第69話 罪と罰
ツクヨミ達はブルーメに着いた。
「クロエ、今からアレスさんに報告に行くからついて来て」
「もちろんよ」
そして屋敷に着くと、ちょうどマルコがいた。
「あ!マルコさん、ただいま〜。アレスさん居ますか?」
「ツクヨミくんも無事でよかったよ。今、アレス様を呼んで来るから部屋で待っていてくれ」
しばらく部屋で待っているとアレスが入ってきた。
「アレスさん、ただいま〜」
「アレス様、お久しぶりです」
「やぁ、二人とも元気そうで何よりだ。所でヘスティアは?」
ツクヨミはアレスにヘスティアから預かった手紙を渡した。
「なるほど…分かった。クロエさんは私達で預かろう」
「アレス様、さん付けは不要です」
「そうか、クロエも様はいらないぞ」
「ありがとうございます。アレスさん」
「それじゃあクロエの部屋を用意しないとな!」
するとツクヨミが帰る準備をした。
「アレスさん、俺はそろそろ帰ります」
「そうか、一日位ゆっくりしていけばいいのに」
「また、時間が出来たら今度はゆっくり遊びにきます」
「分かった。気をつけて帰れよ」
「クロエもまたね」
「私、門の入口まで送ります」
「頼んだよ、クロエ」
「はい!」
ツクヨミは門までクロエに送ってもらい、キルシュブリューテに帰っていった。
◆ ◆ ◆
キルシュブリューテ学園ではペストヴルツブリューテ学園から交流戦の申し出があった。
ルイは手紙を読みながらしばらく考え、生徒会長のステラを呼んだ。
「校長先生、お呼びですか」
「ステラ、今回ペストヴルツブリューテ学園から交流戦の申し出があったのだけど、あなたならどうする?」
「相手の意図が読めませんね。だが断るのも今後の付き合いに影響が出るかと」
「普通に考えたらそうよね〜」
「こちらも準備があるから、相手に少し待ってもらうのはどうでしょうか?」
「例えば?」
「交流戦は10月辺りにしてもらいましょう。その間にこちらはメンバーを決めて相手の意図を探る時間も出来るでしょう」
「あなたが生徒会長で助かるわ。私も同じ考えよ。ステラ、メンバーはあなたに決めてもらいましょう」
「分かりました。まずは相手に何対何でやるのか?そして学年は混合なのか?その辺りを相手に詳しく聞いてもらえますか」
「分かったわ。後は任せておきなさい」
ルイはすぐにペストヴルツブリューテ学園長のメリッサに手紙を出した。
◆ ◆ ◆
王の間にオットーが急いで来ると
「レオン国王!元第六騎士団副団長フィリップと元第七騎士団副団長アニカが目を覚ましました。ただ元第八騎士団団長イエルクはまだですが…」
「で、どうだ?」
「やはり二人とも少し操られていた可能性が高いかと」
「そうか」
「他の反乱を起こした騎士団もそうですが自分のしでかした過ちは理解しているようで、全て操られていたと言う訳でもなく、難しい所です」
すると第一王子のフィオンと第二王子のノアが戻ってきた。
「父上、今戻りました」
「父上、ご無事で何よりです」
「二人とも今回の件、話は聞いたか?」
「「はい!」」
「ならお前達の今後にも関わる事だ。反乱を起こした者の処罰をどうするかによって、この国が今後どうなるか決まる!お前達ならどうするか考えなさい」
「「はい!」」
「これから会議を行う!各騎士団団長とフィオン、ノアで反乱軍の処罰を決める。オットーよ、全員を部屋に集めよ」
「はっ!」
そして30分後、全員が集まった。
「それではフィオンよ、私の代わりに仕切ってくれ」
「それでは此度の内乱を起こした反乱軍の処罰を決めたいと思います。どなたか意見のある者はいないか?」
するとフランシスが挙手した。
「フィオン様、此度の反乱は少しおかしな所が多すぎます。まずは反乱を起こした騎士は操られていたと言うよりも、誰かに誘惑されて気がついたら起こしていたみたいです」
「なるほど…で」
「そして行方不明の元第八騎士団副団長のラウラの失踪と牢屋から脱獄した3人、裏で何かが起きている可能性ご高いかと」
「なら処罰はどうする?」
「今、下手に死刑をすると国民の支持も下がる可能性は高く、人数も多すぎます。何より、この国の兵力の低下が不安です」
「確かに…それで?」
「どうやらこの国に不満の強い者ほど操られていた、もしくは誘惑にのった可能性が高いです。不満の少ない者から各騎士団に振り分け、監視しながら復帰させるのはどうでしょうか?」
「今の案に意見のある者は?」
第二騎士団団長ロートス=エリアスが発言する。
「我々は此度、この内乱に参加していない分、わからん事が多いが、もしフランシス殿の言った事が正しかったら、少しでも不満の持った者を復帰させた所で、また起こす可能性もある。もしくは操られる可能性は高いのでは?」
「確かに…他には?」
第三騎士団団長ペオーニエ=ジョナサンと第五騎士団団長ハルトリーゲル=ダニエルはエリアスと同じ意見だった。
するとオットーが
「処刑もダメで復帰もダメだとしばらくは他の囚人と同じ様に我々の監視化で働かせるしかないが…さすがに数が多すぎるか」
「フィオン兄上、オットーの言う通り順に働かせて見てはどうでしょうか?」
「オットーも言った通り、人数が多すぎる」
「例えば、騎士団10人に対して30人ほどを各地の村や町に行き、働かせます。もちろん武器の所持は禁止でお給金は無しです。その代わりに寝床と食事は用意するというのは?」
「ノア、なかなか素晴らしい意見だ。他には」
団長達はしばらく黙るとフランシスが発言する。
「まずはやってみましょう!」
すると各団長達も賛成した。
そしてレオン国王が会議を締めた。
「フィオン、なかなか良かったぞ。そしてノア、お前もだ。ふたり揃えばこの国も安泰だな。騎士団団長達よ!お前達も皆、力を合わせてこの国を頼んだぞ」
「「「はっ!」」」
そして少しづつノアの出した案は実行された。
この案により数年後、反乱した騎士たちも認められ復帰し、また各地の村や町も豊かになった。




