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この瞳に映るものすべて  作者: ヨシハル
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第82話 退却

森の中ではイエルクが必死でラウラが勝手に何処か行かない様に見張っていた。


「大丈夫、何処にも行かないから〜」


「そう言えば油断すると思うのか!」


言い争いしていると人の気配がした。


ラウラは気づいた!ツクヨミがいると、イエルクは気づいた!あの女の子がいると


「サクヤ、気をつけろ」


「分かってます!」


「誰だ!そこにいるのは」


するとラウラが顔を出した。


「バレちゃった〜。さすがね、ツクヨミちゃん」


「やはり生きていたか」


「あら〜私の事、覚えてくれてたの〜。嬉しいわ〜、ラウラって呼んでね」


「もう一人いるだろ」


「イエルク、バレているから出ておいで!」


イエルクが顔を出すとサクヤが驚く。


「あなたは捕まっていたはずですが…」


「サクヤ、知っているのか」


「はい、メリナを襲った騎士団の人です」


「なるほど…」


そして気配を消していたステラが後ろからラウラを襲う。


「あら、なかなかセンスあるわね。でもそんな剣で斬れるとでも思っているの」


「それは無いわね。でも気絶させて捕える事は出来るわよ」


3対2になり、分が悪くなった。


そしてメリナも到着する。


「あなた達は!」


「これはこれはメリナ様、お久しぶりです」


「お姫さん、久しぶり〜」


するとメリナの後ろから僅かな殺気を感じたツクヨミがメリナを守る。


「イリスちゃん、ナイスタイミング」


「さてとラウラさん、どうしますか?」


「逃げた方がいいかな?」


「そうですか、私が足止めしましょう。(フレア)」


イリスの両腕が炎で包まれると、炎は両腕に絡みついた。


ツクヨミはメリナを庇いながら応戦するが反撃しようとするとメリナに攻撃がくる。


そしてステラはラウラに攻撃を仕掛け、サクヤはイエルクに攻撃を仕掛ける。


「私には当たらないよ〜、片腕無くてもお嬢ちゃんには負けないよ」


ステラもレベルの違いをすぐに理解した。


だが対峙していないと殺られると解っているだけあって、攻撃を緩める事が出来ないでいる。


ラウラは子供と遊ぶ感覚で楽しんでいると、イエルクはサクヤに負けそうになっている。


イリスはツクヨミの相手で手一杯、仕方なくラウラが助けに行くがサクヤの強さを見て無理と気づいた。


「イリスちゃ〜ん、退却するよん」


ラウラはステラを吹き飛ばすと、すぐにメリナに仕掛ける。


ラウラとイリスの同時攻撃がメリナにいく。


ツクヨミは助けに入るとラウラとイリスは退却する。


「イエルク、アンタ邪魔だわ。イリスお願い」


イリスはイエルクを口封じに殺す。


「ごめんなさいね、イエルクさん(フレアサークル)」


ラウラはサクヤに向かってナイフを投げると、サクヤは避けたがイエルクの心臓に突き刺さる。


同時にイリスの魔法はイエルクを円で囲み火柱を上げた。


そしてイエルクは跡形も無く燃えた。


ツクヨミ達がイエルクに気を取られている間にラウラとイリスはいなくなっていた。


「まさか仲間を見捨てるだけで無く、殺して囮にするとは…」


サクヤはメリナに近づくと何も出来なかった事にメリナは悔しがっていた。


少しケガを負ったステラと足止めされていたであろう他の生徒もやってきた。


「ステラ先輩、大丈夫ですか?」


「大丈夫よ。しかし片腕で………経験の差だけでは無いわ。強すぎよ」


無事全員揃ったのを確認してから一度学園に帰り、そしてメリナは国王に報告に行った。


   ◆   ◆   ◆


「どうだった?イリスちゃん」


「ラウラさんの言う通りでした。あのツクヨミって子は、あの状況で全てを把握するだけで無く、仲間全員の援護の出来る体制を取りながら私と戦っていましたよ」


「でしょ!私もビンビン感じちゃったよ」


「確かに1対1なら手も足も出ませんね。ただ仲間思いが弱点でもありますが」


「まぁイエルクのお陰で助かったわ」


「ハァ〜、人の事は言えませんがラウラさんは残酷ですよね」


「イリスちゃんも容赦無かったじゃん」


「あそこで捕まって組織の事が漏れるよりは死んでもらった方がいいと判断しただけです」


「ハイハイ」


二人はペストヴルツブリューテ王国のそばの森に戻る事にした。

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