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冬のうた  作者: ひなた
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冬の風

 不意に冷たい風が髪を靡かせ すっと首筋を撫でる

 その冷たさにぶるんと身震いし 寒さの他の恐怖を感じた

 僕の指先が掠めたのは 恐怖の元か幸せの種か

 手を伸ばしても届かないものがあり 手を引いても追ってくるものがある

 思い通りにならないことばかりで 心も体も凍えてしまいそう

 この冷たい風は 何を僕に伝えようとしていたんだろう

 もしかしたら この辛い世界から連れ出してくれようと……


 不意に冷たい風が前を通って 僕に甘い香りを届けた

 その甘さに騙されそうになり 幸せの中に恐怖を感じた

 売れないマッチの温もり 擦ってはいけないのに誘惑する

 いけないのにやってしまうこと やらないといけないのにできないこと

 思い通りにならないことばかりで 夢も希望も凍えてしまいそう

 この冷たい風は 僕をどうしようとしていたんだろう

 その答えを 知る術など今の僕にはもう……


 不意に冷たい風が足を攫って 絶望の香りに包まれる

 その辛さに何もかも嫌と 恐怖に駆られながらも走った

 僕の鼻をツンと通ったのは 恐怖の花か幸せの種か

 手を伸ばしても掴めないものがあり 手を離しても取れないものがある

 思い通りにならないことばかりで 血も汗も凍ってしまいそう

 この冷たい風は 僕に何を望んでいたんだろう

 追い求めたなら この辛い世界からも出られるのだろうか


 不意に冷たい風が髪を靡かせ 僕に絶望の香りを届けた

 その冷たさに騙されそうになり 寒さの他の恐怖に駆られた

 僕の指先が掠めたのは 誘惑の花か種なのか

 手を伸ばしても届かないから やらないといけなくてもできない

 思い通りにならないことばかりなら 全てを凍らせてしまおう

 この冷たい風も きっと僕にそれを伝えたがっていたんだ

 そう言い聞かせることで 僕は恐怖から目を逸らし……

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