117)次の目的
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「では、改めて。俺はラージ、コイツはレッズだ。宜しくなっ!」
ラージと名乗る男(?)は握手を求め、もう一人のフードを被ったままのレッズと言う人は軽くお辞儀していた。
「俺は蓮斗、そして……」
レティシア、リアーナを紹介して握手をした。一応、ヴァージュの事は隠しておく。
「両手に花なんて羨ましいなぁ!」
「両手に花って……」
「私の事を綺麗な花だなんて、見処が有りますわね」
「ウチも綺麗な花?」
覗き込んでくるリアーナに軽く頷き、リアーナは満足そうだ。それにしても、綺麗なんて言ったか?
「はっはっはっ! 君の花達は面白いね!」
少し恥ずかしくなってきたわ。
「で、今後の話をしに来たんじゃ?」
「おぉ、そうだった、蓮斗っち!」
「ち!?」
「蓮斗だから、蓮斗っちで良いっしょ? あとはレティっちとリアっちね」
「えぇ……ウチらも?」
「問題有るー?」
「いや、別に良いけどさー。ウチ、そんな呼ばれ方された事無いよ」
「じゃあ俺が初めての人だね!」
何だろう、この人苦手かも。
「そろそろ話を進めようか?」
「あれれー蓮斗っち、嫉妬してんのー?」
「な、な、何でそうなるの!?」
「え、蓮斗くん、そーなの?」
「そんな……蓮斗さん……」
「いらん誤解を招くから止めてくれ」
「分かった分かった、冗談だよ!」
「冗談でしたの!? 良かったですわ!」
さて……話は本題へ。
「明日、蓮斗っちには魔術結社の拠点と思われる所に行って貰う。あ、俺も一緒にね」
「拠点?」
「帝国内に拠点は五箇所以上有るんだ。その内の一番近い所に行って、まずこれを制圧する」
そんなに拠点が有るのか。そりゃ戦争どころじゃないのも分かるな。
そんなこんなで色々と話をして、今日の所はお開きとなった。
「んじゃ、明日の朝また来るよ。ここの食料は好きに食べてくれて良いから!」
「ん、ありがと」
「じゃ、蓮斗っち、レティっち、リアっち、また明日ね!」
ラージと無口なレッズを扉まで見送り、部屋に戻ってくると、ヴァージュが果物を食べていた。
「んぐ! ……んぐっ、ふぅ……」
「ヴァージュ、いつの間に?」
「部屋から出る時だよ?」
「いや、普通に言われても」
「美味しいよ?」
「ウチもお腹空いたー!」
「取り敢えずご飯にしよっか」
全員、喜びの声を上げる。皆、お腹が空いてたのか。
「皆様、食堂にご案内致します」
食堂と呼ばれる場所へと移動、これは……。
「これは中華のターンテーブル?」
「円卓の上に円盤? ウチ、こんなの見た事無いよ!」
え? 未来の日本にはコレ無いのかぁ。
「面白い食卓じゃの!」
「あたいも初めて見るー!」
何かテンション高いな、この二人。
って、クリスがいつの間にか座ってるし。
やや暫くし、円卓の上に料理が運ばれてくる。
「お飲み物は何に致しましょうか?」
お手伝いの人が皆に飲み物のオーダーを聞いて回る。
「俺は果物系の飲み物で」
「かしこまりました」
「儂は酒じゃの!」
クリスがオーダーした途端に、お手伝いのローブの人が動きを止める。
「なんじゃ?」
「あのクリス様……」
ゆっくりとサーシャが話し始める。
「この帝国では、下級国民禁酒法と言うのが有りまして、つまり……その……」
「さ、酒が無いと言う事じゃ無かろうな?」
「そ、その通りです……」
「なん……じゃと……」
崩れ落ちるクリス、可哀想に。
「下級国民が駄目って事は、お偉いさん達は飲めるって事?」
「剣様の言う通りです」
「儂がこの帝国を滅ぼして酒を奪うのじゃ!」
「ちょっ、クリス!」
「冗談じゃ」
冗談に聞こえ無いから止めてくれ。
あれ?
「持ち込んだりすると……どうなるの?」
「処刑ですね」
「えぇ!?」
「まさか、剣様?」
これは……どっちが正解だ? 魔袋にはクリス用のお酒が入ってる。しかも結構な量だ。
俺が悩んでいると、サーシャがニコニコと笑いながら話し出す。
「剣様達は例外中の例外です。帝国からも許可は得ていますが、くれぐれも一般人の前では飲まないでくださいね!」
「そ、そっかぁー」
「意地悪してすみません」
マジで焦った……お茶目なサーシャめ。
「じゃあ蓮斗、頼むのじゃ」
「はいはい」
クリスのグラスにお酒を注ぎ、晩餐会がスタートする。
暫く笑い声が絶えない楽しい夕食だったのだが、リアーナの一言が沈黙をつくる。
「サーシャお姉ちゃんは恋人とかいるのー?」
「ですから、自分は杖様の姉君では有りませんよ?」
「そんな事どうでも良いの! 恋人はいるの?」
溜め息をつくサーシャ。何だか気の毒だな。
「そう言う杖様はいらっしゃるのですか?」
「え……ウチ? ウチは……」
リアーナの奴、自分では答えられない質問をしていたのか。
「ウチはもう少し!」
「は?」
「え?」
「う?」
「なんじゃ?」
全員、見事に意味不明な状態に。と言うか言った本人も困惑した顔になってるよ……。
「リアーナ、大丈夫か?」
「蓮斗くんは黙ってて!」
「蓮斗さんに何を仰いますの!」
「行け行けレーちゃん!」
「杖の小娘、怯んでは駄目じゃ!」
「二人とも煽るなよ……」
俺とサーシャ以外はお酒を飲んで見事に酔っぱらっている為、全く収拾がつかない。
一通り騒いだところでサーシャが二回ほど手を叩いた。
「はいはい、皆様、そろそろ寝ましょうか?」
就寝時間か。最後の最後で疲れたな。
俺達は寝室へと移動する事になった。
お酒が入ると大変だな。
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