第109話 修行
女王の前には総隊長の他に各隊の隊長と副隊長が集まっていた。
「今から各隊順番に戦力を上げてもらう。隊長と副隊長には最低でも今のアンドレアより強くなってもらわなければならない」
すると1番隊隊長のジュールが発言する。
「女王様、いきなり強くなれと申されても、そう簡単に強くはなれないと思いますが…」
「先程、ここを脱獄したダヴィデに会いました。アンドレアとエンツォの二人がかりで倒す事は出来ず、むしろ圧されていました。この状況で急がずしてどうする!もし明日にでも攻め込まれたら間違いなくヒンメル王国は滅亡します」
皆がただ黙るしかなかった。
「これから私に従いて参れ」
ミネルヴァが『竜眼』を発動すると何も無い空間から扉が現れた。
竜人族で『竜眼』を扱えるのは今はまだミネルヴァただ一人である。
そして扉の先には階段があり、階段を上がると綺麗な風景が広がる。
「ここの時間軸は少しズレている。ここでの1ヵ月は元の世界の1日、13日で1年の修行が出来る」
「「「おおぉぉぉ」」」
「ただし!リスクもある」
ゴクリ………皆が唾を飲む。
「元の世界に帰れば、ここで過ごした時間だけ年も取れば寿命も縮まる。13日で1年分の修行が出来るのではなく、13日で1年の寿命を使うと考えろ!修行の期間は皆に任せる。今の竜氣を最低でも3倍にして来い!!」
「「「はいっ!」」」
「1日たったら迎えにくる。その時には修行の成果を見せてみろ!」
「「「はいっ!!!」」」
ミネルヴァはアンドレアを連れて元の世界に戻った。
「アンドレアよ、お前には少し頼みたい事がある」
「何でしょうか?」
「まずは0番隊を王宮に戻って来る様に伝えよ!そしてブルーメにいるアレスとヘスティア、そして妖精国に行きアフロディーテにこの事を伝えよ!!」
「はっ!」
アンドレアは急いで0番隊に通達して、まずは妖精国へと向かった。
◆ ◆ ◆
ツクヨミたちはラウラのドラゴンに乗ってヒンメル王国を目指した。
「ラウラ、さすがに5人で乗るのは狭くないか?」
「ちょ〜っとドラゴンちゃんもキツいかな〜」
すると前に30騎ほどの竜騎士が向かってきた。
「お前たちは何者だ!許可なくしてここを通れると思うなよ!!」
竜騎士たちは既に戦闘態勢に入っていた。
「あなた達、止めなさい!」
「!!」
竜騎士たちは驚きと安心をした。
「シャ、シャルロット様!なぜここに?」
「今からお母様にお会い為に来ました。急ぎですのですぐに案内しなさい」
竜騎士たちは顔を見合わせて答える。
「申し訳ございません!女王様は今、お忙しく………」
「何をさっきから荒々しく、いいからさっさと案内しなさぁぁぁい!!!」
「「「は、はい!」」」
シャルロットは竜騎士の後ろに乗り換えて城へ向かった。
城に到着するとツクヨミたちはミネルヴァのいる女王の間に向かった。
そしてシャルロットが先に中に入った。
「お母様、今戻りました」
「シャルロットよく戻りました。そしてツクヨミ、久しぶりですね。………そこにいるのはヘカテーですか?」
「久しぶり………」
ミネルヴァの顔色が変わる。
「ちょうどよい!ヘカテーよ、お前は暁では無いのか?プルートはどうした?そして『闇の跳梁者』という魔人たちは何者だ!」
すると喋りが苦手なヘカテーの代わりにラウラが前に出た。
「おまえはなんだ!」
ミネルヴァは竜眼で睨みつける。
そして深呼吸をして
「なるほど………では代わり話して下さい」
ラウラは全てを見透かされた様な気がした。
そして暁の会議中に起きた事、ハデスなる存在、プルートの死、全てを正直に話した。
「わかりました。全員私の前に並びなさい」
ミネルヴァが全員を順番に竜眼で確認した。
「ちょうどいい時間だな、お前たちついて来なさい!」
竜眼で空間から扉を開く、そしてツクヨミ達を連れていった。
階段を上がった先には各隊の隊長と副隊長の6人が戦っていた。
「お前たち、成果はどうだ?」
するとエンツォが答えた。
「まだ、ダヴィデと比べるとまだまだですが、この1ヵ月で総隊長と同レベル位にはなったと思います。ところで女王様、後ろにいる者たちは?」
「これからお前たちにはこの者たちと戦ってもらう。殺すつもりで本気を出せ!」
「しかし、相手は子供ですよ!シャルロット様までいるではないですか」
「構わん!お前たちの成果を見せよ!」
そしてツクヨミ達と竜騎士達の模擬戦が始まった。




