100)皆で挑む試練の間
遂に100話目に突入しました。
日頃の皆様のお陰です!
これからも宜しくお願いします!
「ようこそ、転移者ご一行」
出たな代行者!
「今回は転移者が二名ですね。準備が出来たら教えて下さいね」
相変わらず鼻に付く喋り方だな。
「皆、準備は大丈夫?」
「あたい、だいじょぶー!」
「ウチもオーケー」
「私も問題有りませんわ!」
「クリスとラーズも大丈夫か?」
「大丈夫じゃ!」
「我輩もだ!」
絶対に生きて帰るぞ。
「代行者、準備オーケーだ」
「承りました。今回は転移者が二名ですので、ボス級を二体相手にして貰います」
最初から明確に出現数を教えてくれるのは助かるけど、代行者が言うと裏が有る様に取ってしまう。
「ちなみに二体同時か?」
「それは見れば分かります。では」
そう言うと代行者は消え去った。
「さ、鬼が出るか蛇が出るか……」
「何じゃ、その言葉は?」
「あ、俺の世界の言い回し。何が起きるか分からない的な?」
「ウチも知ってるー!」
あ、ちょっと嬉しいかも。
雑談をしていると、目の前には甲冑を装備した戦士……これは侍? 武将?
「面白い格好じゃの!」
「あれは侍だ」
「何じゃそれは?」
「切れ味抜群の剣を持った戦士みたいな感じ」
「あの細い剣がかの?」
「うん、あれは刀って言うんだ。気を付けないとスパッと来るよ」
「恐ろしいのう」
一体しか見えないって事は、こいつを倒してからもう一体か。
〔看破に失敗しました〕
よし、想定内だ……でもレベル上げたい。
「レティシア、ヴァージュ、行くぞ!」
「了解しましたわ!」
「おっけー!」
「援護はウチに任せて!」
「頼むよ!」
先ずは三方向からの攻撃で様子を見る。
「リアーナの名に於いて命ず、風の精霊達よ、彼の者に取り巻き、彼の者に翼を宿らせよ!」
リアーナは一人ずつ順番に加速魔法を掛けていく。
そして、直ぐ様攻撃開始!
「ふんっ!」
「たぁっ!」
「とぉー!」
自慢じゃないけど、俺達前衛三名は速度に特化した攻撃が得意だ。更にリアーナの加速魔法で相当速くなっている筈なんだけど……。
「全部、受け流される!」
「かなり速いですわね」
「速いねー!」
ひたすら攻撃を仕掛けるが、タイミングを変えても全て受け流される。
「あれ?」
「はぁ、はぁ……どうかしましたか?」
「攻撃して来ないね……」
「そう言えば、そうですわね」
「リアーナ! 相手のレベルは見れる?」
「ごめん、失敗!」
リアーナでも無理か。
「蓮斗、あのカタナ……じゃったか? 光っておるのじゃ」
「本当だ、さっきまで光って無かったよね?」
「うむ……」
何だろう? 攻撃して来ないし……ん? レティシアの剣が刀に触れた瞬間、光が増したような?
「とりゃー!」
やっぱりだ、ヴァージュの手甲鉤が刀に触れると僅かに光が増した。
「ちょっと、皆ストッープ! 後ろに下がって!」
「え……?」
「う?」
俺の掛け声に全員下がる。侍らしき敵は構えたまま動こうとはしない様だ。
「やっぱりか」
「どう言う事でしょうか?」
「分からないけど、武器が当たる度に刀の光が増していくんだよね」
「カタナ……あ、あの武器ですわね」
「ウチ、何か嫌な予感がする……」
「俺も何だよね……あの光が最大値まで行くと、どうなる事やら……」
「大技だねー!」
何でヴァージュは嬉しそうなんだ?
「兎に角、武器に当たらない様に攻撃する方法が有れば……」
「私の魔法を当ててみましょうか?」
「うん、頼むよ」
「分かりましたわ! レティシアの名に於いて命ず、光の精霊達よ、我が無数の矢となり敵を滅ぼせ! 多重の魔矢!」
放たれた無数の矢が侍に襲い掛かる。
「そ、そんな……」
侍はレティシアの放った魔法の矢の全てを、刀で斬る事で消し去ってしまった。
「あれ? ちょっと待った」
「どしたの、蓮斗様?」
「光が少し弱くなってない?」
「本当ですわね」
うーん……武器を当てると刀が光って、魔法を当てると光が弱くなる?
「ふふ……」
「ど、どうしたの蓮斗くん? 何か分かったの?」
「ぜーんぜん、分からん!」
「蓮斗、お主……」
「ま、まぁ、何もしなければ何もして来ないから、ゆっくり考えようか?」
とは言ったものの、どうすれば良いんだろ?
「縮レヴで同時に叩いてみる? 流石に刀一本で防げないんじゃ?」
「蓮斗、スキルなんぞ使わなくとも、普通に近付いて斬れば良かろう?」
そうか、何にもして来ないからね。
「それ採用で! やってみよう!」
三人でゆっくり近付き間合いに入る。
「一応、攻撃が終わったら即離脱ね」
「分かりましたわ」
「あーい!」
「じゃ、せーの!」
ガシーン!
「えっ……」
侍はもう片方の手で脇差の様な短い刀を抜いて攻撃を防いでいた。
俺の剣は刀で防ぎ、ヴァージュの爪を脇差で。レティシアの剣を兜の突起物で防いで見せた。
「凄い……鍬形か」
俺達は直ぐに離脱して別な手を考える事にした。
変な敵だな……。
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