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2話

2話


地球じゃない世界……異世界か。

本当にあるなんて思いもしなかったな。


気候の違いが辛い。今は夏なのか?

とりあえずジャケットとパーカーを脱ごう。暑くて考えもまとまらん。



この後どうする?

やはり地球に帰る方法を探すべきだろう。

でも、もし帰る方法が見つからなかったら俺は耐えられるのか?


地球に置いて来た大事な人……は特にいないな。

置いて来た大事なもの……も特にない。


絶対に帰らなければいけない理由は?


あれっ?

無い?無い気がするぞ?

強いて言うなら大学のレポート位?


俺がいなくなって気にする人いるのか?

いてほしいけど、深い付き合いの友人なんて両親が死んでからいないんだよな。

親戚だっていないし。


ひょっとして俺って寂しい人間だったんじゃないか?

衝撃の事実だ。


そう考えると、帰る方法が見つからなくても問題ない気がする。

でも、この世界のことが全然わからない状態で、『やっほーい、異世界に来ちゃったぜ!この世界で俺は生きる』なんてことにはならないよ。


やはり家に帰るということを第一目標にしたほうがいい。

帰れなかった時のことは、その時に考えよう。


それにしても俺ってこんなに冷静な人間だったか?

こっちに来てから、あまり大きく動揺もしてないよな?

普通ならもっと取り乱すんじゃないのか?


うーん?

考えても答えはでそうにないな。

もっと建設的な事を考えよう。


まずはどうする?

この世界ってどんな世界だ?

人はいるのか?

危険な猛獣は?まさかモンスターとかいないよな?

いや、ノワールのことを考えるとモンスターは存在しそうだ。


今一番大事な事ってなんだろう?

食糧?水?拠点?人に会うこと?


どれも必要だけど、今すぐに必要なのは食糧と飲み水だ!

その二つがなかったらすぐに死ぬだろう。


次に敵性生物の有無だ。

人を探すのは安全を確認してからだな。


持ち物をまず確認して、足りないものを探すことにしよう。


「よし、リュックの中身の確認をしよう」


『作業をするなら少し森の方に移動してもらえませんか?』


「なんでそう思うの?」


『少し前になるんですが、沖の方でおかしな動きをする生物がいたので、少し移動した方がいいと判断しました』


「危険な生物?」


『まあそれほど危険な感じはしなかったんですが、念の為に森と湖の中間位に移動しましょう』


まあその位置なら森から何か近づいて来ても分かるからいいだろう。


「うん。じゃあ移動しよっか」


『はい』


のそりと立ち上がるノワール。

立つとまた迫力が違う。


俺の身長と比べてみよう。

体高2.5メートル、体長4メートル位か?尻尾を入れると5メートル近いんじゃないか?

すごいとしか言えん。


10メートルほど森側に移動する。

そして湖に背を向けて、ノワールと向かい合って座った。湖の方はノワールに警戒してもらおう。


リュックを開けて中身を確かめてみる。


「ビニール袋100枚入り1つ」


残り10枚くらいだったはずだけど新品になってる?

あれっ?気のせいかな?


「メモ帳1冊」

「ペット用ジャーキー1枚」

「ボールペン1本」

「ポケットティッシュ1つ」

「後はジャケットとパーカーと腕時計、これで全部だ」


ありゃ?時計のデジタル画面が消えてる。壊れたのか?


「以上だな。食べ物も水もない」


『ジャーキーがあります』


そうだね。人間用ではないけど一応食べ物ではあるよね。

ジャーキーどうしようかな。残しとくか?

いや、いつも散歩の途中に食べさせてるジャーキーだからノワールにあげよ。

ノワールの前にジャーキーを置く。


「待て!」


『了解!』


少し待って。


「よし!」


『はい!』


速い。残像が見えるほどの速さでジャーキーをくわえただと!


しかし1枚で足りるのかな?

体の大きさには全然合ってない。

ほぼ丸のみだな。


喜んでるみたいだから良いけど、ちょっとかわいそうな感じがする。


肉と調理道具が手に入ったらジャーキー作ってやんないとね。


『そうですね。それでこれからどうしますか御主人?』


「まずは食糧と水探しだな。水は最悪の場合は湖からの直飲みだ。できれば煮沸したいけどね。後はなるべく早く人里に出たいね」


まさか湖に毒とか入ってないよね?全体が毒沼みたいな?

そうじゃないと信じたい。後で確認しよう。どうやって確認するかも後で考えないと。


拠点は、洞窟でも探すか?


こういうとき小説なら『土魔法で家作っちゃうぜ☆』とかできるんだよな。それに『ステータスオープン』とかでステータスが見られ……。



[名前] マキト テンドウ

[種族] 人族  ノーマルクラス

[性別] 男性

[年齢] 20才

[レベル] 1  

[状態] ―


[所持スキル]


【ユニークスキル】  


アクティブスキル 解体 生活魔法


パッシブスキル 言語マスター モンスターテイム 騎乗 毒無効 沈着冷静



【ノーマルスキル】


アクティブスキル ―  


パッシブスキル ― 


[スキルランク] ―


[スキルポイント] 51ポイント


[魔法]イグニス アクア クリーン


[テイムモンスター] ノワール




「出た!」


『はぁ?』


ノワールに痛い子を見る様な目で見られた。

泣きそう。


そんなことより出たよ。出た出た『ステータス』。

半透明のテレビモニターって感じ。そこに文字と数字が並んでる。

やばいね。感動だね。


「これ!これ見てよ!」


思わず見るように言っちゃったけど他人に見えるのかな?


『何ですかそれは?』


どうやら見えたみたいだ。最初は見えていないみたいだったから、許可した相手にだけ見えるのかもしれない。


「俺がテレビゲームしてたの見たことなかった?」


『テレビゲームですか?見たことはある気がします。ですがそこにある物が何かは分からないです』


わからないか。説明しないといけないな。


「そのゲームによって内容は少し違うんだけど、これはステータスって言って、人や物のその時の状態を数値で示すしたものなんだ。

レベルや能力値、所持金などを細かくこれに表示してくれるんだよ」


『なるほど、そういう物ですか。しかし状態や能力の把握にそんな物が必要なんでしょうか?』


ノワールはステータスを見なくても自分の状態がわかるってことか?


「今までは無かった物だから調べないと分からない。だけど、この世界を早く理解するための助けになると思う。それでノワールのステータスはどうなってるのかな?ステータスオープンって言ってみてくれる?」


『分かりました。ステータスオープン』


何の変化もない。

いや、俺に見えないだけでノワールには見えているかもしれない。


「ノワールのステータスはどんな感じ?」


『御主人のようには出て来ないようですね。ですが御主人のステータスの項目にあるスキルと言うものなら私も持っていますよ』


「ステータスが見えないのに、どうしてスキルを持ってることが分かるんだ?」


『この姿になって賢くなったと言いましたが、この姿になった時に持っているスキルとそのスキルの使い方を自然と理解しました』


やっぱりステータスは出ていないらしい。

人間しかステータスは見えないってことなんだろうか?


ノワールは会話も出来て文字も読めるみたいだけど他の生物ってそんなことできるのか?

知恵のない動物やモンスターにステータスが見えても意味がないよな。


動物は本能で自分の能力を把握する事が出来るとか?

こんな世界なんだから、文字の読めない生物にそういう救済処置があってもおかしくはないかもな。

ちょっとずるい。


それにしてもステータスにスキルか……やっぱりここは地球じゃないよ。


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