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三月のうさぎ

作者: 東椰子実


一月は行く


二月は逃げる


三月は…


三月は何だったっけ



何時の間にか梅が咲き


春は意地の悪い日の巡りを繰り返す


三寒四温


三歩歩けば二歩下がる


そんな足取りで幸せマーチは鳴り響く


東京の春は寒い


半蔵門線の地下鉄に揺られながら


神保町に九段下、


耳に慣れぬアナウンスを聴く


浅草、老舗


【ーバ谷神】


忍ぶ川にも出てきた


電気ブラン


森見登美彦の小説に出てきたのは


偽 電気ブランだったっけ


ワインにブランデー、ジントニック…


度数の高い酒どもがちゃんぽんになり


恐ろしく…


不味い 。



夜の街へと繰り出し


脱兎の如く、駆け抜ける


それも今日で終い。


この場所を去る


列車までの僅な時間


ある人の個展を観に高円寺まで行って来た。


「三月のうさぎ」展


どっかの国の諺にあったっけ


三月の兎は落ち着きがない


小さなギャラリーに顔を出した私は、まさに


三月兎のように


脚を 段々踏み鳴らした。


時計の針を一回りと、半分使い


私は彼の兎を手に入れる


黒の毛並みの八月兎は


赤い眼をこちらに向けた


その生意気な瞳に惹かれたのは、私だった。


財布の紐が緩んだのには


後悔はない



時間は冬のように過ぎ去って


私はこの小さく、


とても大きな町を過ぎ去る


準備に取り掛かる


電車の窓にだらしなく


鼻をくっ付けて


駆け抜ける夜の町の中で


ふと気がついた


あぁ、三月は




去る だった。



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