第57話 港町へ
ツクヨミは1人で屋敷を出ようとすると、前からボロボロの女性のエルフが話しかけてきた。
「すいません。この屋敷の方ですか?私はクロエと申します。この屋敷にヘスティア様がいらっしゃると聞いたのですが…」
「ヘスティアさんは先程出かけましたが…何か御用ですか?」
「はい。何時頃お戻りになりますか?」
「今出たばかりなので5時間後ぐらいですかね〜」
「ハァ、そうですか」
クロエはため息をついて困った表情をしていたので、ツクヨミは外の飲食店に入り話を聞く事にした。
店に入るとツクヨミは飲み物を注文してクロエを落ち着かせた。
「クロエさん、俺はヘスティアさんとは知り合いです。良ければ話を聞かせて下さい」
「子供の君に話しても…」
「では、アレスさんの所に行きましょう。ヘスティアさんを探すより早いと思いますよ」
「お、お願いします」
そして飲み物を飲んですぐに屋敷に戻った。
ツクヨミは近くの執事に尋ねた。
「すいません。アレスさんの用事は終わりそうですか?」
「はい、アレス様はもうすぐお戻りになると思いますので、しばらくこちらの部屋でお待ち下さい」
数分後にアレスは帰って来た。
「どうしたツク、ヘスティア達は?」
「ヘスティアさん達はみんなで買い物に行ってます。あと4時間は帰って来ないと思います。アレスさん、彼女の話を聞いてもらえますか?」
「ツクの頼みを断る訳ないだろ。で、お嬢さんはどうしたのかな?」
「アレス様、お初にお目にかかります。私はエルフの里から来ましたクロエと申します。実はエルフの里を助けていただきたくヘスティア様を訪ねてきました」
「そうか〜、エルフの里では何がおきているんだ?」
「はい、急に魔獣が大量発生して里が襲撃を受けてます。そしてエルフの地には現れる事のないドラゴンまでも数体見かけました。しかもこちらに向っている途中に、謎の黒い装束を纏った集団と剣士と魔法使いに襲われ、何とか逃げて来ました」
「分かった。ヘスティアが戻ったらすぐに向かわせよう!誰か護衛をつけるからお嬢さんは先に里に戻るといい」
「アレスさん!俺が行きますよ」
「おお、ツクが行くなら安心だな」
するとクロエがアレスに尋ねた。
「アレス様、護衛をつけて頂くのは助かりますが子供を連れて行く訳にはいきません」
「お嬢さん、ツクはその辺の護衛つけるよりも強いぞ。その辺は信用してくれ」
「しかし〜………分かりました。お願いします」
するとツクヨミは早速行く準備をする。
「アレスさん、俺は先にクロエさんと行くので、サクヤ達はキルシュブリューテに戻るように伝えて下さい。じゃないとヘスティアさんについてきてしまいますので、お願いします」
「分かった!上手く伝えよう。とりあえず馬車と俺の信頼出来る側近を1人つける。エルフの里に行くにはキルシュブリューテの領地の南にある港町から船で行け。そして港町でヘスティアと合流しろ」
「分かりました」
「すぐに用意するから町の南の門で待っていろ」
「はい」
そしてツクヨミとクロエは南の門で待っていると一人の男が馬車に乗ってやった来た。
「君がツクヨミくんであなたがクロエさんでいいのかな?」
「はい、そうです」
「私はマルコ、港町までお供するのでよろしくお願いします」
「こちらこそお願いします」
「馬車で2日あれば着きますので中で休んでいて下さい」
港町へ出発した。




