表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロストアイ  作者: たみえ
学園生活一年目~闘交会騒動前篇~
85/106

闘交会ー武闘部門ー@開始


 近未来的なバロック建築という矛盾だらけの建造物、魔演武場(コロッセオ)

 無彩色の明暗(モノトーン)のせいで目がやたらチカチカする。延々と続いているのではないかと疑いたくなる巨大な建物を現在、観客席へ移動中だ。


「初めて伺いましたが、とても雄大で優美ですわね」

「酔っちまいそうだ……」


 右に同じく。

 リアは感心しきりに、ヤマトくんは例の如く無言なので不明。私とジルニク君は完全に景色に酔い始めているところです、はい。


「それにしても長い通路ですわね」

「着いたら教えて……」

「アイさん……」


 ――うっぷ、気持ち悪っ。


 景色に現実感が少なすぎて目が回る。自分の上下も分からなくなりそうなので、目を瞑ってリアたちの気配を追うことにした。

 今日はいよいよ武闘部門、開会式の日。最初と最後だけは全校生徒のみの式があるのだ。それ以降は期間中、観戦するもよし、ペアとの連携を確かめるもよし、ぐーたら過ごすのもよし、と完全に自由時間だ。

 ちなみに開会式は学年ごと、寮ごとと別れるのでジミー先輩とではなく、リアたちと移動していたわけである。

 もっと気を付けていれば三半規管にダメージをくらうことも無かっただろうに……開会式まではまだ余裕があるからってゆっくり美麗な建物を優雅に見ながら移動したのが仇となった。

 まさかこんなに気持ち悪くなるとは……。

 リアとヤマトくんは見た感じなんともなさそうだけど、ジルニク君は私同様に三半規管へダメージを受けているし、まさかここはあの噂の迷子キラー……?


『いいえ、ここではありません』

「なん、ですと……!」

『ここは序の口の序の口の序の口の、序の口です』

「…………」


 世界が迷子属性に厳しすぎる……!


「あら? あそこが入口ではなくって?」

「あぁ~そうだな……うっ」

「気持ちは分かるけど、吐くなよ……!」

「た、しょ……」


 ……マズイ。ジルニク君が限界を迎えた。


「お、お、うぇ……!」


 いよいよなえずき具合を見て、絵面的にゲテモノを出させるわけにはいかないので、どうしようか迷っていると、ジルニク君の背後へいつの間にか忍び寄っていたヤマトくんが強制的に腹パンして気絶させて担いでしまった。


「あー、ありが、と……?」

「シュコー、シュコー」


 未だにヤマトくんのキャラの正解が分からない今日この頃でした、はい。

 そんなこんなで既に大勢が揃っている観客席で自分たちの席を探す。全校生徒がすっぽり入ってもまだスカスカという驚異の広さなので、指定の席に座っても周囲が若干寂しい。

 私たちの周りには説明会の時に見たような気がする同じ寮の生徒が集まっていた。というか、基本早朝とかには出かけてたので、私はほとんどぼんやりとした顔しか知らない。名前は言わずもがな。

 リアは知り合いが多いのか、直ぐに和へ溶け込んでいった。私は寮でも見かけること自体が少なかったので、ほんとに知らない。

 和に馴染めないのは私だけではない。ジルニク君は迷子ツンデレ属性のせいで基本ぼっちだったし、ヤマトくんに関して言えばあなた最初居なかったでしょっていうね?

 楽しく話に花を咲かせるリアをよそに、私たち三人の異様集団に近付く猛者は居なかった。


『は~い、てすてす、聞こえるかしら~?』


 ぼっちで固まり、ぼっちではないと無言で主張することしばらく、どこからかママの声が反響して聞こえてきた。え、マジで?


『聞こえてるようね~、それじゃあ開会式、始めちゃうわよ~』


 晴天の空より差し込む光を感じながら、適当な感じで開会式が始まった。まさかこのままママが進行するんじゃなかろうか……と悪い予感を感じていたものの、さすがに運営側も考えているのか、メルディアナ先生がママから主導権をちゃんと捥ぎ取った。

 凄いなメルディアナ先生。あのママが素直に譲ったんだけど……!


『――それでは皆さん、大変お待たせいたしました。これより、闘交会武闘部門、開会式を、私の言葉をもちまして、開始の挨拶とさせて頂きます』


 普通にママをスルーしたああああ……!

