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98)そして休戦へ

 PV17000感謝!

 引き続き宜しくお願いします!

 街中にラッパのファンファーレが鳴り響く、戦争終了の合図だそうだ。

 通常だと勝利の合図らしいので、国民には戦争で勝利したと思わせる為に鳴らしているらしい。実際は休戦だけども。


「蓮斗さん」

「あぁ、城に行く合図だね」


 俺達はファンファーレが鳴った日に、城へ来るように伝えられていた。

 城へ辿り着くと謁見の間へと誘導される。


「失礼致します!」


 付き添いの兵士が一言叫び、謁見の間の中に通されると既に王様は待っていた。


「ご苦労だったな」

「いえ……」

「遂に休戦となった訳だが、これまでの事とこれからの事について少し話がしたい」

「はい」


 これからの事? 何だろうか? 巡回の礼金を貰って終わり、かと思ってた。


「まずは巡回中のローブの者の件だが……」


 初日のローブの女性、魔術結社絡みでまた来る様な事を言ってたよな。


「事件以降は現れていない。他の結社の連中も現れていない。巡回者当人であれば知っている事と思うが」


 俺はコクリと頷いた。俺自身も見ていないし、管理者の連絡にも無かった。


「何にせよ休戦までご苦労であった。特に事件を鎮圧した事に礼を言うぞ」

「いえ……」


 王様への返答って、どんな言葉を使って答えれば良いか分からないな。


「本題はここから、今後に関わる話だ。世界の状況と伝承を伝える。それを聞いてどう行動するかは……そなた達次第だ」


 状況と伝承?


「魔術結社、これを我等は甘く見ていた様だ」

「我等……」


 あ、思わず声に出てしまった。罰が悪い顔をすると王様は笑顔で答えてくれた。


「好きな言葉を使うが良い。そなた達は私と対等である」


 とは言っても、側近や兵士達はそう思わないだろう。場内のざわめきと視線が痛い。


「魔術結社は、世界各国に侵入して王国や帝国を潰そうとしておるらしい」

「そんなに大規模なんですか?」

「そうだ。この度の休戦も魔術結社からの攻撃に屈しない為のものである」


 そんなに大規模なのか?


「現在の力関係は、我等既存の国、魔術結社、銃の転移者と言う感じだ」

「銃の転移者? 一人でそんなに強いのですか?」

「いや、銃の転移者は攻めては来ないが、相当数の魔族を使役する事に成功し、今や一国とも取れる力を持ったとの事だ」

「そ、そんな……」

「だが、国相手に戦争すれば、互いに無事では済まされない事も分かっているのだろう。現状では何もしてこない」


 本当にそうか? あの力なら……。


「それよりも魔術結社の方だ。転移者が荷担しているとの情報が入った」


 転移者が荷担? 今まで会った転移者は、薙刀、メイス、銃、杖で俺の剣と合わせて五人。八人居るらしいから残り三人か。


「ここで伝承の話だ」

「伝承……」

「転移者達の争いの話だ」


 争い? 敵になる転移者が居るとは聞いてたけど、争うって話は初耳だ。


「伝承での転移者の行動は大きく分けて三つだ。一つ、歪みを無くす為に行動する者。一つ、授かった力で支配欲を持つ者。一つ、何もしない者」

「結果はどうなるのですか?」

「ふむ。最後の何もしない者、これは淘汰される事になる」

「とうた……?」

「最初の二つ、歪みを無くそうとする者か、支配欲を持つ者のどちらかに組するか、抵抗して命を落とすか……」


 怖いんですけど……。


「伝承では残り二つの派閥が争う事になる。過去の結果は二通り」


 どっちも勝った事が有るって事か。


「歪みを無くす者が勝利した場合だが、こちらは何通りか文献に残っておる。歪みと共に転移者と従者が消滅した事例。この世界に留まり、一国を興して王となった事例。同じくこの世界に留まり、残りの人生を静かに歩む事例。その他にも有るらしいが、文章が消えておって分からん。何れにしても平和的結果になるであろう」


 平和的……転移した時の質問を思い出すな。


「一方、支配欲を持つ者が勝利した場合。こちらは……そのままだ。世界を征服し、命が尽きるまで世界を混沌に導く。ひたすら国家間での戦争を誘発させる様な我が儘の限りを通す事が殆どだ。自分と組する国以外の生物を一掃したと言う恐ろしい記載も有る。こちらは世界の大部分が滅亡へ進む結果となる」


 平和と滅亡。最初の質問でコレに繋がるのか? でも、どっちを選んでも本人の意思一つじゃないのか? それとも滅亡を選んでいたら、そうなる様に何か補正がかかるとか衝動に駆られるのか?

 頭の中で色々な想定が駆け巡る……俺の勝手な仮定の話なので、全く結論には辿り着かないけど。


「それを踏まえて行動を考えて聞かせて欲しい。そなた達の回答次第で、我が国として剣と杖の転移者に荷担するか、敵対するかを決定する」


 は……何言ってんの、この王様? 


「この謁見の間の隣に部屋を設けておる。そこで暫し話し合うが良い」


 そう言われると別室に移動させられた。


「何でこんな事に……」

「仕方が無いじゃろう。自らを傷付ける様な選択をする者を放っておく訳無いじゃろ? 逆に無害じゃったら抱き込むのが得策じゃ」

「確かにそうですわね」

「ウチは歪みを無くしたい!」


 突然、リアーナが声を大きくして言い放つ。


「あたいは蓮斗様に着いてくよー!」

「わ、(わたくし)もですわ! 添い遂げるその日まで!」

「どさくさ紛れに何を言っとるのじゃ、この妄想小娘は……無論、儂は蓮斗と一緒じゃ」

「我輩も主と一緒だ」


 皆の視線が俺に集まる。


「勿論、歪みを無くしたい!」


 全員で頷き、謁見の間へと戻る事にした。




 平和か滅亡か。

 この物語を読んで頂き、ありがとうございます。

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