119)ラージのターン
閲覧頂き、ありがとうございます。
こちらに辿りついたのも何かの縁だと思いますので、一読頂ければ作者は喜びます。
仕事の都合上、更新が遅れており申し訳ございません
「やあやあ、お早う! よく眠れたかい?」
応接間に入ると、既にラージ達が座って待っていた。
「ごめん、今、朝食を終えたところで……」
「大丈夫大丈夫! 分かってるよー! レッズ、例の物を出してー」
ラージが手を差し出すと、レッズはフードを被ったままで首を傾げる。
「アレだよ、ア、レ!」
「アレって、なによ!」
は、初めてレッズの声聞いたわ。てか声高いなぁ……ま、まさか?
「あの、レッズさんって女性?」
「ん? あぁそうだよ。こいつは女だよ」
「こういう仕事の人って男性ばっかりだと思ってて……」
「蓮斗っち、失礼だなー」
「あ、ごめん。偏見だったよ」
「そうじゃなくって、俺も女なんだけど?」
な、なにー!?
「え、蓮斗くん、ラージさんは男だと思ってたの?」
「蓮斗さん、流石に女性に見えると思いますが……」
「え、いや女性だと思ってたよ……」
「蓮斗っち、随分と自信の無い言い方だね? でも、こんな名前だからよく間違われるんだ。気にしなくて良いよ」
「あ、うん……なんかゴメン」
「いいって! ちょっとショックなだけさー」
「うっ……」
「ラージ、からかうのも良いが、アレって何だ?」
あぁ、忘れてた。何の事だ?
「地図だよ、地図!」
「最初っからそう言えよ」
ラージはレッズから地図を受け取り、俺達の前で広げて見せた。
「俺達が居る場所はここね。そして現在判明している拠点はこの丸印の場所だ」
地図上には赤い丸印が四箇所。
あれ? 拠点は五箇所だった様な?
「ラージ、拠点って……」
「五箇所だから一つ足りないって思ったかな?」
「だよね?」
「実はこの辺って事は分かっているんだけど」
そう言いながら、ラージは地図に新しく大きな丸を描いた。
「正確な場所は分からないって事かな?」
「そう言う事になるね!」
「四箇所を制圧しながら、最後の拠点を探すって事かな?」
「ご名答! 蓮斗っち、やるなー」
いや、それしか答えが無いと思うけど。
「ま、先ずはこの一番近い拠点から攻めよう」
「分かったよ。その最初の拠点まで、距離はどれくらい有るのかな?」
「馬車で今日中には到達するかな?」
「思ったより近いんだね」
相手の拠点に近い場所に、こっちの拠点を構えるのも凄いなぁ。
「さ、そろそろ出発するよ! 蓮斗っち達、準備してね」
「あぁ、急ぐよ。レティシア、リアーナ?」
「私は大丈夫ですわ!」
「ウチはちょっと時間欲しいー」
「分かったよ、急いでね」
そう言うとリアーナは、そそくさと退室した。
「レティシア、俺達も荷物だけ持ってこよう」
「分かりましたわ」
「ラージ、悪いが少し待ってくれ」
「馬車で待ってるよ!」
荷物を取りに部屋へ移動。
よく考えたら、俺は魔袋が有るから何も持っていく物は無いな。
「蓮斗さんはどうして部屋に……はっ! まさか私の為にわざわざ付き合って頂いたのでは……」
「レーちゃん、ウチも居るんだけどね?」
「わ、分かってますわ!」
「そんな事より準備をしてくれ……」
二人とも身支度を済ませ、ラージと合流。
「お待たせ」
「蓮斗っち遅かったね。女の子達と何かしてたのかなー?」
「何もしてないよ」
「つ、つれないなぁ、冗談だよ!」
本気に聞こえたけど?
「では皆様、ご武運を」
「ありがとうサーシャ、行ってくるよ」
今回の作戦にサーシャは不参加だ。ま、一般人だから危ないし、仕方がないよな。
「よし、出発だー!」
全員乗り終え、ラージの掛け声と共に馬車は走りだした。
「ところで蓮斗っち、リアっちは魔法使いでしょ? レティっちは……?」
「私は魔法剣士ですわ!」
え、そんな職業だったのか!?
「へー! レティっち凄いね!」
「蓮斗様もですわ!」
「そりゃ凄いじゃないか! 何で隠すんだよ蓮斗っち?」
「いや、隠してないし、そんな大層なものでもないよ」
「またまた、謙遜しちゃって!」
実際、魔法が使えるのはクリスだし。
俺は法力って言う回復系しか使えないんだけどなぁ。
「ラージとレッズは?」
「ここに居るけど?」
「え……」
「冗談だよ!」
ちょっとイラっとするな。
「俺はコレだよ」
そう言うと、ラージは両手を俺に見せた。
「手?」
「そう、素手だよ!」
え? 空手家的なやつか?
「俺は体術を会得しているんだ!」
「体術か」
「あ、今馬鹿にした?」
「そんな事は無いぞ」
ラージは両方の手の平を上にし、何かブツブツと囁く。
「ん? 何を──」
突然、ラージの拳は赤い炎の様な物に包まれた。
「こ、これは!?」
「凄いだろー! 俺は魔気闘士なんだ!」
「まきと……なに?」
「ま、き、と、う、し!」
「え、魔気闘士って何?」
「えー、知らないのー?」
「あ、うん……なんかゴメン」
「仕方ないなぁ。説明してあげるよ!」
ラージはドヤ顔で言い放った。
この物語を読んで頂き、ありがとうございます。
評価、感想、ブックマーク等を頂けると、とても嬉しいです! 是非、宜しくお願い致します!
(既に頂いている方は、有り難う御座います! 感謝です!)