第5話 初依頼
翌朝、早速依頼を受けに冒険者ギルドに行った。
ギルドに着くと周りの冒険者にジロジロと見られている。
「おい!ここはガキが来るとこじゃないぜ〜」
いろんな冒険者からヤジを飛ばしてくる。
ヤジを無視して、依頼ボードを見ていると、二人の男女冒険者が近づいてきた。
「君たちここは遊び場じゃないから帰りなさい」
男性が優しい口調で話しかけてきた。
「俺たちは昨日冒険者登録をして依頼を受けに来ました」
二人は驚きながら女性の方が、
「危ないから止めておきなさい。もっと普通の仕事でも探しなさい」
「大丈夫です。気にしないで下さい」
そして二人は仕事を探す。
二人の男女は顔を向かい合わせ、ため息をして声をかける。
「じゃあ、俺たちと一緒にこの依頼を受けないか?」
それはFランクでも受けれる簡単な森の調査だった。
二人は少し考え、断らず一緒に受ける事にした。
「分かりました。俺はツクヨミ、そして…」
「私は妹のサクヤです。よろしくお願いします」
男女の冒険者二人も自己紹介をする。
「よろしく、俺はフィンそして彼女はアンナだ」
「ヨロシクね、ツクヨミくん、サクヤちゃん」
『よろしくお願いします』
二人揃って返事をするとフィンが、
「じゃあ、飯食ってから行くか!」
『はい!』
二人は元気よく笑顔で返事をし、そしてみんなでご飯を食べに行く。
実はフィンとアンナはBランクの冒険者で、この辺りではそこそこ有名だった。
だからこそ周りは口出しをしなかったのである。
4人は食事をしながらお互いの事を話した。
「君たち、こんな子供なのに生活費と学費を稼ぐ為に冒険者になったのか!しかもこの町に来たばかりで何も分からないだろう」
「大丈夫です。昨日一日かけて調べました」
「…まぁ〜、とりあえず今日は安心しろ、俺たちがいるからな」
『はい!分かりました』
「じゃあ、依頼の話をするぞ」
『はい!』
「依頼は簡単だ。町を出て南に10キロ歩くと森が見えて来る。その森の動物が最近騒がしくなっているので調べてほしいと言う依頼だ。だから危ない様なら逃げればいい!見に行って報告するだけなので失敗は無いけど、依頼料も少ない。まぁ一日で終わる仕事だ」
「分かりました。早速行きましょう」
ツクヨミはやる気を出して立ち上がった。
「まぁ落ち着け!まずはもっとお互いを知らないとな!とりあえず俺は槍を使う。まぁ前衛って所だな」
するとアンナは、
「そうね〜私は基本後方から魔法で援護かしらね。火の魔法が得意よ」
「君たちは二人とも剣を持ってるけど…使えるの?ツクヨミくんの剣は変わってるね」
「はい!俺のは刀って言います。魔法も使えます」
ツクヨミの刀は黒刀と呼ばれ、ただでさえ珍しい刀の中で極めて珍しい物である。
「へぇ〜無理はしないでくれ」
「私も兄と同じです。剣はショートソードの二刀流です」
フィンもアンナも戦闘は出来ないと思っている。
この歳で剣や魔法を多少使える子供はいるが実戦の経験者はほぼいない。
また、学生さえも武術大会に出た事がある程度だ。
だからフィンたちにとってはちょっとしたボランティアをしている感じである。
「まっ、君たちは俺たちに任せて、森で変だと思う事があれば教えてくれ」
そして4人は森へ向かった。