第83話 交流戦会議
王宮にメリナが戻ってくると何も知らない騎士団長達はすぐにイエルクの脱獄を報告して安全に待機する様に伝える。
「エリアス、ジョナサン、もう大丈夫です。騎士団長を全員呼んできて下さい」
そして王の間に入るとメリナは国王に経緯を説明する。
「学園での訓練中、町から離れた森の中で元第八騎士団長イエルクと元第八騎士団副団長ラウラ、そして魔人1人と交戦になりました」
各団長達がざわつく。
「ラウラは片腕を失っておりましたが、強さで言えばここにいる誰よりも強いと思われます。ここでは実力を隠していたようです」
国王は3人の行方を聞く。
「ラウラと魔人の女性はイエルクを囮にして殺し、そして逃げて行きました」
国王は各団長に命令する。
「エリアス、オットーよ」
「「はっ!」」
「数名の騎士団を連れて森を調査せよ」
エリアスとオットーは急いで調査に乗り出した。
「ダニエルよ」
「はっ!」
「町の外周辺の調査にあたれ。そしてジョナサン」
「はっ!」
「町の中の調査、安全を確認せよ」
ダニエル、ジョナサンもすぐに調査に向かった。
「フランシスよ」
「はっ!」
「学園に行き、交戦した生徒に詳しく事情を聞きにいけ」
フランシスは学園へと向かった。
「メリナよ、お前が無事で何よりだ。あまり無理はするなよ」
「はい、お父様」
メリナはフランシスと一緒に学園に戻る事にした。
◆ ◆ ◆
中立都市ブルーメでは各国の学園長が集まっていた。
「アレス様、お目にかかれて光栄です。私はヴィンデンブリューテ学園の校長をしております、ベニートと申します」
「わざわざ遠い所すまないね。少し休んでくれ」
「はい」
そしてペストヴルツブリューテ学園長も到着した。
「お待たせしました。ペストヴルツブリューテ学園の校長メリッサです。宜しくお願いします」
「初めまして、これで学園長は全員揃ったね。ブルーメ学園の校長を紹介をするので会議室に集まってくれ」
そして各学園長が椅子に座るとアレスと一人の男性がやってきた。
「やぁ、彼がブルーメ学園の校長をしているフェデリコだ」
「ご紹介にあずかりました。フェデリコです。以後お見知りおきを」
「それでは今回の提案者のメリッサ校長から交流戦の目的や試合内容などあったら聞きたい」
「はい、では正直にお答えしましょう。キルシュではこの間、内乱が起きた事を聞きました。更に学園の生徒の活躍で危機を救われたとも聞いています。今まで所詮は学生レベルと思っておりましたがこの機に交流を深め、キルシュの学生の実力を知りたいと思い提案しました」
「確かに今までは無感心すぎた所はある。どうかな皆さん何か言いたい事はありますか?」
……………
「無いようなのでこの機会に毎年、各学園の交流戦をしてみてはいかがかな?」
するとベニートが発言する。
「私は賛成なのですが今後の戦力としてみると国も絡んで来るのでは?」
「リア王女、中へ」
扉が開き、リア王女が中に入ってきた。
「私はキルシュブリューテ王国、第一王女のリアと申します。先程の件は既に各国に報告済みですので遠慮なさらず、学園の為に話合って下さい」
「他に意見がなければ、メリッサさんとルイさんを中心に交流試合の形式を決めていただきたい」
するとルイは立ち上がり、場を仕切る。
「メリッサさんはどのような試合形式をお望みですか?」
「そうですね。基本の5人一組の1vs1の団体戦ですかね」
「学園から5人選抜して試合すると言う事でよろしいですか?」
「はい」
「皆さんの中で反対はいますか?」
……………
「いないようですので1つはこのやり方にしますが私からも提案があります。実践を想定した3vs3の試合はどうですか?」
「3vs3とは?」
「3人一組での試合です。作戦も必要ですし、臨機応変な戦闘を求められます。」
するとフェデリコが
「少し危険な試合になるのでは?」
「はい!ですがここで経験しておかなければ卒業した後、もっと危険になるかも知れませんので」
「私は賛成です。」
「メリッサさん」
「じゃあ、1日目は団体戦で2日目はチーム戦でどうかしら。ベニートさんは?」
「面白そうですね。では団体戦一組とチーム戦は3チーム位ですかね」
「では、各学園で3チーム9名と団体一組5名で14名にするか、チームと団体両方出れる様にするなら最低気温9名の代表選手にするか、どうしましょうか?」
「やはり学生全員にチャンスがあった方がいいと思いますよ」
「メリッサさんは?」
「14名って中途半端じゃ無いですかねぇ〜」
「フェデリコさんは?」
「それなら団体戦を止めてチーム戦で3人一組の4チーム、12名位がちょうどいいのでは?」
「団体戦を無くす…ですか?メリッサさんはどう思います?」
「団体戦は無くていいですよ」
「皆さん意見はありませんか?」
……………
「無ければ各学園から4チーム12名の代表選手を出すと言う事でよろしいでしょうか」
「「「はい!」」」
「以上です。アレス様、後はお願いします」
「それでは堅苦しいのは終わりにしてみんなで食事でもしながらも寛ぎますか」
そして無事に会議は終わった。




