第117話 オメガ
ヒンメル王国に戻ったヴィクトー達は、すぐにミネルヴァの所に向かった。
「お母様、サクヤ姉様を連れて参りました」
「ご苦労様、ビアンカ、それにヴィクトーも。しかし、サクヤの他にも誰かいる見たいですが?」
そしてすぐにメリナが前に出て挨拶をした。
「初めまして女王ミネルヴァ様、私はキルシュブリューテ王国第二王女キルシュブリューテ=メリナと申します。そして彼女達は我が国の五大貴族のご息女でございます。私達は同じご学友のツクヨミさんが大変な事になっていると聞き、ヴィクトー様とビアンカ様にお願い致しまして参りました」
「なるほど…ご学友ねぇ〜…」
「お願い致します。ツクヨミさんに会わせて下さい」
「会ってどうする」
「……………」
「お前たちでは何も出来ないぞ」
「……………」
「何も出来ないお前たちが会った所でどうする」
「……………」
「見ているだけか?それとも祈るか?ただ辛いだけだぞ」
「それでも会いたいのです」
「いいでしょう。ついて来なさい」
中に入るとシャルロットは目覚めていて、ツクヨミの前で瞑想をしている。
「兄さん!」
すぐにサクヤはツクヨミの所に行く。
続いて、メリナ、フィオナ、エミリアが行こうとすると、ミネルヴァは止めた。
「お前たちには何もする事はない!」
「教えて下さい。ツクヨミさんは今どうなっているのですか?」
「今、自分の中にいる龍と闘っている。ツクヨミがどんな龍を抱えているかはわからないが、既に6日経っている。もって後1日だろうな」
「「「そんな!」」」
「シャルロットは竜眼の力で語りかけるが無理だった。今も尚、語りかけている。あとツクヨミの心に語りかけられるのはサクヤだけだ!サクヤの瞳を使えばもしくは…」
そしてサクヤとシャルロット以外は全員祈るのとしか出来なかった。
◆ ◆ ◆
ツクヨミはオメガと戦っていた。
「ほう、人間が竜氣を使うか」
オメガが剣を使い、ツクヨミと戦う。
剣の技術は互角だった。
「我と互角とは、素晴らしい!しかしそれだけでは我には勝てんぞ。さぁ、どうする?」
オメガは楽しんでいた。
まさか剣で互角に戦える者がいるとは思わなかったからである。
何千年も眠り、久々に呼ばれた相手がこれ程の手練とは…と、そしてツクヨミはオメガの行動を理解していた。
「どうした?魔法でも使うか?」
そして、どれくらい戦っていたのだろう?1日は経っている筈、やがて押され始めた。
そして2日目、オメガの余裕が一瞬のスキを生むとツクヨミは瞳を使い、そして1秒時間を止めた。
「終わりだ!(迦具土神)」
刀に黒い炎を纏い、オメガの左肩から斜めに切り裂いた。
「勝った!」
ツクヨミは肩を落とし、緊張の糸が解けた。
すると、ツクヨミの左腕が吹き飛んだ!
「うわぁっ!」
オメガの体が変わる。
「素晴らしいぞ!我をこの姿にした者はお主で3人目だ!」
「な、なに!」
オメガが本来の龍の姿になる。
最早、太刀打ち出来る大きさではない。
そして、オメガは凍てつくブレスで左腕腕を無くしたツクヨミを封印した。
「やはり、ここまでの様だな!人間にしては良くやった」
「………………………………………」
何日経ったかわからない。
このまま終わるのか。
もう、どこも動かす事も出来ない。
ツクヨミは諦めかけた時、声が聞こえた。
「君はここで終わって良いのかい?」
「だ………だれ……………、………だ」
「僕だよ、プルートだよ」
「お…前………は死……んだ…、……筈…だ」
「あぁ、死ぬ前に瞳の力を使ったんだよ。僕の瞳は【支配の瞳】、君の心の一部に、僕の全ての力を注ぎ込んだ」
「……な………ぜ…?………そんな…事を」
「決まっているじゃないか!最後ぐらい兄らしい事をしたくてね。君の左目に僕の力を与えた。だから、早くみんなも所に戻るといい」
「…どう…やっ………て」
「簡単さ!」
その瞬間、凍りついて封印された体に力が宿り、封印を解いた。
「僕がやれるのはここまでだ。あとはあの龍を倒すだけだ。ツクヨミ、君なら出来る」
それがプルートの最後の言葉になった。
「ありがとう………兄さん」
それが5日目だった。




