第13話 ランクアップ
町に戻りギルドに着くとツクヨミは早速次の依頼を探しに、そしてフィンは依頼達成の報告しにいった。
ツクヨミは早速、薬草採取の依頼や探索依頼など、すぐに終わる依頼を手当たり次第集めて受付をする。
「お願いします」
「あ、はい。………え、えええ〜!こ、こんなにですか?失敗したら評価下がりますよ〜」
「大丈夫です!」
「はぁ〜、どうなっても知りませんよ」
ツクヨミは受付を済ますとサクヤの所に行く。
「たくさん依頼を受けてきたから早速行こう!」
「いいですね。行きましょう」
そこにフィンがきて、依頼料の分け前を渡した。
「お前ら頑張るな〜、俺たちは飯でも食いに行くけど、また一緒に依頼を受けような」
「その時はまた宜しくお願いします」
そして二人は学校が始まるまで毎日依頼を受けた。
ツクヨミたちが冒険者登録をして10日目、ギルド内では少し騒ぎが起きている。
なぜなら最年少で最速のEランク冒険者の誕生になるかもしれないからだ。
普段なら2ランク上の試験官と戦って合否が決まるが、なぜかギルドマスター自ら試験官を名乗り出た。
「では二人一緒にかかってきなさい」
モーリッツは油断する事無く、武器を構えた。
そしてギルド長補佐が審判を務める。
開始の合図と同時にツクヨミが飛び出すとモーリッツは防御で手一杯になる。
「おいおい、二人同時でいいんだぜ!」
モーリッツは精一杯の強がりを言いながら戦っているが、サクヤは手を出さず見守っている。
「ちょっと今の自分の実力を知りたくて…少し本気を出しますね」
ツクヨミは一歩下がって構え放った。
「切り裂け!(八龍炎斬)」
炎を纏った八連の飛ぶ斬撃がモーリッツに襲いかかる。
モーリッツは何とか耐えきるが体中に無数の切り傷と火傷を受ける。
それを見たギルド長補佐が試合を止める。
「いや〜、ツクヨミくんは凄いな〜」
周りはざわついている。
なぜならモーリッツは元Aランク冒険者で強さには評判があった。
モーリッツはツクヨミに近づいて
「君は今日からCランクだ!もちろんサクヤちゃんもね」
「「「えぇーーー」」」
周りは全員が驚き、そして盛り上がっていた。
「俺だけでなく、サクヤも?」
モーリッツは小声でツクヨミだけに聞こえるように
「フィンから話も聞いてるし、サクヤちゃんは浄化も使えるんだろ。それだけで本当はBランクにしたいぐらいだけどな。まぁCランク任務も経験してるし…特例だ」
周りの冒険者たちの騒ぎは止まらない。
Eランクでも今までの最高記録の最速最年少ランクアップなのに…それがCランク!この日、ギルド冒険者でツクヨミとサクヤの事を知らない者はいなくなった。
そして日も経ち、あっという間に入学式前日、冒険者ランクも約1ヶ月でBランクになった。
「これで1年分の生活費は稼いだな!」
「はい、しばらくは生活には困りませんね」
「あぁ、明日からは学校だな」
「はい、楽しみです」
「おれは学校のない日は仕事をするから、サクヤは学校に集中していいぞ」
「いいんですか!」
「もちろんだ!元々はサクヤが学校に通いたいと言っていたんだ。3年間学校生活を十分楽しめ」
「ありがとう、兄さん」
そして入学式を迎えた。