 ――猛者だ、あの先生タダもんじゃないよ……!


 チラっと見た感じ、ママはニコニコしているだけでどっちか分からない。だけど、何も言わないところを見るに特に怒っている訳でもなさそうだ。

 ……あれ?

 なんで私がヒヤヒヤしてるんだろうか……。


『皆さんご存じかとは思いますが、新入生は初めてですので、ルール説明させていただきます。くれぐれもお忘れなきよう』


 メルディアナ先生とはかなりの距離があるが、空中に映し出されたパネルに映像が三六〇度全部の角度から遜色なく見られるため、問題は無い。

 ただ、私は元の身体スペックで視力は頗るいいので、直接メルディアナ先生たちを見ることが出来た。なので映像に映らないママの表情もバッチリ分かる。

 あ、目が合った。ごめんなさい集中します。


『――学園行事においてAIとの協力は禁止、というのは周知の事実ですが、今年度も同じルールになります。

 まず、闘交会においては直接的な武器の使用は禁止。ただし、魔法で創られた武器は使用可能です。同じ観点より、魔法、スキルも使用可能とします。

 次に、勝敗は相手が戦闘不能、もしくは棄権した場合のみ決します。時間制限はございませんので、短期戦も長期戦も戦略を練って存分に挑んで下さい。

 今回もVRでの対戦になるため、身体に致命傷を受けたと判断された場合も同様に戦闘不能と判定します。

 さて、おおまかなルールはこんなものです。詳細は今言っても聞いている者も少ないかと存じますので、後程それぞれでご確認下さい。

 長らく大変お待たせいたしました。私からの簡易的な説明、開会式は終わりと致します。

 それでは皆さん、――』


 生徒側のだるさを感じ取ったのか、いつものことなのか、ほぼルール説明のみで有り難い校長先生のお話し的な何かは特になかった。始終メルディアナ先生の話で終わってしまった。


『――遠慮せず、思いっきりどうぞ』

「「「「「うおおおおおお!」」」」」


 現金なことに、最後の最後だけ大盛り上がりであった。

 なんか、前世のオリンピックに対する人々の熱気と同じ空気を感じた。早速、今日この後から第一試合が始まるそうだし、皆気合十分のようだ。

 暑苦しいし、一般人もそろそろ入場を始めるころだし、もう帰ろうかな……?


「アイさん、よろしければ、ご一緒に観戦していきませんこと?」

「うん、もちろんだよ!」

『…………』


 帰るなんてとんでもない。リアをこんな汗臭いところに放置して帰れんわ。万が一、脳筋バカたちに毒されたら目も当てられん。

 リアの隣をキープしつつ、周囲へ、特に男どもには近づくなよオーラを振りまいておく。何故こんなことをしているのかと言うと、これには深いワケがあった。

 それはまだ二か月も経っていないけど、一緒に生活してて分かったことが理由だ。


 ――リアは半端なく、モテる。


 何を言っているんだと思うかもしれないが、私は至って真面目だ。

 なにせ本気でモテている情景、その様は壮絶の一言に集約される。その可憐な容姿も然ることながら、女神もかくやの周囲への神対応が素晴らし過ぎて、信者がそこら中に出来ていく。

 そう、勘違いさんが日々大量生産されているのだ。しかも天然で。

 気付いた時には時すでに遅し、いつのまにか一大勢力を築いていた……。

 が、出来てしまったものは仕方がない。我々は協力体制を敷くこととなった――。

 というわけで、誠に勝手ながら日々、善意の協力者たちと陰からこっそり不逞の輩をしまt……こほんこほん、排除しているのだ。

 私が守らねば……! と闘志を勝手に燃やしている集団であるが、努力の甲斐あって、今や不純な動機を持った輩は近づいて来なくなった。

 ……裏でどこぞのファンクラブの会長が暗躍したりしなかったりということも噂となり、今やリアが一人で出歩いても危険は少なくなった。

 だがしかーし!

 未だに数えるほどではあっても、不純動機の不逞な輩は存在している。そういう不純物から遠ざけるのが今の目標である。


「――ハッ! 俺は一体……?」


 いや、お前今までずっと気絶してたんかーい。

ちょっと引き伸ばし感はありましたけど、次回からバトルパートに入ります。本当です。

戦闘描写に自信はありませんが、凄みが伝わるように頑張ります、

次回お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