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謎が解き明かされるとき②

 恩田は「おさらいだ」と言い。私が山岡のアパートで目覚めたときの状況を詳しく話すように要求した。

 私は、思い出せる限りのことを話す。

 ひとり、ベッドで寝ていたこと。

 起きたときに、自分の着衣や靴がなかったこと。

 テーブルにビールの空き缶とスナック菓子と煙草の吸殻が有ったこと。

 ベッドが酷く湿って臭かったこと。

 体が変な液体でベトベトになっていて、それをシャワーで洗い流したこと。

 怖くなり、山岡の服を着て一旦外に逃げ出したこと等を話すと、恩田が質問してきた。

 テーブルの状況は、これと同じかと指さしたのは、目の前にある恩田が飲んだビールと菓子の散らかされた状態。

 私が、そうだと答えると「じゃあ、君の飲んだものは何処に行った?」と言われ、有ったかどうか覚えていないと答えた。

 次に、ベッドが湿っていた状況を聞かれたので、全体的にかなり湿っていたことと、アンモニア臭がしたと答えた。

 最後に、部屋を出たときの状況を聞いてきた。

“君が部屋を出るときに、チェーンは掛かっていたのか”と。

 その質問に、何故か酷く動揺した。

 アパートを逃げ出すことに気を取られていて、今まで思い出せずにいた。

 だけど、思い出すたびに気になっていたのは、あのドアのチェーン。

 思い出そうとするたびに、頭が痛くなってくる。

 恩田が私の肩を揺さぶる。

 頑張って、思い出せと。

「山岡なら、部屋にチェーンをかけ忘れる事なんてない。ここが一番重要なポイントだ」

 たしかに、山岡さんは部屋に戻ると必ずチェーンロックを掛けるはず。

 でも、何故私はその事が分かるのだろう?

 暗闇の中で、物を探すようにキョロキョロと瞳を動かせながら、部屋を出る時の自分の行動を“おさらい”していた。

“!”

 そして、思い出す。

 あの時、ふたつの鍵を開けて外に出た。

 その一つは鍵、そしてもう一つはチェーンロック!

 つまり、あの部屋は内側からチェーンロックが掛けられた密室だったのだ。

「では、山岡さんは、どうやって部屋から出て行ったの?」

 私の問いかけに、恩田が答える「山岡は、部屋を出て行ってはいない」と。

「では、私は部屋で山岡が返ってくるのを待っていたの?」

「待ってはいない」

「では、何故?」

「君を待っていたのは、山岡のほうだからさ」



“山岡が、私を待っていた……”

 いったい、どういう事だろうと呆然としている私にはお構いなしに、最初から気が付いていればこんな面倒はなかったと言い、恩田が想像する謎解きをはじめた。

「これから話すことは、あくまでも俺の推測だ。だが、あながち間違っては居ないはずだ」と前置きをして話し始めた。

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