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新米神様の創世記  作者: 森マッコリ
何か知らんけど世界ができた
3/5

〇月☓日 世界一周してみた

明りをつけましょ爆弾に~ドカンと一発ハゲ頭~


あさってはひな祭りですよー全国の女の子たちがちらしずしを楽しみにする日ですね!・・・あれ?違う?

猛烈な雨が上がった後には大きな大きな世界をまたぐような虹がかかった。


ユグドラシルの実は不思議なことにちっとも流されてはいなかった。花も全く散ってはいない。さらに、よく考えたら実の中に種がなかったことに気が付く。虹色の皮をむけばぷるりとした汁たっぷりの果肉がのぞき、ほのかな甘い臭いの漂うこの実はカナタの大好物となりつつあった。


雨で眼下の雲がしっかり落とされてしまったようだ。下から見れば雲一つない晴天が広がっていることなのだろう。


ところで雨の間にカナタはマイホーム(うろ)を改造してみていた。体を丸めるので精いっぱいだった空間はあら不思議、外から見た面積と中の面積が恐ろしくかけ離れたものとなっていた。


広く高いその空間の壁にはところどころ光る明り代わりになる宝石(魔力の結晶)が埋まり、奥の構造も宝石の廊下から3つに分かれていて手前にリビングルームのような開けた空間を作り、奥二つのうちの一つは寝室に、もう一つは食料貯蔵庫(ユグドラシルの実入れ)になっている。


リビングルームは天井に巨大な宝石をはめ込み、これがリラックスライトのような優しい光を放っているおかげでとても落ち着く空間となっている。


寝室は魔法で植物をはやして、外よりも上質なふかふかの芝生と苔を敷き詰めた。小さな宝石をちりばめて淡く光っているところがいいと自分で思う。マイナスイオンあふれる空間になっている。


食料貯蔵庫には冷気を放ち、扉を作ることでそれが逃げないようにした。つまり巨大な冷蔵庫だ。菌やウイルスというものは存在しないので腐る心配はない。たくさん実を詰め込んだ。


一通り終わってから全体を見てカナタは満足そうにうなずいた。


「うん、完璧だ!」


マイホームが完成した後は洗い立ての地にに一歩踏み出して、目の前の美しい景色を見下ろした。


すっかり雲の晴れたこの谷間には深い深い森がこと山を囲うようにして生えており、その間をくねるようにして流れる川は陽光を反射してきらりきらりと輝く。森を越えた先には広い草原がずうっと奥まで続いて、そのまた向こう側に小さく山が見えた。


反対側、泉のほとりから見下ろせば、同じように山を囲う深い森があり、そのまた向こうには白い砂浜が見えた。そう、海が見えたのだ。青い青い海。コバルトブルーに輝く海。生命が宿る母なる海だ。それはどこまでもどこまでも地平線の向こうまで続いていた。


そしてまた一つ思った。ひょっとして自分は飛べるのではないのだろうかと。この背から生えた巨大な翼は飛ぶためにあるのではなかろうか、と。


思い立ったら早速やってみたくなるのがカナタの性格だ。翼を動かしてみればもうそれは自分の体として完璧になじんでおり、手足を動かすのと同じぐらい容易に動かせた。


翼を上下にばさばさと動かしながら、山の頂上から谷川にダイブした。


「おうわあああ!」


まるで巣立ちをする時の鳥のように危なっかしく、フラフラと飛ぶ。だがちゃんと宙に浮くことはできた。体を襲うジェットコースターよりも何万倍もすごいスリル。カナタはそのまま上昇したり、ホバリングをしてみたり、効率の良い無駄のない飛び方を研究しながらカナタは飛ぶ練習をした。


やがて2、3時間たった頃には無音飛行やら曲芸飛行ができるまでに上達していた。飛ぶときはフクロウのように音を立てずにスィーっと空を切るようにして動き、大空をきりもみ回転しながら上昇、そして弾丸のごとくすごいスピードで地面に向かって矢のように飛び出す。


浮遊感を楽しみながら谷に沿って宙返りをしながら飛んでゆくと草原に出る。この向こうは一体どうなっているのだろうか。このまま世界を一周してみよう!


