……今まで運とクリスの力で戦ってきたからか。今度、生まれ変わったら努力をして強くなろう……。
「良いね、その絶望の顔! やっぱり人は遅くて弱くて楽しいなー」
もうパニックだ! 落ち着いてられない!
ルームルがまた腕を振りかざす。俺は咄嗟に回避したが、着地点を狙われ蹴られてしまった。
痛い、死ぬほど痛い。HPも半分を切ってしまった。
「蓮斗、推測……いや憶測なんじゃが……」
「はぁ、はぁ……何だい……?」
「やつは打たれ弱いかも知れん……」
「……何故?……」
「あやつ先程から、遅くて、弱くて、ばかりで
、脆くてと言う言葉を使わんのじゃ」
「うん……?」
「ひょっとすると、やつ自身が脆いのかと思っての。自分が脆いから人に言えぬ、とかの」
まぁ、そんな事は無いと思うが看破を使ってみる
〔名前:ルームル 種族:魔族〕
〔称号:谷の主〕
〔レベル:28〕
〔H P:2770〕
〔その他:閲覧権限がありません〕
ん? さっき、かすっただけなのにHPが百も減ってる?
ナイス、クリス! それ有るかも!
少し光が見えてきた。
しかし、そもそも攻撃が当たらない。これを何とかしなければ!
「折角、隙を作ってあげてるのに、来ないのかい? つまらないなー。こっちからいくよ!」
ヤバい、攻撃が来る……。
ルームルは攻撃する素振りを見せ、攻撃を止めた。
「なーんちゃって! あははっ!」
くっそぅ……迂闊にコチラから仕掛けると食らいそうだし……。
考えろ俺! 何か手は無いか?
「……何か、つまらないなー」
何とも言えない恐怖感が全身を萎縮させる。
「いくよー」
声と同時に一瞬で間合いを詰められた。そして、拳が俺に向かってくる。
「ぐっ……」
偶然にも構えた剣の刃先で受け止めると、ルームルは派手に仰け反った。
「痛ーい! この野郎!」
意外と効いてる? 直ぐ様、看破を使う。
〔名前:ルームル 種族:魔族〕
〔称号:谷の主〕
〔レベル:28〕
〔H P:2370〕
〔その他:閲覧権限がありません〕
クリスの言った通りだ! やつは極端に防御力が低い!
後はどうやって攻撃を当てるかだ。
何か方法は無いか! 頭をフル回転させて考える。
ルームルは離れた場所から俺に向かい、腕を振り下ろした。
何だ? と思った瞬間、体が何かに斬り付けられた感触を得た。
「うがぁっ……」
「蓮斗!」
体からは大量の血飛沫が舞った。
クリス、ごめんね……。
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