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この瞳に映るものすべて  作者: ヨシハル
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第81話 イリスの情報

朝、イリスは学園に向かっている途中に教会で聖女様が現れると聞き、教会に寄り道する事にした。


「アリス様、こちらへ」


すると教会から聖女アリスが現れた。


「「「アリス様!」」」


皆が祈りを捧げているとケガをした子供を抱えた母親がアリスにケガを治してもらうよう頼みにきた。


「お願いします、聖女様。この子のケガを見て下さい」


周りの神官が断り、母親を止めようとすると


「見せて下さい」


「あ、ありがとうございます」


するとケガが治っていく。


「「「おー、奇跡だ!」」」


それを見ていたイリスは


「どうやら『瞳』の力では無いみたいですね。人間にしては治癒力の強い魔法を使うみたいですが…私達の求めている者ではないようですね」


一応、イリスはもう少し見ていく事にした。


そして順番にアリスは治癒魔法を使い直していく。


魔力が尽きる前に中断してアリスは教会の中に戻っていく。


どうやら教会の金儲けの為に利用されていると判断したイリスは昼ぐらいに学園に着いた。


ちょうど生徒が休憩を終えて教室に戻ろうとしていたのでイリスはツクヨミの事を知っているか聞いてみた。


「ちょっとそこの生徒さん」


「「「はい、僕ですか?」」」


3人の生徒が立ち止まった。


「少しお聞きしたいのですが」


「何でしょうか、お姉さん。分からない事はこの情報屋のクルトにお聞き下さい」


「はぁ、それではここの生徒にツクヨミって子と第二王女様を守った女の子がいると聞いたのですが」


「もちろん知ってますよ。何と!その王女を助けに行ったのが、その女の子サクヤちゃんとこの私クルトなのですから!」


「何カッコつけているんですか!クルトはサクヤさんの案内をしただけでしょ!」


「シーッ、余計な事を言うなよポウル」


「お姉様、このマルティンがお話しましょう。少々クルトは話を盛る所がありましてね」


「はぁ、女の子の名はサクヤで間違えは無いのでしょうか?」


「はい、その女の子の名はサクヤで間違えはありません」


「ツクヨミって子の事は解りますか?」


「はい、もちろん!ツクヨミはサクヤちゃんのお兄さんで二人ともこのマルティンと同級生です」


「お兄さんですか?同級生と言う事は今は何歳なのですか?」


「私達と同じ今年13歳の学園の1年生ですよ」


「なるほど………」


「ツクヨミはこのマルティンの言う事は必ず聞くので何でも言って下さい!」


「そうですか…」


「マルティン、何言っているんですか!お姉さん、クルトとマルティンの言う事を真に受けないで下さいね」


「今までのは嘘なのですか?」


「そこは間違って無いですよ。ただ二人とも綺麗な女性の前だと自分をよく見せようとする所がありますので」


「「ポウル!余計な事を言うな!」」


「お二人は今何処にいますか?」


「同じクラスメイトですが、今度交流戦のメンバーに選ばれて特別クラスで授業してますよ。たぶん今頃は森に向かって走っていると思います」


「森!!!ですか」


「はい!」


イリスは急いでラウラとイエルクがいる森に戻る事にした。


「あれ?お姉さんは?」


3人が気づくと一瞬で走り去っていった。


「何だったんだ?ってやべぇもう授業始まっているぞ!」


3人も急いで教室に戻った。


「これはマズイですね。ラウラさん達がかち合わなければいいのですが…」


町の中も騎士達をやたら見かける。


「これは脱走もバレたと見て間違いありませんね。この国はしばらく離れた方がいいですね。聖女もただの魔法使いでしたし…人間にしては奇跡なのでしょう。あの程度が」


イリスは町の包囲を抜けて森に向かった。

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