第61話 エルフの森の湖
港町ペルレに着いたツクヨミ達は宿を探し1泊する事にした。
「クロエさん、夜の森は危ないからここで宿泊しましょう。急いでいるのは分かるけど、無理してもいい事はないわ」
「はい、朝起きてから里に向かいましょう。急げば夜には着くと思います」
そして宿泊先も決まり、夕飯は食べながら明日の予定を決める事にした。
「一応、里についたら長老に会いましょう。クロエさん、今の長老は誰?」
「モハメド様です」
「そう、モハメド様ね。ツクちゃんはクロエさんと共に行動して」
「ヘスティアさんはどうするんですか?」
「長老に会った後は、浄化の魔法が使える者を数名連れて、森に湖などの水質検査をしに行くわ」
「分かりました。俺はクロエさんと何をすればいいですか」
「里の近くの魔獣退治とクロエさんの護衛かな。さっき話してくれた連中も、クロエさんを狙ってまた来るかもしれないしね」
「はい」
「クロエさんもいい?ツクちゃんの実力も知ったでしょ」
「はい、それでは朝になったら私が案内しますので着いてきて下さい」
「了解。それじゃ早めに寝ましょっか」
部屋に戻り3人はすぐに寝た。
翌朝、3人は町の外に出た。
「クロエさん、少し速く走っても平気ですよ。身体には自身があるので」
「分かりました。では着いてきて下さい」
クロエは森の中を普段より速いペースで走る。
ついてきているか、たまに後ろを見るとツクヨミとヘスティアは余裕でついてきている。
「ヘスティア様、ツクヨミくん、大丈夫ですか?」
「ああ、全然平気だ。クロエさんもっと速くてもいいよ」
「分かりました」
クロエは全力で走った。
しかしツクヨミとヘスティアは平然と息も切らさず走っている。
クロエはだんだん息が上がり、それを見たヘスティアが休憩を取ることにした。
「クロエさん、少し休みましょう」
「ハァハァ、お二人共凄いです。同じ里の者でも、私について来れる人は少ないのに…少し自信を無くしそうです」
「まぁまぁ、でもこのちょうしなら夕方前には着くんじゃない?」
「はい、普通の人なら2日はかかる距離なのに、ツクヨミくんは何歳なんですか?」
「俺はもうすぐ13歳になります」
「ありえないですよ。本当に」
「ツクちゃんはいろんな人に鍛えられたからねぇ〜」
そして休憩も終わり、里に向い走りだした。
もう一度休憩を入れて、走ると夕方になる前に里に着くことが出来た。
◆ ◆ ◆
ラウラ達はペルレに着くと、町を出て一番大きな湖を目指した。
湖の近くまで行くと黒装束を着た者達がラウラ達の所に来た。
「これはラウラ様、アレクサンド様、アドン様、どういたしました?」
「プルート様はいる〜?」
「プルート様はもうすぐ戻られると思いますが…ヘカテー様でしたらこちらにいます」
するとヘカテーは草むらで寝ていた。
3人は膝を付き、そしてアレクサンドはヘカテーを起こして報告した。
「ヘカテー様、ヘカテー様、起きて下さい」
「何」
「持つありません。任務は失敗しました」
「そう」
「今、瞳の持ち主とやたら強いガキがこっちに向かってます」
「プルートに言って」
「分かりました。」
しばらくするとプルートが戻って来た。
「やぁラウラじゃないか!あれアレクサンドとアドンもどうした?」
「プルート様、申し訳ありません。任務は失敗しました。今瞳の持ち主がこちらに向かっていますが、やたら強いガキがいまして」
「そっかぁ、アレクサンドが言うんならよっぽどだね。ラウラはどうしたの?イエルクは?」
「大体任務は成功しました。イエルクの生死は不明です。仲間にした奴らとキルシュ王国を攻めましたが失敗しました。しかし予定通り戦力をかなり落としました」
「イエルクは残念だけどね」
「やはり不満を持つ貴族は多いかと。後は瞳の持ち主は見つけられませんでしたが一人可能性のある者を見つけました」
「誰かな?」
「聖女と呼ばれている者は瞳を持っている可能性は高いかと」
「分かったよ。じゃあ君たちはヘカテーとここで待機してて、僕はその強い子を見に行くから」
「「「はっ!」」」
そしてプルートは港町ペルレに1人で向かった。
「ヘカテー様、何をすればよろしいですか?」
「待機」
「アレクサンド、オレっち達は待機だよ。た・い・き」
「私はちょっと用事ねぇ〜」
ラウラは一人で森の奥に入っていき、アドンは昼寝をした。
アレクサンドは仲間の一人に今やっている事を細かく聞いて状況を確認した。
すると一人の女性のエルフが湖に近づいて来た。
「アドン、どうする?」
「任せま〜す」
「お前達、あのエルフを捕らえろ!」
「はい!アレクサンド様」
黒装束を着た3人がエルフを囲んだ。
「お前、そこで何をしている」
「あなた達は誰よ!」
「こっちに来い」
「行くわけないでしょ!(ファイアーボール)」
「ぐゎ!」
「小娘が〜(ファイアーアロー)」
「そんなの当たらないわよ」
すると気配を消したアレクサンドがエルフの後ろに立つ。
「調子に乗りすぎだ!」
「えっ!」
鳩尾に剣の柄で殴り、エルフを気絶させた。
「お前達、このエルフを縛っておけ」
「「「はい!」」」
アレクサンドはそのまま湖周辺を見廻りした。




