111)転移者と魔法
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なんだかんだで111話まで到達しました。
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俺は一気に間合いを詰め、デルマードと名乗る転生者に一撃を叩き込む。
ガチンッ!
「ぐっ……」
「くっくっくっ」
俺の一撃は両手持ちの剣に防がれた。
まるで盾に阻まれたかのような感触……太い剣は攻撃力だけじゃなく防御力も高いらしい。
これで防ぎ続けられると相手にダメージを与える事が出来ない。
「こんなもんか? 大した事無いな!」
「くっ、剣技、廻陣炎舞!」
鍔迫り合いからの回転連続攻撃!
「おーおー良く回るな! ごり押しか?」
大きな剣で全ての攻撃をガードされてしまった。
「剣に当てても意味が無いのじゃ」
「そ、そうだね」
「ほー! インテリジェンスソードは、ジジィかババァか!」
「蓮斗、あやつは死刑じゃ!」
そこで怒るんだ……。
「じゃあ、そろそろ行くぞ!」
「今のは本気じゃないってか? くっくっくっ……いいだろう、来やがれ小僧!」
俺は縮地術で間合いをとる。
「はぁ? 逃げんのか?」
「クリス!」
「うむ! クリスの名に於いて命ず! 我を取り巻く風の精霊よ、我に対峙するものの瞬く時を我に与えん! 遅延の風!」
風はデルマードを包み込む。
「魔法か!」
「クリス、続けて!」
「我と契約せし炎の精よ。今再び我の元にて、その姿を現し我の力となれ。我が剣に宿りて、その業火で敵を討ち滅ぼせ、業火の輪!」
火炎の輪がデルマードを縛りつけた。
「ぐぉぉ……きったねーぞ! 魔法なんか使いやがって! ぐぬ……」
火炎の輪が消える間際、縮地術で近付いて一撃……が、また剣に阻まれる。
「立て直すのが早いな……」
「お前の攻撃がおっせーんだよ!」
本当、良くアレを受け止めたな。
「蓮斗、妙じゃ。あやつの能力を確認するのじゃ」
「いや、看破するまでも無かったよ」
「どう言う事じゃ?」
ログが小さくて見難いから、いつも戦闘中は無視していた。今回は偶々ログを確認したのだが……。
〔デルマードは風属性をレジストしました〕
〔デルマードは火属性をレジストしました〕
「アイツ魔法に掛かった振りをしてるんだ」
「なんじゃと?」
「くっくっく、良い演技だろ……ぶ、ぶはぁ! な、なんだこの氷は!?」
これはリアーナの氷刃の光剣?
「ウチの事を忘れて貰っちゃ困るよ!」
「俺様にダメージを……」
と言っても、残りHP4684も有るのか。
「リアーナ!」
「オーケー! リアーナの名に於いて命ず、風の精霊達よ、彼の者に取り巻き、彼の者に翼を宿らせよ!」
「剣技、廻陣炎舞!」
リアーナの加速魔法に乗っかっての連続攻撃!
「その技は効かねぇ……さっきより早い!?」
横腹に一撃入れる事に成功! 当たったぞ!
「ぐふ……き、貴様ぁ!」
デルマードの顔が歪む……効いているぞ!
「蓮斗くん! 止まらないで!」
「え? あ……」
リアーナの叫びも虚しく、俺の攻撃は止まっていた。
「んん? 貴様、戦闘は素人か? それとも手加減か? どっちにしてもムカつく奴だ」
デルマードは防御姿勢を立て直し、馬鹿にした様な目で俺を見ていた。
「蓮斗、馬鹿じゃのう……」
「ごめん……」
悪い癖が発動……ずっと当たらなかったものが当たると、つい嬉しくて攻撃が止まってしまう。
「ぐぉぉぉぉ……」
デルマードは全身に力を入れ唸り出す。
「蓮斗くん、何かマズくない?」
「一体……」
「喰らえ! スキル、転移者の拘束具!」
俺達はデルマードを中心とした巨大な光の半球に包まれてしまった。
半球は直径百メートルってトコだろう……距離の推測は陸上部的感覚だけど。
「クリス、コウソクグって何?」
「体を縛り付けて拘束する道具じゃ」
「な、なんて素晴ら……恐ろしい道具なんですの!」
「レティシアちゃん、何を想像してるの? 流石のウチも引くよ……」
「も、申し訳ありませんわ……」
「この妄想発情小娘め……」
何の話だ? それよりもログが……。
〔ステータス異常〈魔法使用不可〉〕
〔ステータス異常〈法力使用不可〉〕
「げ、法力が使えない!?」
「儂もじゃ!」
「俺様は魔法が嫌いでな! 封じさせて貰ったぜ! 知識武器自体も魔法を使うなら一石二鳥だな! いや、今回は一石四鳥か! がっはっはっ!」
「ウチらもだ!」
リアーナ達もか!
「うぉらっ!」
「甘いですわ! レティシアの名に於いて命ず、光の精霊達よ、我が無数の矢となり敵を滅ぼせ! 多重の魔矢!」
「ぐぉっ!」
先に戦闘を再開したレティシアと盗賊だが、レティシアが魔法を……。
「そうか、転移者だけ魔法が使えないのか!」
「その様じゃな」
「さぁ、貴様らの相手は俺様だ! 魔法無しで勝てるかな? 杖の女は役立たずだな! くっくっくっ」
「ウチを甘く見ないで!」
リアーナがそう言い放つとラーズは杖から剣に変化した。前に俺達に見せた状態変化か。
「貴様、剣も使えるのか?」
「ウチ、かなり強いよ!」
これは……ハッタリだな、でも相手は警戒するから今は助かる。
さ、第二ラウンド開始だ!
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