110)無法地帯
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「まだガキだが高く売れそうだな!」
「背が高い方は俺の好みだな!」
これが低能な輩と言うのか?
「お前ら何の用だ?」
「おいおい、ガキが英雄気取りか? はっはっはっ!」
癇に障るな、俺はそんなに弱そうに見えるのか。
「汚らわしい方々ですわね!」
「ネェーちゃん、気が強くて俺好みだぜ!」
「俺はフードの娘を試食してから売っぱらうぜ!」
「おいおい、傷付けるなよ! 売り物になんねぇからな!」
くそ、好き勝手言いやがって。
「蓮斗くん、殴って良い?」
「私もそう思いますわ!」
「そうだね」
俺達の会話を聞いた盗賊連中は、お互いに顔を見合わせて大爆笑だ。
「嬢ちゃん、ほれほれ俺の顔はここだぞ? 殴ってみな? はっはっ──」
ボカッと大きい音を立てたかと思うと、盗賊の一人は吹っ飛んで倒れ込んでいた。
「なっ……このガキ!」
「ウチは殴るって言ったよね?」
リアーナさんってば短気ですか?
一応、能力確認しておこう。
〔看破に成功しました〕
四人ともレベル20くらいか。
リーダーっぽいのは62、結構強いな。
げっ! リアーナに吹っ飛ばされた奴、HPが1だよ……怖えぇ……。
「男は殺せ! 女は顔以外を狙え!」
一人が指示し、三人で俺達に襲い掛かるが……当然、返り討ちだ。
「ぐぉ……」
「ぶはっ……」
あっと言う間に気絶させる事に成功。
「な、何者なんだお前ら!」
「自分達で襲い掛かった癖に良く言うよな」
「俺を本気にさせたな! 後悔しろ!」
盗賊は両手に短剣を持ち、俺に向かって襲い掛かる。
「蓮斗さん!」
「うん、一人で大丈夫だ」
「なんだと!? 死ねや! 剣技、高速連撃!」
そ、そのまんま!? でも結構早いっ!?
盗賊の高速攻撃を全て剣で受け流し、反撃に出ようとした瞬間、俺は吹っ飛ばされてしまった。
「はっはっは! さっきの余裕は何処に行った?」
最後に回し蹴りを喰らったらしい。
「蓮斗くん、お腹から血が!」
「え? 何で……?」
しかも視界が定まらない?
「どうだ? 俺様の毒刃旋風脚は?」
「靴の爪先に毒刃を仕込んで蹴っただけじゃん! ウチの目は誤魔化せないよ!」
「……大層な……名前だな……」
あれ、体が痺れてきたぞ? 上手く喋れない?
「蓮斗さん!」
「ふっはっはっ! 麻痺のオマケ付きだ!」
こ、姑息な手を!
「卑怯ですわ!」
「て事は一対一は終わりだね! ウチらも戦おう!」
「そうですわね!」
「レーちゃん……」
「ヴァージュは念の為、待機をお願いしますわ」
「あーい……」
「レティシアちゃん! ウチは蓮斗くんにポーションを飲ませてから行くよ!」
「分かりましたわ!」
情けないが俺は見守る事しか出来ない。
「行きますわよ!」
レティシアと盗賊のスピードはほぼ互角、俺の様に油断はしていないから大丈夫だろう。
「蓮斗くん、これを!」
リアーナは両手にポーションを持ち、俺の口へと無理矢理流し込もうと……両手!? 二本同時!? ちょっと待て、ただでさえ口と喉も麻痺で飲み難いのに!
「んぐっ!? ごほっごぼっ! ぶはぁ! んぐぐ……げほっげほっ……」
「蓮斗くん大丈夫!?」
「お、溺れ死ぬとこだった……」
「ん? まぁ治ったみたいだね! 良かったぁ!」
「リアーナ、今度からポーションは一本ずつな?」
「ん? 分かったよ?」
うん、分かってないな。
「ちっ! もう回復しやがったか!?」
「さ、もうお前に勝ち目は無いぞ!」
リーダー風の盗賊は短剣をコチラに向け、大きく息を吸い込むと叫び出した。
「兄貴、緊急事態でやんすっ!」
兄貴? 誰の事だ? 何処にも見当たらないけど?
「俺様を呼ぶって事は相当な奴なんだろうな?」
突然、短剣から声が聞こえる。
「ま、まさかインテリジェンスソード!?」
「落ち着くのじゃ! 剣は儂だけじゃ! 多分じゃが……」
最後の一言で凄く不安になるんだけど?
「くっはっはっ! お前ら全員、兄貴に殺されるぞ!」
短剣から禍々しい煙が発生し、一人の大柄な男が現れた。
「召喚魔術ですわ!」
男は両手で大きな剣を持ち、頭には獣の頭部をくり貫いて作られた様な兜を身に付けていた。
如何にも盗賊って感じだ。
「インテリジェンスソードじゃなくって良かったわ……」
「まったくじゃ……」
クリスも焦ってんじゃん。
「ほう……これは俺様を呼んで正解だな! 雑魚だったらお前を半殺しにしてたぞ?」
「勘弁してくださいよ兄貴ー」
「お前、何者だ?」
「ふん! 自分で見れば良いだろう? 転移者ども!」
「な……何故!?」
と、兎に角、看破だ!
〔看破に成功しました〕
〔名前:デルマード 種族:人〕
〔称号:転生せし者〕
〔レベル:121〕
〔H P:4824〕
〔その他:閲覧権限がありません〕
「転生者か!」
「その通りだ! 覚悟しろ!」
くそ、高レベル転生者か!
「近接系転移者、魔法系転移者、一般人が一人、あとは普通の剣士が二人……? どう言う事だ? 馬車の中か?」
うわっ、ヴァージュの存在がバレてる!
でも、認識はしてないのか?
「お前は背の高い方の女だ」
「へい! 兄貴!」
「転移者共は俺様が殺る!」
先手必勝! 俺は縮地術で一気に間合いを詰める事にした。
転生者か。
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