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Amnesia Doll  作者: 黒宮杳騏
20/22

ⅩⅩ 独白

今まで、たくさんの『試練』を受ける人を見てきた。

過去を克服した人がいれば、痛みに負けた人もいる。

当然、精神崩壊した人もいた。

そういう人達は、地下通路で繋がっている隔離病棟へ送られる。

隔離病棟へ収容された大半は、おそらく一生をそこで終えるのだろう。

病棟を出て社会復帰した人がいる、という話は滅多に聞かない。


彼女は『試練』を受ける人達の中では幼い方で、あの苦痛を乗り越えられるかどうかでいえば、正直なところ無理だと思った。

彼女の『ペア』である『彼』の『(ハダリー)』に亀裂(クラック)が入った瞬間、やはり彼女も隔離病棟へ送られるのだろうと諦めた。

ところが、彼女は最後の最後に抗い、何とか隔離病棟行きを免れた。


人間の持つ希望や可能性、それは最も好奇心をそそられる事象だ。

基本的にこの森から出ない私は、社会から隔離されているという点において、精神に異常をきたした彼等と変わらない。

唯一、決定的に違うのは、私は『仕事』としてこの森にいるということだけ。


私は『森の賢者』などと呼ばれているが、それはまったく違う。

この森を訪れる者へ『試練』を与え、そして結果を見届け、『管理局』へ報告する。

この森が、そして私が世間から隔絶されている、という認識は間違っているのだ。

私の本当の肩書きは『管理局』の職員、もっと詳しく言えば『審査員』なのだから。

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