第6話 初仕事
四人は森に着くと中に入る。
探索していると小さな魔獣が現れた。
ここは小さい森なので魔獣はあまりいない。
だが入り口付近で出てきたのが少しおかしいとフィンは感じた。
フィンは小さな魔獣を槍で一突きして倒し、アンナに話しかける。
「こんな事は初めてだよな〜、アンナ」
「そうね〜、子供たちもいるし、一旦戻る?」
ツクヨミはフィンに言う。
「フィンさん、森で生活していた俺達は慣れているから気にしないでほしい。このまま調査をしよう!」
フィンとアンナは少し考えてから奥に進む事を選ぶと、二人に忠告する。
「先頭は俺が、最後方はアンナが見る。くれぐれも無理はするなよ」
ツクヨミとサクヤは頷き、そして4人は奥に進む。
しばらく進むとツクヨミは足を止める。
フィンはツクヨミに
「どうした⁉」
「この先に人の気配がする」
「本当か?」
「私もいると思います」
フィンはアンナに二人を任せて
「よし!俺が見に行こう」
フィンは一人で様子を見に行った。
だがなかなか戻らないので三人はゆっくりと後を追った。
前を進むとフィン倒れていた。
アンナは急いで近づき、生死を確認する。
「良かった〜生きてるわ」
しかしツクヨミは
「囲まれたな!」
三人のフードをかぶった男が現れた。
「お前たちここで何をしている!」
ツクヨミが聞くと後ろにいたフードの男はアンナにナイフを投げてきた。
アンナはいきなりの事で避けきれずに掠ってしまった。
どうやら即効性の麻痺の薬が塗られたようだ。
アンナが動けなくなった直後、サクヤに向かって火の魔法が飛んでくると
「炎舞」
二本のショートソードは炎を纏い、そして魔法をかき消した。
その瞬間、隙ができたのをツクヨミは見逃さなかった。
「闇一閃」
ツクヨミの姿はフードをかぶった三人の視界から消えて、そして一撃で二人を倒した。
残りの一人は焦り、逃げようとした所をサクヤは動きを読み取り、炎を纏った剣で倒した。
それを見ていたアンナは言葉を失う。
ツクヨミとサクヤは二人を手当てして、アンナは少し動けるようになり、フィンは目を覚ました。
とりあえずフードをかぶった三人は拘束した。
アンナはフィンに説明するとフィンは(信じられない!)という顔で二人にお礼を言った。
「悪い。助かった。ありがとう」
「無事で何よりです」
「もう俺達は歩けるからギルドに戻るとしよう。だがその前に」
捕まえた三人に尋問するが何も答えない。
「まっ!普通はそう簡単に喋らないか!しかしサクヤちゃん、魔法剣とは…俺達と同じBランクでもおかしく無いぞ!しかもツクヨミくんに限っては見ていたアンナでさえ、分からない間に二人倒したって」
「そうよ!私がいくら麻痺して動けなくても、その場の状況をぜ〜ったいに見落とす事はないわ。二人の動きはホントに一流の冒険者よ」
二人は謙遜しながら戻る準備をしたが、そこでサクヤは小さな池を見て
「兄さん!これ」
「あぁ、明らかにおかしい」
するとフィンとアンナが近づき
「どうしたの?サクヤちゃん」
「あの〜、見た目は普通の池ですが…何か良くない物が水に混ざってます」
フィンが軽く水をすくい、確認すると
「これは…、まずいな!急いで戻って報告しないと」
するとサクヤは
「何ですか?これは」
「あぁ10年位前に開発された薬品で、飲むと肉体に力が宿り、興奮状態になる。だがこれには副作用があり、すぐに製造と使用は禁止されたはずだが」
「副作用とは…」
「使った者の筋肉はもちろん、精神もボロボロになり、思考力も衰えて、敵味方関係無く暴れる。」
そしてアンナが
「だから森に住んでいる魔物などがおかしくなったのね。早く戻って水の浄化を頼まないと…」
サクヤは水の前で
「任せて下さい。【エリアキュア】」
そして魔法で水を浄化する。
「す、凄いわサクヤちゃん!水を浄化出来る人は、この王都に聖女様一人しかいないのよ」
フィンもサクヤを見て
「本当に子供か?驚かされてばかりだ。俺たちの方が足手まといだな」
アンナは頷き、二人に
「またパーティー組みましょうね」
そして捕まえた三人を連れ、ギルドに戻った。