105)散策
PV20000感謝!
これからも宜しくお願いします!
「お腹空いたー!」
「ウチもー!」
何だこの駄々っ子達は?
「有りませんわね」
ま、そうだよね。城の中にお菓子屋さんなんて有るわけ──
「蓮斗様、有ったー!」
有るのかよ……。
颯爽とリアーナとヴァージュが店のカウンターへ。
「うーん……」
「悩んでますの?」
「白いのと茶色いの、レーちゃんならどっち?」
「白ですわね」
「ウチはね……し……んー、茶色かな!」
「あたいも茶色にするー!」
白とか茶色とか何だろ?
「これは?」
「ビルラシダーですわ」
「び、びるだ……?」
「ビルラシダー、ビルラシッドの実で作ったお菓子ですわ」
「へ、へぇ……」
見た目、豆腐と茶色い豆腐だ。
「リアーナ、どう?」
「んー……少し甘いかな? ショコラムースの凄く薄い感じ?」
「それって全然違う物じゃ?」
「うん、チョコっぽい味もしないしね」
これ、どっちが良いのか全然分からん。
皆、美味しそうな顔をしていないのが気になるな。
「レティシア、一口味見させて貰える?」
「え……」
「あ、駄目なら──」
「全く問題無いですわ! これをどうぞ!」
スプーンを俺に差し出して来たのだが……。
「お口を開けてくださいまし」
「え、あぁ」
「はい、あーん……」
「んぐ…………」
食感は確かにムースっぽい……少し酸っぱいな、白いのは酸味が有るからチーズケーキ的な感じか。どちらにしても薄い味って事か。
「ありがと、レティシ……何でそんなにスプーンを舐めてるの?」
「はっ……え、あ、いや、お構い無く……」
「変態発情妄想馬鹿小娘め……」
「な、なんですって!」
小娘の前に一杯付いたな。
「蓮斗くん、今度もっと美味しいの作ってよ」
「ば、馬鹿……」
「え? ウチ何か悪かった?」
店の人の前で何て事を……睨み付ける店員を尻目に俺達はそそくさと店を立ち去った。
店から離れ、そのまま歩き続けると噴水に辿り着いた。
貯水の部分は円形に作られており、それに沿う様に円形の長いベンチが配置されていた。
城内なのに街に居るみたいだ。
「この辺で座ろっか」
「ごめんね、蓮斗くん」
ばつが悪そうにリアーナが謝る。
「謝る事でもないと思うけど……今度から気を付けよっか」
「うん!」
結局、自分の分を買い損ねたな。
「蓮斗様、あたいの食べる?」
「いや、大丈夫だよ」
「じゃあ、ウチの食べる?」
何故そうなる?
「気持ちだけ受け取っとくよ」
それよりも午後からの話が気になるな。
「蓮斗さん、どうかされたのですか?」
「ん、あぁ、魔術結社の話が気になって」
「そうですわね……直ぐに攻め込む様な話では無いと思いますが」
「それに近い話だったらどうしよ……また偵察とか」
「その時は……その時ですわね」
「何じゃそれは……」
少し空気が重くなってきたか?
「クリス、久しぶりに稽古しない?」
「お、良い心掛けじゃな」
実はクリスの姿を見て癒されたいだけ、とは言えず稽古スタート。
「何じゃ! だらしないの!」
「まだまだ!」
変だぞ? 俺、結構強くなってる筈なのに。
「不思議そうな顔じゃの?」
「はぁ、はぁ……何でクリスはそんなに強いの? つか速いの?」
「一つ教えてやるかの?」
「是非……」
「お主のレベルが上がると、儂のレベルも上がるらしいのじゃ」
「えー……」
黙っててもレベルアップ……それこそチート級じゃん!
「何で教えてくれなかったの?」
「仕方無かろう、儂も最近気付いたのじゃ!」
「えー……」
何か妙に偉そうだし。
「よし! 時間も勿体無いし、ここまでにするかの?」
「うん、ありがと」
癒される筈がむっちゃ疲れただけだったな。
魔刻の腕輪を見ると十一時半を指している、まだ少し時間が有るな。
「蓮斗くん、粗品は何だった?」
「あ、まだ見てないや」
「ウチね、これ!」
自慢気な顔して金色の短い杖を見せてきた。
「高そうだな……」
「ね! 凄いでしょ?」
「これでラーズもお役御免か」
「あ、主!?」
「そんな事無いよ! 予備武器だよ! 蓮斗くんも変な冗談言わないで」
「ごめんごめん」
「蓮斗殿……」
「で、どんな特殊効果が?」
「わかんない!」
「そ、そうか」
さて、俺は何かな?
〔災禍の魔油を獲得しました〕
〔鑑定に失敗しました〕
うわぁ……嫌な名前。
「何だった?」
「災禍の魔油だって」
「さいか? 何かヤバそうだね」
「うん。鑑定も失敗したし、ちょっと使えないよね」
思えばそんなアイテムが一杯有るな。
「ま、そのうち分かるよ! ウチもその時が来るまで我慢する」
「だと良いけどね」
さて、昼食に向かうか。
「皆、そろそろ行くよ?」
「蓮斗様! 御飯食べてお話が終わったら魔具行こー!」
「うん、分かってるよ」
ん? 皆ニコニコしてる……そんなに魔具店に行きたいのかな?
この後、昼食を済ませて謁見の間へと戻る事となる。
さ、何を言われる事やら。
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