97)巡回方法
PV17000感謝ですっ!
これからも宜しくお願いしますっ!
雨の中で煙……穏やかじゃ無いぞ! 俺達は走って南の門を目指した。
煙を見るとロクな事が無い、そんな先入観に囚われながらも走り続けた。
何事も無ければ良いけど……。
「アレですわ!」
レティシアが指差す方向を見ると、守衛小屋の横に新しい小屋が出来ており、その煙突から煙がモクモクと上っていた。
「煙突だね……」
「そうじゃの……」
ま、何も無いって事で良かった良かった。
それにしても、あの小屋は一体?
「この小屋か……」
俺は軽くノックして、ゆっくりと扉を開ける。
「失礼しまーす……」
「はい? あ、巡回警備ですか?」
小屋の中には兵士が一人、椅子に座っていた。
「はい、巡回警備です。この小屋は?」
「焼き場……火葬場です」
「え? 火葬?」
「はい、昨日の二名の兵士が焼かれてます」
「あ……えっと、二人の為に火葬場を?」
「その様ですね。戦死者が多いので、王様が特別に指示を出したとか」
そっか、戦争中だったか。
「でも、二人の為にって凄いな」
「恐らく、今後の可能性を考えているのかと」
今後の可能性って何だよ……犠牲者が増える事を予想出来る程、王都にとっては魔術結社が脅威って事か。
焼いている最中だけど、手を合わせておこう。
「蓮斗さん、何をしてますの?」
え? あ、手か……キリスト教とか手を組んでるもんな。俺は掌を合わせているから、レティシアには変に見えるのか。
「うち仏教だから……」
「ぶっきょ……?」
「宗教が違うっつーか、何てつーか……」
「蓮斗さんの世界の仕来りでしょうか?」
「そうそう、そんな感じ」
「では、私も」
炉に向かい合掌し、兵士に一礼してこの場を去った。
「一日で建築するなんて凄いな」
「良い職人が居るのでしょうか?」
「それにしても早いよね……」
建物だけなら分かるけど、火葬炉なんて直ぐ出来る物なのかな?
「蓮斗様ー! お腹空いたー!」
「あ、お昼ね」
西の門へ向かいつつ、お店を探したのだが。
「失敗したな」
「店開いてないねー」
「戦争中じゃからの」
南地区は昨日の事件のせいで、西地区は戦闘地域に近いので店が開いてない。仕方がないので中心部へと向かう。
「少し離れれば結構お店有るね」
「ですが、お菓子とパンくらいですわ」
「じゃあ、パンだな」
パン屋で調達して西地区に向かい、適当な木の下へ移動した。
そういやパンは同じ名前で通じるのに、なんでハンバーガーはラバガインって凶悪な名前になるんだろ? まぁ良いけど。
「うおっ……雨のせいか少し湿気ってない?」
「そうですわね、少し食感が……」
「あたいのパン、青とか緑の色が綺麗ー!」
へぇ、流石は異世界だな。沖縄の魚みたいな感じかな?
「食べては駄目よ! それはカビですわ!」
「えー……」
落ち込むヴァージュに保存食用のパンを与え、全員のパンを確認する。
「俺のは大丈夫そうだな」
「私のも何とか大丈夫ですわ」
「ウチのも駄目だ……」
「あらら……」
リアーナにもパンを渡し、何とか昼食を済ませた。
「主もヴァージュ殿も災難だったな」
「ラーズってリアーナの何なの?」
「と、突然何を言い出すのだ?」
「え? あぁ、いやいや、付き合ってるとかじゃなくて……」
「何でウチがラーズと付き合うのよ!」
うわぁ、言葉足らずの質問のせいで、誤解が誤解を招く連鎖に。
「ごめんごめん、ラーズってリアーナの事を主って呼ぶじゃん? 主従関係なのかなって?」
「違うよ! ラーズが勝手にそう呼ぶだけ! 勘違いしないでよね!」
「我輩は……何でだ?」
知らないよ……。
「転生前の記憶のせいじゃろ?」
「なるほど……流石はクリス殿!」
「私は蓮斗さんと主従関係でも……」
「あたいの主人は蓮斗様だよー!」
二人とも、話がややこしくなるから止めて。
「リアーナは主って呼ばれるのは嫌なの?」
「別にそんな事は無かったけど、今改めて聞くと変かなって」
「我輩は全く違和感が無いぞ」
「良いよ、そのままで……」
「流石は我が主」
良く分からんけど納得したみたいだな。俺の余計な一言でこんな事になるとは……少し焦ったな。
「さ、門に移動しよう」
西の門に移動して何事も無い事を確認、そのまま北の門へ移動、同じく何事も無い。
「時間が余ったな」
魔刻の腕輪は午後四時になる寸前だった。
「蓮斗、門の挨拶回りは最初だけと言っておったの?」
「あ……街中の巡回がメインだった……」
「忘れておったのか……」
急いで中心部に移動し、一回りすると大体良い時間となって本日は終了。
管理事務所での報告を済ませ、今日の巡回業務を終わらせた。
翌日からも毎日巡回するが、コレと言った事も無く平和な日々が続く。
ローブの女性も現れる事が無かった。
こんな感じで休戦の時を迎える事となる。
この物語を読んで頂き、ありがとうございます。
評価、感想、ブックマーク等を頂けると、とても嬉しいです! 是非、宜しくお願い致します!
(既に頂いている方は、有り難う御座います! 感謝です!)