102)数字
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「さぁ勝負だ! クリス、重力魔法を!」
「蓮斗、忘れおったか? 重力魔法は一日一回じゃ」
「あ……」
「遅延魔法で我慢するのじゃ」
「あ、あぁ……そうだね」
俺達はクリスの魔法に併せる為に走る準備をする。
とは言っても、俺は縮地術が有るから少し遅れても取り戻せるんだけどね。
「クリスの名に於いて命ず、我を取り巻く風の精霊よ、我に対峙するものの瞬く時を我に与えん、遅延の風!」
「スタート!」
掛け声と共にダッシュ。
遅くなっているとは言え、侍のスピードが速い事に変わりはない。
三人同時の攻撃で一回当たるかってとこだ。
「そろそろ魔法が切れるのじゃ!」
「よし、下がろう!」
全員下がり、侍の頭上を見ると『壱』の文字が浮かんでいた。
「壱か。どうやら零が有るみたいだね」
「蓮斗さん、魔法で削りましょうか?」
「その方が安全だよね。リアーナ、この防御魔法の残り時間って分かる?」
「うん! あと五分二十六秒!」
細かいなぁ。リアーナにはカウンターか何かが見えているのだろう。
「リアーナ、攻撃魔法使える?」
「勿の論だよ!」
「……そこそこ威力の有るのでお願い出来る?」
「うん、分かったよ! ウチに任せて!」
頼られると嬉しいタイプなのかな?
「天と地に生ける光と水の精霊達よ、我が前に集いその姿を現せ。凍える剣となりて我が敵を討ち滅ぼせ! 氷刃の光剣!」
リアーナの目の前には冷気を纏った剣が現れた。まるで硝子を素材にして作った様な剣だ。
「少し寒いな……」
「凄まじい冷気ですわ」
魔法で生成された剣は侍に向かって飛び出す。
そのまま胸に命中、侍の体を貫いた。
「やったか!?」
侍は片膝を落とし沈黙、そして頭上には『零』の文字が浮かび上がる。
「皆! 気を付けて!」
何が出るのか分からないので、全員防御体勢を取って見守るしかない。
「ぐぉぉ……」
「しゃ、喋った!」
侍は苦しそうに唸り始めると激しく光る。
「眩し……い?」
光は直ぐに消え、そこには金色の甲冑を纏った侍の姿があった。
頭上の数字は跡形も無く消えていた。
「強そうだな……」
「不気味ですわ……」
「きれーだね!」
「ウチの趣味じゃないわ」
「じゃが動かぬぞ?」
これは二体目と考えて良いのだろうか? それともまだ一体目なのか?
「先ずは俺が一人で行く」
「危険ですわ!」
「いや、情報が無いから皆で行くのは危険だと思う。縮地術を使って往復してくるだけだから大丈夫だよ」
「分かりましたわ。でも、お気を付けてくださいまし……」
「あぁ。行くよ、クリス!」
俺は単身、侍に向かって突っ込む。
ガシンと言う音ともに攻撃を刀で受け止められてしまった。
ここまでは予想通り。透かさず後ろへ下がろうとすると、侍は更に追い討ちを掛けてくる。
「うそでしょ……」
俺の縮地術に追い付き三回斬り付けてくるも、何とか剣で受けて防いだ。
「蓮斗さん!」
侍は更に攻撃を仕掛けて来る。ここからは普通の戦闘って事か。
「くっ……速い!」
防ぐのが厳しいと見たか、レティシアとヴァージュも戦闘に加わる。
侍はまた二刀流になり、二人の攻撃を捌きながら執拗に俺に攻撃を続ける。
「蓮斗、儂らだけ狙われておるのじゃ!」
レティシアとヴァージュの攻撃に対しては受け流すだけで、攻撃は俺だけに向けられていた。
「くそっ……」
流石に防ぎきる事が出来ず、少しずつダメージを喰らっていく。
「リアーナの名に於いて命ず、風の精霊達よ、我に取り巻き、我に翼を宿らせよ!」
「リアーナ、ありがと!」
リアーナの加速魔法のお陰で侍の攻撃を防ぐ確率が上がる。
だが、それでも侍のスピードが上だ。
「追い付けませんわ……」
レティシアも速い方だけど、俺達の速度には付いていけない様だ。
ヴァージュは何とか付いてきてる。
「止まりなさい! そして蓮斗さんから離れなさい! 我が名はレティシア、我と我が仇を光の鎖にて縛り付けよ! 決闘の鎖!」
レティシアの拘束魔法が発動、レティシアと侍が鎖で繋がれる。
「掛かりましたわ!」
「レーちゃん、すごーい!」
「私が動くと相手も動いてしまいますので、後はお願い致しますわ!」
レティシアの鎖に依って侍は身動きが取れない……が、全く気にする様子も無く、俺に近付こうと体を動かしている。
「レティシア、この魔法ってどのくらい持つの?」
「十分ですので、残り九分半ですわ」
十分か……回復のポーションを飲みながら、攻撃の手段を考える。
「近付いても防がれるから、魔法攻撃を頼めるかな?」
「そうじゃの。杖の小娘も魔法攻撃じゃ」
「分かった!」
「我と契約せし炎の精よ。今再び我の元にて、その姿を現し我の力となれ……我が剣に宿りて、その業火で敵を討ち滅ぼせ! 業火の輪!」
「風を行き交う精霊達よ、我が剣となり我が敵を討て! 紫電の刃!」
クリスの火炎とリアーナの雷撃が侍に襲い掛かる。
「ぐぉぉ……」
侍は唸りながら地面に手をつくが、直ぐに立ち上がって歩く動作を始める。
「効いてるっぽい!」
「蓮斗、あれを見るのじゃ!」
金色の侍の頭上には『佰』と浮かんでいた。
金色の侍か。
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