第37話 誕生日パーティー(前編)
翌日、学校が終わり一度家に戻ってから、メリナたちと待ち合わせた。
「メリナ、エミリアお待たせ」
「ツクヨミさん、サクヤさん、それでは行きましょう」
ツクヨミが屋敷に入ろうとすると門番に止められた。
「君たち、招待状は?」
「俺たちは貰ってないけど…」
「それでは入れる事は出来ない。君たちみたいな子供の来る所じゃない!さっ帰ってくれ」
するとメリナとエミリアが前に出た。
「私たちも招待状ありませんが入れませんか?」
「!!!」
「ちょっと〜早く中に入れなさいよ!」
「誠に申し訳ございません。ど、どうぞお入り下さいませ」
屋敷の中に入ると
「メリナ、エミリア助かったよ。俺たちだけじゃ入れなかったよ」
「もうフィオナは、招待状があるならちゃんと渡して貰わないと…」
ブツブツ言いながら中に入ると、そこにはたくさんの貴族たちがパーティーを楽しんでいた。
「あそこにいるのフィオナじゃない」
「わぁー、フィオナさん綺麗」
フィオナの前にはたくさんの男性がプレゼントを渡してアピールしていた。
「フィオナってモテるのな」
「そうですよツクヨミさん、フィオナは男に困ってませんので今度は私とデートしましょう」
「メリナ様、王女がデートってどうかしらね〜、ツクヨミは私に勝った責任を取りなさい」
「メリナさんもエミリアさんも今日はフィオナさんの誕生日ですよ」
二人が騒がしくしているとフィオナが気づいて近づいてきた。
「ツクヨミ〜」
「「「ちょっと〜私たちもいるんですけど…」」」
「誕生日おめでとう。これは俺から」
「わぁー、ありがとう。開けてもいい?」
「もちろん」
プレゼントを開けると氷の結晶をモチーフとしたダイヤのネックレスが入っていた。
あまりの嬉しさにフィオナはツクヨミに抱きつくと、周りの男は一斉にツクヨミを睨む。
するとフィオナの父親がやってきた。
「これはこれはメリナ様、わざわざ娘の為にありがとうございます。エミリアもよく来てくれたね」
「ご無沙汰してます。」
「こちらの二人ご学友かな?」
「はい、お父様。こちらはツクヨミさんとサクヤさんです」
「話は聞いているよ。私はフィオナの父のフランシスです」
「ツクヨミです。いつもお世話になってます」
「サクヤです。私もフィオナさんにプレゼントを持ってきたのですが…よろしいですか?」
「ホントに〜、ありがとう」
サクヤがプレゼントを渡すとフィオナが喜ぶと同時にフランシスが驚いた。
それは真っ白に綺麗な刀だった。
「とても綺麗、大事に使うね」
するとフランシスが
「フィオナ、ちょっとその刀を見せてくれ」
フランシスは刀を手に取り、じっくりと見る。
「こ、これは!サクヤさん、これはどこで手に入れたのかね」
「それは私が母から受け継いだ刀です」
「サクヤさん、そんな大切な物を貰っていいの?」
「えぇ、私がただ持っているよりもフィオナさんに使ってもらう方が刀も喜びますから」
するとフランシスが真剣な顔でサクヤに聞く。
「本当にいいのかね?これは伝説の英雄が使っていた幻の武器の1つだよ。この刀一本で最低でも白金貨5000枚の価値はあるぞ」
「!!!」
「サクヤさん、本当にいいの?」
「もちろんですよ」
「フィオナ、これはもうオルヒデー家の家宝だな!」
実はフランシスは大の武器オタクだった。
「お父様は武器の事になると…全く」
「せっかくだから俺の刀も見てもらってもいいですか?」
「どれどれ、!!!」
フランシスの興奮は止まらなかった。
「この刀も幻の武器の1つだよ!君たちは一体………フィオナ、ツクヨミくんとはいつ結婚するんだい?」
「「「何をいってるんですか〜〜〜」」」
フィオナは赤くなりうつむく、メリナとエミリアはフランシスにツッコんだ
「まぁ冗談はこれぐらいにして、今度ゆっくり遊びに来なさい。その時にでも君たちの事やお母さんの事を聞かせてくれないか?」
「はい」
フィオナは小声で
「私は結婚してもいいんですけど…」
そしてフランシスは席を外した。




