第20話 特訓
剣の授業が始まり、いつも通り4人で自主練習を始めた。
ツクヨミは予備の刀をフィオナに渡し、基本の構えと動作を教えた。
覚えもよくてどんどん吸収していくフィオナに、ツクヨミも楽しくなり、気がつくと授業も終わっていた。
「ツクヨミさん、ありがとう」
すると小声で
「あの〜…今度の日曜日、刀の技を教えて欲しいの。いい?」
「それは別にいいけど…」
「どうしても来週、メリナとサクヤさんに勝ちたいの。お願い!」
するとサクヤとメリナがやってきた。
「また明日ね、さようならツクヨミさん」
「あぁ、じゃあな」
フィオナは走って先に帰っていった。
「兄さん、フィオナさんと何を話していたのですか?」
「怪しい…ですわ」
「まぁまぁ二人とも、とりあえず帰りますか」
そして日曜日、ツクヨミとフィオナは町の外で待ち合わせた。
「悪い、待たせたな」
「私も今来た所だから…」
恋人みたいなやり取りをしながら人気のない草原に向かった。
「とりあえず2つ技を習得してもらいたい。今日で2つは厳しいと思うけど大丈夫か?」
「頑張るわ」
「まずは(八龍水斬)」
水を纏った八連の飛ぶ斬撃を出した。
「えっ!ツクヨミさんの属性は火なのに…」
「まぁこれぐらいなら水属性も使えるぞ。これは前にフィオナが使ったアクアスラッシュの八連撃と思ってくれればいい!ただ弧を描きながらの斬撃になる」
「ちょっ、これはちょっと厳しいです」
「まぁ3年間頑張ればフィオナでも出来るようになるよ。だから今日覚えるのはこれの単発で(水龍斬)だな!午前中はこれをマスターしよう」
「わ、分かったわ。やってみる」
フィオナは2時間程の練習で形になってきた。
「少し休むとするか」
「えぇ」
「この後もう一つの技を見せるから、しっかり休んでおけよ」
15分程休んだ後、練習は始まった。
「フィオナはアクアスラッシュが出来るだけあって水龍斬は形になってきたが次は難しいぞ!よ〜く見てくれ」
「はい!」
「行くぞ!(氷華斬)」
刀を鞘に戻した後、少し雪に近い氷の結晶が辺り一面に降ってくると、上段からの袈裟斬りで大気を切った。
相手の体温を下げて運動機能を低下させ、一撃で切り裂く氷属性の攻撃だった。
フィオナは見惚れていた。
「フィオナどうだ?」
「素敵…凄いわ」
「まずは水の魔法と風の魔法で氷を作る所から練習してみよう」
フィオナは練習したが、辺りも暗くなり(氷華斬)までは会得出来なかった。
何とか氷の魔法までは出来るようになったので最後にもう一度(氷華斬)を見せてから帰ることにした。
「今日はありがとう、ツクヨミさん。後2日間でマスターするわ」
「あぁ、ガンバレ!あと俺の事は呼び捨てでいいぞ」
「じゃあ〜ツクヨミ、また明日」
そしてフィオナは顔を赤くして走って帰っていった。




