99)決意
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俺達は謁見の間へ戻り、俺達の意思を王様に伝える事にする。
「決まったのかな?」
「はい」
この場の空気が重く感じる。
「俺達は歪みを無くす為に戦おうと思います」
周りがざわめく。
王様がこの選択を望んでいる保証は無いが、世界征服を目論む王って感じでも無い。
「そうか、分かった。ガリウス=ヘルドシップ=メル=ヤーイの名に於いて宣誓する!」
了承したかと思えば、急に大きい声で叫び出した。
「ヤーイ国は剣の転移者、並びに杖の転移者に対し、同盟の契約を結ぶ事とする! 宜しいかな?」
散々叫んだ後に聞くかよ普通……ま、返事をするしかないけども。
「「はい!」」
俺とリアーナは大きくハッキリとした声で答えた。
「では、ここに居る者全員を証人とし、略式契約を締結する」
王様が合図すると、側近らしき人物が一枚の紙切れを持って現れた。
「コチラに手を当ててください。契約魔術になります」
紙には既に王様の証が記載されていた。
何故日本語に見えるのか不思議に思いつつ、俺とリアーナは紙の上に手を当てる。
少し光ると俺とリアーナの名前が刻まれた。
「これで契約完了だ。私とそなた達は対等であるので敬語等は不要だ」
周りの見えない圧力に少し悩んだが……。
「分かった」
ツラッとタメ口だ!
「くくっ……流石は転移者、度胸が有るようだ。早速だが互いに協力を要請出来る契約なので、先ずは魔術結社に対する助力を請う」
ん……? んん?
や、やられた!
俺達は最初に魔術結社の話を聞いて、その後に選択の話を聞いた。
選択を最後に重々しくしたせいで、最初の魔術結社の話の印象が薄くなる。
歪みを無くすか支配するかを選択する事に集中させて、歪みを無くす方を選択した場合には魔術結社を倒す助力を強制させるって筋書きか。
支配する方を選んだ場合は処刑だろうけど。
まぁ俺も魔術結社は許せないから良いんだけど……何かズルいな……絶対わざとだよな。
「分かったよ」
「うむ、良い心懸けだ」
王様はニヤッと笑って答えた。
「このコインを持ち歩いてくれ。これで城内の禁止区域以外は自由に行動出来る」
俺達はコインを一人一枚受け取る。先代のヤーイ王だろうか、コインには顔が彫られていた。
「準備をするので適当に時間を潰し、昼食後にでもまた来てくれ。昼食は城で用意しているので兵士に確認するが良い」
「了解したよ……」
俺達は謁見の間を後にした。
「やられたのう」
「あぁ、ズルいよね」
「私も少しイラッとしましたわ」
「ウチも騙された感が有るよ」
「そうなのー?」
ヴァージュだけは……マイペースだな。
「我輩が思うに悪い王とも思えんが……」
「だから余計にズルく感じるんだよね」
「ウチも次からはタメ語で行くよ!」
「ためご……とは何ですか?」
「あ、敬語とか使わない同格の話し方かな? こんなんで分かるかな、レティシアちゃん?」
リアーナ……いつからレティシアちゃん、って呼び方を……。
「分かりましたわ」
「まぁ、レティシアは基本丁寧語っぽいしね」
「えっと、誉められているのでしょうか?」
「勿論!」
「蓮斗さんが誉めて……えへ、えへへ……」
それが無ければ完璧なのに。
「お昼まで時間が有るし城内探検でもいく?」
「蓮斗さんとご一緒なら何処までも」
「あ、あぁ……皆は?」
「ウチも行く!」
「あたいも行くー」
ヴァージュの場合は行くと言うより、影の中に入っているだけな気がするけど。
「じゃ、出発だな」
最初は物珍しさに感動していたのだが。
「なんかさ……」
「どうかされましたか?」
「同じ景色が多くて暇かも……」
「そ、そうですわね……」
「ウチ、眠くなってきた……」
所詮は城内。娯楽的なモノも無く、ただ歩き続けるだけ。
「三十分しか潰せなかったな」
残りの時間をどうしようか……などと考えていると、震えているリアーナの姿が目に入った。
「どうしたの?」
「蓮斗くん、アレって……」
「嘘でしょ……」
城内の庭園らしき所に小屋が見えた。
アレは何度か見た事の有る、試練の間が有る小屋だ。
「何でこんな所に……」
「ウチにもサッパリ……」
これって俺達以外は見えるのか?
少しばかり興味が湧いてしまい、その辺に居る兵士へ確認する事にした。
「すみませーん」
「はっ! 転移者殿! 何か御座いましたか?」
「あそこの庭園に何が有る?」
「は? 仰ってる意味は分かりませぬが……花壇の事でしょうか?」
「いや、小屋とか……」
「庭園には小屋など有りませぬぞ?」
「だ、だよね。ありがと!」
「い、いえ……」
超不審に思われたが、俺達にしか見えない事が確認出来た。
俺達が中に入ると姿が消えた様に見えるのかな? まぁ、それは今度にしておこう。
「さて、入るかどうかだな」
「ウチ……怖い……」
珍しく弱気なリアーナ。俺の心の中で、可愛さレベルが二つ程上がったな。
「んじゃ、止めとく?」
「でも、クリアすればレベル上がるし……」
「主は一度死にかけたからな」
「ラーズ!」
「すまん、主……」
そうか、リアーナも苦労してたんだな。
「俺も死にかけたって言うか、死んだ事有るよ」
「え!? ゆ、ゆ、幽……」
「幽霊じゃないよ、生き返ったんだ」
リアーナは理解に苦しむって形相だ。
俺は前に試練の間で起きた、一対一の団体戦の経緯を説明した。
「そんな事が有ったんだね。仲間の居ないウチらは、負けたら即死って事じゃない」
「でも、今回は俺もレティシアもヴァージュも居る。団体戦でも集団戦でも皆で戦える。それでも怖いなら入らないし……」
リアーナは少し考えると直ぐに結論を出す。
「ウチ、入る!」
「無理しなくても良いよ? 俺も一回死んでるから正直なところ入り難いし」
「入る! レベル上げたいし、皆と一緒なら大丈夫だと思う!」
「分かった。じゃ、入ろうか?」
全員、頷いて小屋の中へ入って行った。
試練の間、今度は一体……。
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