カナタは翼に一層力を込めて羽ばたいた。一気にスピードが上昇して音速を超える。すさまじいスピードを保ちつつ超低空飛行で飛ぶと、草原の草たちが舞ってとてもきれいだ。


翼の角度を切り替えて50mほど上昇した。自分の体は巨竜、というほど大きくはない。むしろかなり小さい方と言えるだろう。体の高さはおよそ5m、頭から尾の先までは8mぐらいで翼を広げるとおおよそ10m以上になる。よく物語に出てくる竜たちは50m~100mほどの超巨大サイズであるが、そんなにあったら浮かぶことなど到底できる代物ではないだろう。まあこの大きさでも飛べるということ自体すでにおかしいのだが。


体を縮めて空気抵抗をなくせばさらに速度は加速する。ぐんぐんぐんぐん加速して周りの景色が線を描くようにしか見えなくなってきた頃、俺は草原を抜けた。


草原の先には俺の山よりは小さいが、それでも大きな山々が連なってそびえたっていた。その山たちを過ぎれば山に囲まれた盆地が見えた。ここに村を作ればなかなかいい村が出来そうだ。


そして山脈をこえるとそこは湿地帯であった。不思議な植物たちが生えている。こういうところは畑はやりにくいんだよなあ・・・


湿地帯を抜ければ今度はじっとりとした熱帯雨林が見えてくる。すごい!!!まるでジュラ紀のころを描いた絵を見ているようだ。そのうちここに恐竜が現れ始めるんじゃないんだろうか・・・



しばらく熱帯雨林が続いた後は砂漠があった。うおう、できたてほやほやのこの世界なのにもう砂漠があるのか・・・赤道直下でギラギラのお天道様が鱗をじりじりと焼く。いやー日光浴だね!

砂漠は結構長かった。大きさは最初のあの草原ぐらいだろうか。たまにオアシスなんかがあってとても気持ちがよさそうだった。


砂漠の次はまた大草原が続いた。何もない。草原しかない。これは・・・サバンナのようだ。ゾウやキリンがそのうち出てくるかもしれない。

この草原は最初の草原の5倍ぐらいあった。でかい!そして長い!やっと抜けきったころにはもう日が傾きかけていた。


まあ、それも昼下がりに出てきたんだから当然っちゃ当然だけど。


大草原から向こうはだんだん寒くなってきた。地面が白くなってきたかと思えば大豪雪、ブリザードの中に突っ込んだ。寒いな。豪雪地帯は最初の草原の2倍ほどであった。それとぼちぼち氷山が目立ってきた。とげとげの氷山が連なっている。


そこを抜ければ南極のような場所に出た。見渡す限り氷だらけ。というか氷しかない。


氷だらけの所は最初の草原ぐらいの大きさで、そこから向こうは流氷の目立つ寒い海に出た。ようやく海が来た。ここからは海の旅になりそうだ。


海は一言で言えば果てしない、というのがあっていた。ところどころ島がある。火山が吹いたその真上を通ってだんだん暖かくなってきていることに気が付いた。ハワイ旅行な気分だ。


そしてまただんだん気温が下がってゆく。


島と海が延々と続く。この世界、終わりは来るのかと思い始めたころ、ようやく陸地が見えてきた。今度は北極っぽいところだ。


北極っぽいところを通り過ぎたらまた海だ。この世界、絶対地球より大きいな。50倍近くあるぞ。だってこのたびは1週まわっているだけだから、世界のほんの1部しか見ていないわけだ。どんだけ広いのこの世界!?


また少し暖かくなって陸地が見えてきた。あ!あのそびえ立つおっそろしく高い山は!!!


浜辺を通り抜けて森を越えて思いっきり上昇したらようやくマイホームについた。ふいー、いい運動になった。この1週に約5時間かかった。もう夕暮れ時だ。この底なしの体力には驚くことがいっぱいだ。まあ、この広い広い世界を5時間で回り終わるというのがまず化け物だが。


ふわっと音を立てずに優しく舞い降りた。それから水分補給をしてユグドラシル、ユグちゃんの元へ向かう。おいしいユグちゃんの実を一つ頬張った。甘い!癒される・・・


そしてこの日はユグちゃんのうろのベッドで気持ち良く就寝したのだった。


雛あられよりノンアルコールの甘酒が好きだーッ

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