第48話 フェリックスの覚悟
フェリックスとベンの打ち合いが続く。
「おっさんよ〜、そろそろ本気出せよ」
「ガキにしてはなかなかだよ!しかし何だな〜、お互い武器が戦斧とは面白いな」
そしてベンは戦鎌を回し始めると鎌の周りに魔力が集まり風を纏い出した。
その風圧がフェリックスを襲う。
「これが本当のかまいたちってヤツだな。どうだ面白いか」
「おっさんにしては芸が細かいな」
フェリックスの腕や足などに切り傷が増えていく。
「やっぱ、一撃で決めた方が気持ちいいだろ!なぁおっさんよ〜。行くぜ〜(デスサイズ)」
辺りが闇に覆われた。
しかしフェリックスの戦鎌はベンにはカスリもしない。
「一撃で決めるんじゃ無かったのか?」
ベンは下から上に突き上げた。
地面を切り裂きながら斬撃が飛ぶ。
「お前も闇魔法を使うみたいだな。まぁ確かに戦鎌と闇魔法は相性いいからな、お前は強くなるよ。ここで死ななければな」
するとベンのカラダが闇と同化した。
「どうだ、見えないだろ。怖いか?怖いだろう」
ベンは恐怖を煽った。
しかしフェリックスはツクヨミとの戦いを経験した事により、冷静に相手を分析していた。
「そこか!」
ベンの位置を把握し、戦鎌を振り落とす。
「(偶然か?)よく分かったな。しかし次はどうかな?」
ベンに音も気配も無くなった。
フェリックスは持ち前の勘で何とか致命傷は避けているが、既に全身傷だらけで対処法が浮かばない。
「おっさんよ〜、そんな攻撃じゃあ〜俺は殺れねぇぜ」
すると、後ろからベンの戦鎌が脇腹を貫いた。
「み〜つけた」
フェリックスは脇腹に刺さった戦鎌を掴み抜き、そのまま相手を切り裂いた。
「(デスサイズカーニバル)」
フェリックスの戦鎌が闇と同化した。
「ば、馬鹿な」
「踊り狂いな」
ベンは視えない闇の鎌に切り刻まれ、まさに踊る様に血を吹きながら倒れた。
「まぁまぁ楽しかったぜ。おっさん」
◆ ◆ ◆
フィオナがようやくたどり着くと王の間の扉の前に一人の男が立っていた。
「そこを退きなさい!」
「悪いけど、ここから先には行かせないよ。こう見えて第六騎士団副団長をやっているからね」
話の途中にフィオナは斬り込む。
「おっと危ない。私の名はフィリップ、貴方は?」
「うるさいわね!何でアンタに名乗らないといけないの」
「私もただ敵を斬るっていうのは心苦しくてね。せめて死に逝く人には名乗る様にしているんだよ」
「私が名を聞くと言うのは死ぬ覚悟があると言う事でいいかしら?」
「死ぬつもりは無いよ。ただ女性の名ぐらいは知りたいだけさ」
「キザな男は嫌いよ。(水龍斬)」
「(エアストライク)」
フィオナの放った水龍を弾き飛ばした。
「こんなのはどうかな?(エアピアス)」
フィオナの肩に小さな穴が開いた」
「どんどん行くよ」
フィオナの体に小さな穴が増えていく。
すると後ろからツクヨミが追いついて来た。
「ツクヨミ〜」
「待たせたな。お前は父の所に早く行け」
「君たち、ここは通さないと言ってるんだよ。(エアストライク)」
ツクヨミは瞬歩と突きで(エアストライク)を突き抜けると同時に攻撃した。
「今だ!フィオナ」
「はい!」
そしてフィオナは王の間に入っていった。
フィリップはツクヨミから離れ(エアピアス)を連発させる。
「さぁお嬢さんは通してしまいましたが、あなたはここで終わりです。せめて私の名を刻んで死になさい」
「必要ない!所詮は小技の連発、俺には効かない。(バーストフレア)」
フィリップはツクヨミの魔法一発で吹き飛んだ。
「お前はそこで寝ていろ」
ツクヨミも王の間に入っていった。




