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この瞳に映るものすべて  作者: ヨシハル
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第2話 出会い

森を出たツクヨミとサクヤはしばらく歩くと道に出た。


地図もなければ、どこに町があるのかさえも分からない。


ただ小さい頃、母から聞いた話を思い出しながら道沿いを歩いていく。


1日野宿をした翌日の昼、道沿いから少し離れた所から悲鳴が聞こえた。


「誰か〜、助けて下さい」


よく見ると同じ位の歳の少女が一人の男に襲われている。


二人は急いで少女を助けると男が剣を振りながら


「おい!ガキ共、さっさと退かないとまとめて殺すぞ!」


一歩前に出たツクヨミが刀に手を当て


「悪いが気絶してもらう」


「ぐはっ」


一瞬の事だった。


少女は驚きながらツクヨミに


「こ、殺したのですか?」


「いや、殺してない。ただの峰打ちだ」


「お、お願いします。向こうに護衛の人たちがいます。助けて下さい」


サクヤはその少女の目をジッーと見つめ、ツクヨミに


「行きましょう!兄さん」


サクヤには【真実の瞳】がある。


【真実の瞳】は人の本質や行動など見抜くことが出来る。


だからこの少女は助けないといけない!と思い、ツクヨミに告げた。


だからツクヨミもすぐに応える。


「ああ」


そして少女に


「案内してくれ」


3人は急いで向かうと馬車のそばで戦っている。


傷ついて倒れそうな兵士が3人と盗賊らしき男が5人いる。


すぐにツクヨミは飛び出して斬りかかり、一人で5人を倒すと、驚きながらも兵士3人はその場で座り込む。


一人の兵士が


「あ、ありがとうございます」


そして兵士は名を言うと問いかける。


「私はオスカーといいます。君の名前は?」


「俺はツクヨミといいます」


「し、しかし先程はどうやってあの人数の盗賊を倒したのですか?」


サクヤの瞳は【時間ときの瞳】といい、1秒間時間を止める事が出来る。


もちろん母との約束で人には言えない。


ただサクヤの剣技も凄く、目にも止まらぬ抜刀と流れる様な剣さばきにスピードがある。


それだけでも超一流と言える。


「普通の剣技です。それよりケガは?」


そこにサクヤと少女も追いつく。


それを見た兵士3人は安心した顔を浮かべた。


「姫様、ご無事で」


「あなた達のおかげで助かりました」


そして少女はツクヨミとサクヤの方を向き、頭を下げる。


「あなた方のお陰で助かりました。ありがとうございます。わたくしの名前はメリナと申します。宜しければお名前を聞いてよろしいですか?」


「ああ、俺はツクヨミだ」


「私はサクヤです」


「ツクヨミさんとサクヤさんですね。お二人は何処に行く予定ですか?」


ツクヨミは少し考えてから


「決まってないが大きな町に行きたいと思っている。特にあてがあるわけではない」


ツクヨミがメリナに話すとオスカーが前に出る。


「私たちは王都に戻る所、襲われました。良ければ王都までご一緒して頂けないだろうか?」


ツクヨミとサクヤは少し考えてから、サクヤが応える。


「良いですよ。私はサクヤと言います。よろしくお願いしますね」


「私はオスカーといいます。ありがとうございます。あそれと後ろの二人は…」


「私はテオです。よろしく」


「俺はフランクだ。気軽に呼んでくれ」


お互い自己紹介が終わると少し休憩する事にした。


サクヤは兵士3人の傷を手当てしてから、少し遅い昼食を用意した。


ツクヨミが先に食べ終わると


「少し様子を見てくる。サクヤ少しの間任せたぞ」


「はい!兄さん」


そしてツクヨミは先程捕まえた盗賊たちの様子を見に行く。


しばらくしてみんなが食事を終えると、少し大きめの三匹の魔狼が現れた。


匂いに釣られたのか唾液を垂らしながら近づいてくる。


サクヤは前に出る。


兵士たちが止めようとするがサクヤは両手にショートソードを持ち、魔狼に一太刀浴びせる。


(剣舞)それは舞うように剣を振り、そして蹴りを放つ。


全く無駄な動きがなく、その華麗な姿に言葉を失う。


ふと気がつくと魔狼は逃げていき、サクヤは笑顔で戻ってくる。


「もう大丈夫ですよ」


みんな開いた口が塞がらなく、しばらくするとメリナが


「すご〜い!サクヤさん!それはなんという剣術ですか?」


「これは剣舞といいまして、小さい頃お母さんに習いました」


メリナが興奮しながらひたすら話し続けているとツクヨミが帰ってきた。


「戻ってきたぞ〜、んん?何かあったのか?」


サクヤがツクヨミに今までの事を説明しているとオスカーがツクヨミに尋ねる。


「ツクヨミくん、何処に行ってたんだ?」


「さっき捕まえた盗賊を見てきました!今の所は6人とも大人しくしているが…どうするか?放置しておく訳にはいかないだろう」


そこでフランクが声をかけてくる。


「馬車ならあと2時間位で王都に着くから到着したら衛兵に頼むとしよう!」


オスカーが頷き、


「そうだな!急いで王都に帰ろう!」


そして休憩を終えて王都に向かった。


馬車を走らせ、1時間半位で王都が見えてきた。


門番に止められて身分証の提示を求められたが、メリナたちを見てすぐ中に入れてくれた。


オスカーは門番に盗賊の件を話し、後のことを頼んだ。


門をくぐり、街の入り口でツクヨミとサクヤは驚きながら見上げた。


ツクヨミは胸を高鳴らせ、サクヤはドキドキしながら立ち止まるとメリナが二人に話し出す。


「ツクヨミさん、サクヤさん、ぜひ王宮までお越し願いますか?お礼も致したいので」


二人は少し迷いながら一緒に王宮に向かった。

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