第36話 想い
町に戻りメリナのオススメのお店で食事をする事になった。
「いらっしゃいませ、メリナ様」
そして個室に案内されると
「メリナ、ここ高いんじゃないか?」
「大丈夫ですよ」
「いやいや、フィオナもエミリアも平然としてるけど…」
「私たちもこのお店はよく来るわよ」
しばらくするとコース料理が順に運ばれてきた。
慣れないツクヨミは一人で緊張している。
すべての料理が終わりデザートを食べ終わるとメリナがツクヨミに尋ねた。
「ツクヨミさんはどなたが好きなのですか?ハッキリした方がいいと思います」
ツクヨミは色々考え決断し、今思っている事を伝えた。
「ハッキリ言おう」
「「「(ゴクリ)」」」
「俺は学園を卒業したらこの町を出ていく!これはまだサクヤにも伝えてない事だ。俺はこの世界のすべてを見てみたい」
「サクヤさんはどうするのですか?」
「アイツは学校に通いたいと願い、そしてこの町に住むことにした。たくさんの友達も出来た。だから頃合いを見て伝え、ここに置いて行くつもりだ」
「サクヤさんの気持ちは…」
「あぁ、まだ2年以上あるから今はこれでいい。メリナは第二王女、フィオナと
エミリアは五大貴族、他もそうだ!まだお互いやりたい事や夢もあるだろう。だからメリナもフィオナもエミリアもゆっくり考えてほしい。その時になったら決断しよう」
「私はツクヨミに着いていくわ」
「私は単なる第二王女、王座を継ぐ事もあります」
「勝ち逃げは許さないわ」
三人の決意は固かった。
「とりあえず今はこのままの関係でいてくれ。あとサクヤにこの事を言わないでくれ」
「分かったわツクヨミ、明日の私の誕生日パーティーは必ず来てね」
「もちろん!サクヤと行くよ」
「私も行くわ」
「私も!」
「あなたたちは呼んでません!」
「友達でしょ」
「幼馴染でしょ」
「分かったわよ」
話は何とか纏まりようやく解散した。
家に戻るとサクヤが笑顔で待っていた。
椅子に座るとサクヤはお茶を出し、両手で頬を押さえ肘をつき、笑顔でじーっと見つめる。
「どなたを選んだんですか?」
「(ブーーー)」
思わずお茶を吹き出した。
「やっぱりフィオナさん?それともメリナさん?エミリアさんも綺麗ですしねぇ〜」
「だ、誰も選んでないよ!」
「えっ」
「ほ、ほら!俺たちまだ子供だしな!3人とも納得してくれたし…」
「ふ〜〜〜〜〜ん」
サクヤは疑りながらもそれ以上聞かなかった。
「明日フィオナの誕生日パーティーだからさ〜、今から一緒にプレゼント買いに行こう!」
「私は用意しましたよ」
プレゼントをツクヨミに見せると
「いいのか?それ大切にしていただろう」
「いいんです。ただ持っている私より、使ってもらう方が喜んでくれますから」
「そうか…」
「兄さんは一人で買いに行って、一人で決めて下さい!」
ツクヨミは一人で誕生日プレゼントを買いにいった。
町を歩いていると前からクルトたちがきた。
「よう!ツクヨミ何やってるんだ」
「実は…」
ツクヨミは今までプレゼント何かしたことが無いので素直にクルトに聞いた。
「教えてもいいけど…なぁ」
マルティンが思いついたかのようにツクヨミに言う。
「よし!良い所教えてやる代わりに1つ俺たちのお願い聞いてくれ!」
「何だよ!お願いって」
「まぁまぁ、それは後のお楽しみで」
「………分かったから頼む」
マルティンは有名なアクセサリーショップを教えた。
「女性は宝石に目がないからなぁ〜、後はツクヨミのセンスだな」
「助かったよ」
「急がないと店閉まるぞ」
そして急いでアクセサリーショップに向かった。
「いらっしゃいませ、何をお探しでしょうか?」
「友人の誕生日プレゼント何ですけど…何かオススメはありますか?」
店員は察して
「ネックレスはどうでしょう?こちらが今女性に人気がありますよ」
見ると、どれもフィオナのイメージに合わない。
すると
「すいません、これにします」
「こちらですか?」
それは子供の買えるような金額の物ではなかった。
「少々お高いんですけど…宜しいですか」
「はい」
ツクヨミは値段を気にせず、フィオナのイメージに合うと思い即決した。




