男の部屋①
人生初のサスペンスドラマです。
今は、希望と不安で、いっぱいです。
皆さん、どうか応援よろしくお願いいたします♪
瞼の向こう側に灯りが見えた。
陽の光か、蛍光灯の灯りかは分からない。
ただ、その光が“目を開けろ”と言っている気がして、ゆっくりとそれに従う。
光の正体は、蛍光灯だった。
いつ以来か分からないけれど、とにかく眩しかったので、その灯りを遮ろうとして腕を持ち上げて驚いた。
筋肉が硬直しているのだろうか、なかなか腕が上がらない。
腕を持ち上げる事が、こんなにもしんどい事だったなんて……。
震える腕を真上にまっすぐに伸ばし手のひらを広げて光を遮ったけれど、直ぐに力尽きて腕は肘の所でぽっきりと折れ曲がり、自分の顔に覆いかぶさった。
“光を遮るなら、これでいい”
体が重い。
そして、だるい。
動こうとする気力もないまま、気持ちが遠くなってゆき、私は再び目を閉じた。
次に目を覚ましたとき、私の手は顔を覆ってはいなくて胸の上に置かれていて、目のまえにはやはり蛍光灯の灯りがあった。
カーテンの向こうから日が射していないので、いまが夜なのは直ぐに分かった。
真夜中に目が覚めることは、よくある事。
しかし、蛍光灯の灯りを切り忘れるとは……。
今度は手で光を遮らずに、そのまま暫くその灯りを見つめていた。
相変わらず、体が重くてだるい。
まるで、何週間も寝たきりでいたみたいに力が入らない。
“いったい、どうしたのだろう……”
いつの間にか、また寝ていた。
前に目が覚めた時から何時間たったのか分からない。
1時間以上なのか、それとも数分程度なのか。
相変わらずカーテンの向こう側は暗いままで、部屋には蛍光灯が付いていた。
“時計は何処?”
頭の上を手で探り目覚まし時計を見つけた。
時刻は午前2時。
いつ寝たのか覚えていなかったけれど、12時に寝たとすると、まだ2時間しか経っていない。
朝まで寝ていよう。
そう思って再び目を瞑り掛けたとき、寝ているベッドがおかしいことに気が付いて、慌てて起き上がった。
ベッドの異常。
それは、ビショビショに濡れたシーツと、異常な臭気。
まるで何度も、おしっこを漏らしたよう。
それに体もヌルヌルして気持ち悪い。
“いったい何!?”
私は慌てて窓を開け、キッチンの換気扇を回すと、飛び込むようにバスルームに入った。